ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

和歌ダム

2018-09-30 12:56:24 | 北海道
2018年9月21日 和歌ダム
 
和歌(わっか)ダムは北海道樺戸郡新十津川町吉野の石狩川水系ワッカウェンベツ川左支流真木沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧および現地説明板によれば北海道の事業により1925年(大正14年)に竣工し、1969年(昭和44年)から1974年(昭和49年)にかけて農林省(現農水省)の補助を受けた北海道の大規模老朽溜池事業によって改修が行われました。
水利使用標識にはダムの管理は新十津川土地改良区が行い、2378.92ヘクタールの水田に灌漑用水を供給していると記されています。
しかしこのサイズのダムで2000ヘクタールを超える農地への補給は無理でしょう?
記載ミスかな?
 
新十津川町吉野地区の国道451号線吉野橋からワッカウェンベツ川に沿って町道を西に進みます。やがて道路はダートになりますが構わず進むと和歌ダムに到着します。
ダム下から、右岸に洪水吐があります。
 
ダム左岸に取水設備からの底樋樋門があります。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
堤体を道路が斜行しています。
 
天端にも轍が続きます。
 
貯水池は『和歌貯水池』で総貯水容量は112万6500立米
取水期は8月末までで、取水期が終わったので水が抜かれています。
 
上流面の多孔式斜樋。
 
天端からの眺め。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
(追記)
和歌ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0011 和歌ダム(1373)
ため池コード
北海道樺戸郡新十津川町吉野
石狩川水系真木沢川
25.5メートル
172メートル
881千㎥/848千㎥
新十津川土地改良区
1925年
◎治水協定が締結されたダム

徳富ダム

2018-09-30 12:55:28 | 北海道
2018年9月21日 徳富ダム
 
徳富(とっぷ)ダムは北海道樺戸郡新十津川町トップの石狩川水系徳富川上流部にある北海道建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、徳富川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、石狩川右岸の月形町・浦臼町・新十津川町・雨竜町の8000ヘクタールの農地への新規灌漑用水の供給、新十津川町・雨竜町・浦臼町で構成される西空知広域水道企業団への上水道用水の供給を目的として2013年(平成25年)に竣工しました。
 
徳富ダムへは滝川市街から国道451号線を西進し、新十津川町幌加地区で右折して徳富川沿いを西に進みます。
ダム下への道は通行禁止、また天端は立ち入り禁止のため見学はダム左岸からのみとなります。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート14門、常用洪水吐として自由調節式オリフィスゲート4門を備えています。
 
減勢工と利水放流設備。
 
天端は立ち入り禁止。
 
トップ湖の石碑。
ダム湖は読みやすいようにカタカナで『トップ湖』と命名されました。
 
上流面。
 
取水設備とオリフィスゲートをズームアップ。
 
道営ダムの多くは平日午前中のみ職員さんが駐在しますが、徳富ダムは緊急時を除き巡回のみです。
そのせいか、見学場所も限定的となっているのは残念です。
 
(追記)
徳富ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0175 徳富ダム(1372)
北海道樺戸郡新十津川町トップ
石狩川水系徳富川
FNAW
78.4メートル
309メートル
36000千㎥/33400千㎥
北海道建設部
2013年
◎治水協定が締結されたダム

新十津川ダム

2018-09-30 12:54:33 | 北海道
2018年9月21日 新十津川ダム
 
新十津川ダムは北海道樺戸郡新十津川町吉野の石狩川水系徳富川左支流ルークシュベツ川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1952年(昭和27年)から北海道開発局農水部による国営かんがい排水事業が着手され、その中核施設として1959年(昭和34年)に竣工したのが新十津川ダムです。
新十津川ダムの完成により下流受益地3000ヘクタール超及び新規開発農地325ヘクタールへの用水補給が可能となり、新十津川は北海道有数の稲作地帯となります。
さらに2013年(平成25年)には徳富川源流部に道営の徳富ダムが完成し、新十津川町の農業用水事情は確保は格段に向上しました。
管理は新十津川土地改良区が受託しています。
 
滝川市街から国道451号を西進、新十津川町吉野地区の先のルークシュベツ川手前を右折すると新十津川ダムに到着します。
ダム下と天端は立ち入り禁止でダム左岸から見学することになります。
下流面は犬走りを挟んで3段構成。
 
左岸(手前)に洪水吐があります。
 
洪水吐導流部は湾曲しています。
 
導流部はさらに続きます。
 
天端は立ち入り禁止。
 
側水路式洪水吐と管理事務所。
 
アングルを変えて
洪水吐と上流面、上流面はコンクリートで護岸されています。
 
赤い屋根の取水塔
1999年(平成11年)の改修で設置されました。
 
 北海道の農業用ダムでは灌漑期を過ぎると水質保全や春の融雪の備えて水が抜かれます。
 
国営かんがい排水事業と新十津川ダムの説明板。
 
(追記)
新十津川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0058 新十津川ダム(1371)
北海道樺戸郡新十津川町吉野
石狩川水系ルークシュベツ川
29.2メートル
95.3メートル
4935千㎥/4800千㎥
新十津川土地改良区
1959年
◎治水協定が締結されたダム

青山ダム

2018-09-29 12:17:21 | 北海道
2018年9月21日 青山ダム
 
青山ダムは北海道石狩郡当別町青山の石狩川水系当別川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1951年(昭和26年)から北海道開発局農水部による国営事業で当別川源流部への農業用ダム建設事業が着手され、1962年(昭和37年)に青山ダムが竣工しました。
青山ダムは総貯水容量1500万立米超と農業用ダムとしては日本屈指の規模を誇り、当別町の3000ヘクタールを超える農耕地に灌漑用水を供給しています。
ダムの完成により、当別町は大都市札幌を支える食糧生産拠点としての地位を確固たるものにしました。
管理は当別土地改良区が受託しています。
 
当別ダムから道道28号線をひたすら北上し、『道民の森牧場南地区』入口を過ぎると左手に青山ダムが現れます。
ダム下流に架かる道道28号線の昇竜橋からダムを正面に見ることができます。
 
地山を挟んで左手(右岸側)に洪水吐があります。
奥は当別土地改良区のダム管理事務所。
 
左岸からダムを俯瞰
昇竜橋から見えていたのは堤体の一部で、堤頂長は239.5メートルに及びます。
天端は車道で一般車も通行できます。
 
天端から
正面が道道28号線の昇竜橋。
 
立ち入り禁止の標識がなかったので階段を下りてみます。
 
左岸ダム下の隧道は、取水設備から放流路吐口です。
灌漑期が終わりダム湖の水は抜かれ、流入量がそのまま流下されるたかなりの水量となっています。
 
天端に戻ります。
取水期は8月31日まで、それを過ぎると水が抜かれ流入量はそのまま流下されます。
 
立派な取水塔。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
青山ダム最大の特徴は右岸の巨大な円形越流式洪水吐
春は融雪による水量増加で大きな放流量が必要となるためこのような洪水吐となっています。
 
真下から
写真では実際の大きさが上手く伝わらないのが残念。
 
ダム便覧フォトアーカイブスの写真を拝見すると、融雪期の放流はかなりの迫力です。
できれば5月ごろに再訪して迫力ある放流とたっぷりの貯水池を眺めてみたいものです。 
 
(追記)
青山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0064 青山ダム(1370)
北海道石狩郡当別町青山
石狩川水系当別川
35.5メートル
239.5メートル
15127千㎥/14523千㎥
当別土地改良区
1962年
◎治水協定が締結されたダム

月形ダム

2018-09-29 12:14:17 | 北海道
2018年9月21日 月形ダム
 
月形ダムは北海道樺戸郡月形町中野の石狩川水系須部都川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には北海道開発局農水部による国営事業で1976年(昭和51年)に竣工と記されており、完成後は月形土地改良区が受託管理を行っています。
 
普段は天端入口にゲートがあり立ち入り禁止となっていますが、この日はコンサルタント会社による堤体の強度・漏水調査が行われており、管理事務所までということで中を撮影させていただきました。
右岸から下流面。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
取水塔。
 
貯水池は総貯水容量483万4000立米と農業用ダムとしてはなかなかのサイズ
灌漑期が終わり、水が抜かれ始めています。
 
管理事務所
向かいの建屋は艇庫でその先にインクラインがあります。
 
ダム右岸を通る林道わきの竣工記念碑。
 
右岸の林道から俯瞰。
 
コンサルタント会社による堤体の漏水や強度調査が行われています。
 
上流面はコンクリートで護岸。
上流面手前に艇庫とインクラインがあります。
 
同じ月形土地改良区が管理する豊ヶ丘ダム同様、普段は立ち入り禁止で林道から望むのみですが、この日は強度・漏水調査が行われていたため天端手前まで入れていただくことができました。
 
(追記)
月形ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0093 月形ダム(1369)
北海道樺戸郡月形町中野
石狩川水系須部都川
28.8メートル
208.1メートル
4834千㎥/4253千㎥
月形土地改良区
1976年
◎治水協定が締結されたダム

豊ヶ丘ダム

2018-09-29 12:12:35 | 北海道
2018年9月21日 豊ヶ丘ダム
 
豊ヶ丘ダムは北海道樺戸郡月形町豊ヶ丘の石狩川水系モロ和川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧及び現地標識には北海道の事業で1966年(昭和41年)に竣工と記されています。
管理は月形土地改良区が行い20.49ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
JR札沼線豊ヶ丘駅から町道を北西に進むと豊ヶ丘ダムに到着しますが、残念ながらダム手前から立ち入り禁止となっています。
 
なんとか堤体だけ見ることができます。
 
堤体をズームアップ。
犬走りを挟んで2段構成。
 
北海道在住ならば、事前に管理する月形土地改良区にお願いすれば見学も可能なのかもしれませんが、東京在住の身では難しそうです。 
 
(追記)
豊ヶ丘ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3359 豊ヶ丘ダム(1368)
北海道樺戸郡月形町豊ヶ丘
石狩川水系モロワ川
18.7メートル
139メートル
275千㎥/266千㎥
月形土地改良区
1966年
◎治水協定が締結されたダム

当別ダム

2018-09-28 22:36:18 | 北海道
2018年9月21日 当別ダム
 
当別ダムは北海道石狩郡当別町青山の石狩川水系当別川中流部にある北海道建設部が管理する多目的台形CSGダムです。
当別ダム建設事業は1980年(昭和55年)に着手されましたが、水没農地面積が広大なうえに折からの公共事業再検討の風潮の中、反対運動が激化しダム建設事業は一時凍結となります。
しかし、受益地である札幌市と小樽市がダム建設継続を求めたことや、当初計画の重力式コンクリートダムからより建設費が削減できる台形CSGへの型式変更などにより、2005年(平成17年)に『ダム建設妥当』の判断が下され、2012年(平成24年)にようやく竣工に至りました。
当別ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、当別川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、当別地区3194ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、当別町・札幌市・石狩市・小樽市で構成される石狩西部広域水道企業団への上水道用水の供給を目的としています。
また当別ダムは日本で初めて台形CSG形式を採用して着工、竣工したダムとなっています。
 
当別ダムを水源とする石狩西部広域水道事業団の概要図
 
ダム下左岸側はダム公園として整備されています。
 
堤高52メートルに対し堤頂長432メートルの横長ダムです。
堤体右岸寄りに自由越流式の非常用洪水吐が6門、中央部に同じく自由越流式の常用洪水吐装備されています。
常用洪水吐の導流面は階段状になっており訪問時は美しい越流を見ることができました。
 
放流をズームアップ
導流面が階段状になっているので、激しい放流よりも薄い放流の方が似合っているかと思います。
 
右岸の道道28号線から。
 
 
上流面
台形CSG型式のため上流面にも傾斜がついており、洪水吐も独特の形状となっています。
また取水設備が2基あるのもこのダムの特徴です。
右手は石狩西部広域水道企業団向けの斜樋でダム下流にある当別浄水場に送られます。
奥は灌漑用水及び放流用バルブ向けの取水設備です。
 
竣工記念碑も台形。
 
台形CSG独特の堤体表面。
 
ダム下には減勢工がありません
カスケード状の導流面が減勢工の役割を担っているのでしょうか?
手前の建屋は低位放流設備、奥は灌漑用水のポンプ室。
 
常用洪水吐には溝があります
試験湛水時にここに板を填め込みサーチャージまで水位を上げました。
 
左岸から俯瞰
上から見下ろすと台形であることがよくわかります。
 
ダム湖の当別ふくろう湖
総貯水容量7450万立米と道営ダムの中では屈指の貯水量です。
当別川上流は豊かな自然が残り『道民の森』として環境整備が進められています。
 
河川法上のダム本堤としては初めて目にする台形CSGダムでした。
まるでスーパー堤防のような横長でおおらかなフォルム、カスケードを下る美しい越流と素晴らしい天気、時間が許せば日が沈むまで眺めていたい、そんな当別ダムでした。
 
(追記)
当別ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0171 当別ダム(1367)
北海道石狩郡当別町青山
石狩川水系当別川
FNAW
CSG
52メートル
432メートル
74500千㎥/66500千㎥
北海道建設部
2012年
◎治水協定が締結されたダム

茂平沢第二ダム

2018-09-28 22:31:36 | 北海道
2018年9月21日 茂平沢第二ダム
 
茂平沢第二ダムは北海道石狩郡当別町茂平沢の石狩川水系当別川左支流第二茂平沢川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地説明板およびダム便覧によれば農水省の補助を受けた北海道の大規模ため池等整備事業によって1985年(昭和60年)に建設されました。
ダムの管理は当別土地改良区が行い、茂平沢地区56ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
 
茂平沢には第一から第三の沢があり、真ん中の第二茂平沢川に沿って進むと茂平沢第二ダムが現れます。
堤高は19.8メートル、右岸に洪水吐があります。
 
洪水吐導流部をズームアップ。
導流部に木が倒れています。
 
堤体下の底樋ゲート
分水工になっており、手前は灌漑用水路、左は第二茂平沢川へと分水されます。
 
下流面
夏場に刈り払いが行われたようですっきり。
 
車道は左岸に通じています。
天端は立ち禁のため右岸の洪水吐を見ることはできません。
 
上流面
草に覆われていますが、コンクリートブロックで護岸されています。
 
洪水吐をズームアップ。
 
左岸には竣工記念碑や溜池整備事業の説明板が設置されています。
 
説明板によれば、当ダムは傾斜コア型式です。
 
左岸の多孔式斜樋と貯水池。
北海道の灌漑用ダムの多くは灌漑期が終わると貯水池の水を抜くことが多く、ここの貯水池も水位が低くなっています。
 
なお茂平沢には第一から第三まで沢があり、それぞれ溜池が作られていますが、第二以外は堤高15メートル以下のためダム便覧には掲載されていません。、
 
(追記)
茂平沢第二ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え水位低下運用もしくは事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0016 茂平沢第二ダム(1366)
北海道石狩郡当別町茂平沢
石狩川水系第二茂平沢川
19.8メートル
137.6メートル
247千㎥/246千㎥
当別土地改良区
1985年
◎治水協定が締結されたダム

望来ダム

2018-09-28 14:39:25 | 北海道
2018年9月21日 望来ダム
 
望来(もうらい)ダムは北海道石狩市厚田区望来の望来川源流部にある灌漑目的のアースダムです。
建設省北海道開発局農水部によるかんがい排水事業の中核施設として1996年(平成8年)に竣工しました。
現在は石狩市が受託管理し望来地区約940ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
国道231号線から望来川に沿って市道を北東に進むと望来ダム手前でゲートが現れます。
通常はここから先は立ち入りできませんが、偶々巡回のためにゲートが開いており懇願してダム下からの撮影のみ許可を得ることができました。
堤高29.6メートル、堤頂長238.5メートルの横長のアースフィルダムです。
 
洪水吐導流部は減勢工の先で緩やかにカーブしています。
 
さらにズームアップ。
 
事前に石狩市に連絡すれば、スケジュールが合えば中の見学もできるそうです。
 
0141 望来ダム(1365)
北海道石狩市厚田区望来
望来川水系望来川
29.6メートル
238.5メートル
5600千㎥/5200千㎥
石狩市
1996年

高富ダム(再)

2018-09-28 13:27:13 | 北海道
2018年9月21日 高富ダム(再)
 
高富ダム(再)は北海道石狩市八幡町高岡の石狩川水系地蔵沢川にある灌漑・防災目的のアースフィルダムです。
もともと当地には1930年(昭和5年)に築造された高岡貯水池という溜池がありましたが、老朽化が著しく農水省の補助を受けた道の事業により再開発事業が着手されました。
そして2005年(平成17年)に高富ダム(再)が竣工、従来の灌漑用水容量に加え農地防災容量が付加され農地防災ダムとして生まれ変わりました。
ダムの管理は石狩土地改良区が行っています。
 
道道527号線の高架橋がダムの下流にかかっておりダムと正対できます。
堤体は二段構成で右岸に洪水吐があります。
手前の白い建物は揚水機場です。
 
洪水吐導流部は斜面の傾斜に合わせて途中で斜度が変化します。
 
ダム下の窪地はドレーンパイプによる漏水の集水池のようです。
 
洪水吐導流部を横から見ると
途中で斜度が代わり階段状になっているのが分かります。
 
取水設備からの底樋ゲート。
 
天端は立ち入り禁止。
 
天端と下流面。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
洪水吐と管理所をズームアップ
横越流式の洪水吐の越流面に切れ込みがあります。
 
洪水吐の奥に斜樋が見えます。
 
3303 高富ダム(再)(1364)
北海道石狩市八幡町高岡
石狩川水系地蔵沢川
FA
17.9メートル
185メートル
1500千㎥/1419千㎥
石狩土地改良区
2005年

朝里ダム

2018-09-27 15:46:59 | 北海道
2018年9月20日 朝里ダム
 
朝里ダムは北海道小樽市朝里川温泉1丁目の朝里川水系朝里川本流にある北海道建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、朝里川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、小樽市への上水道用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
上水道については小樽市上水道全体の6割の水を朝里ダムが賄っており、文字通り小樽の水がめとなっています。
 
朝里ダム建設に合わせ道道1号線は小樽スカイループと呼ばれるループ橋に付け替えられ、橋の上から朝里ダムを一望することができます。
堤高73.9メートルは決して低いダムではありませんが、堤頂長が390メートルもあることから横長のダムに見えてしまいます。
クレストには19門の自由越流式洪水吐が並び、右岸寄り(向かって左手)にオリフィスゲートがあります。
 
ダム直下から。
 
堤体に並ぶクレストゲートに合わせて減勢工も横長。
減勢工右手は放流設備
 
ループ橋は道道1号線の朝里大橋、通称小樽スカイループ
橋の彼方には海が見えます。
ダムの真下は公園になっていますが、遊具の老朽化により立ち入り禁止。
 
海をズームアップ。
 
ダム湖はオタルナイ湖、総貯水容量は880万立米。
 
天端中央にはベンチが置かれ高覧には壁画、足元にはダムを中心に主要都市の方向が描かれています。
 
左岸から下流面
ここから見ても横長ダム、そして減勢工も横長。
 
右岸の管理事務所とインクライン・艇庫。
 
上流から遠望
オリフィスゲート右手に取水設備があります。
 
とにかく横長、そしてダム下のループ橋と天端から海が見えるダム。
ループと海の組み合わせは全国でもここだけでしょう。

0157 朝里ダム(1363)
北海道小樽市朝里川温泉1丁目
朝里川水系朝里川
FNW
73.9メートル
390メートル
8800千㎥/7700千㎥
北海道建設部
1993年

定山渓ダム

2018-09-27 12:17:37 | 北海道
2018年9月20日 定山渓ダム 
 
定山渓ダムは北海道札幌市南区定山渓の石狩川水系豊平川左支流小樽内川にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的重力式コンクリートダムです。
豊平川の治水と札幌市の上水道水源確保を目的として1972年(昭和47年)に豊平峡ダムが建設されました。
しかし、その後も札幌への人口集中は続き市街地拡大に伴ってさらなる治水対策と水源確保に迫られることになります。
1974年(昭和49年)に豊平川左支流の小樽内川への多目的ダム建設事業が着手され1989年(平成元年)に竣工したのが定山渓ダムです。
定山渓ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、豊平峡ダムと連携した豊平川および石狩川下流域の洪水調節、札幌市への上水道用水の供給、北海道電力小樽内発電所での最大出力7000キロワットの水力発電を目的としています。
豊平峡ダムともども日本100ダムに選ばれています。
 
ダム下は定山渓ダム下流園地として整備されており園地駐車場手前の橋からダムと正対できます。
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート2門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲート1門を備えています。
また左岸(向かって右手)導流壁先端に利水放流設備としてホロージェットバルブがあります。
 
コンジットゲート上のデフレクター
 
ダム直下のモニュメントとともに。
 
左岸堤体から飛び出した小樽内発電所への水圧鉄管
こちらにもデフレクターがついています。
 
ダム内見学通廊とあるので進んでみると、100メートルほどで行きどまり・・・・
てっきり滝沢ダム浦山ダムのようにエレベーターも開放されていると思ったので残念。
 
下流園地はきれいに整備され、いろんなアングルでダムを愛でることができます。
 
園地にある資料館そばにはいくつもの展示物が並んでいます。
こちらは建設工事で使用されたクレーンのマスト(柱)の一部。
 
資料館裏手から遊歩道があり標高差100メートル弱を歩いて天端まで登りました。
天端は道道1号が通っており、交通量はさほど多くはありませんが時折通る車はかなりのスピードを出しています。
 
天端からのダム下流園地と減勢工。
 
右岸のインクラインと艇庫、浮桟橋。
 
豊平峡ダムとともに札幌を支える定山渓ダムです。
ダム下流園地は非常によく整備されていますが、豊平峡ダムのように外国人観光客の人気スポットではないため、静かにダムを見ることができます。
 
(追記)
定山渓ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0124 定山渓ダム(1363)
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系小樽内川
FWP
117.5メートル
410メートル
82300千㎥/78600千㎥
国交省北海道開発局
1989年
◎治水協定の締結されたダム

豊平峡ダム

2018-09-27 00:44:20 | 北海道
2018年9月20日 豊平峡ダム 
 
豊平峡ダムは北海道札幌市南区定山渓の石狩川水系豊平川上流部にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的アーチ式コンクリートダムです。
札幌市街は豊平川が形成した扇状地に広がっており、豊平川はアイヌ語ではサッ・ポロ・ベツ(乾いた大きな川)と呼ばれこれが『さっぽろ』の語源となったとされており、文字通り『札幌の母なる川』です。
北海道の中心として百万都市に発展した札幌の治水と、急増する上水道用水源の確保が急務となり1972年(昭和47年)に竣工したのが豊平川ダムです。
国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、豊平川および石狩川下流部の洪水調節、札幌市への上水道用水の供給、北海道電力豊平峡発電所での最大5万キロワットの水力発電を目的としています。
その後1989年(平成2年)に豊平川支流小樽内川に定山渓ダムが竣工し豊平川水系の治水能力や札幌の上水道事情は一段と改善しました。
現在は国交省北海道開発局札幌開発建設部豊平川ダム統合管理事務所によって両ダムの一体管理が行われています。
豊平峡ダムは日本を代表するダムとして日本100ダムに選定されているほか、ダム湖の定山湖はダム湖百選に選ばれています。
 
定山渓温泉から国道230号を南下すると豊平峡ダムの案内板があり、これに従って左手の道を進むと冷水駐車場に到着します。ここでダムと駐車場を結ぶハイブリッド電気バスに乗り換え10分ほどで豊平峡ダムに到着します。
 
まずは右岸展望台に登りアーチを俯瞰。
豊平峡ダムは北海道電力新冠ダムに次ぐ北海道2基目のアーチダムとして竣工、現在も北海道内にはアーチダムはこの2基しか存在していません。
ダム湖は定山湖と命名され総貯水容量は4710万立米となっています。
 
豊平峡ダムでは毎年6月から10月までの期間、観光放流が実施されます。
 
 
ダムサイトと堤体を結ぶ『カムイニセイ橋』
元あった管理通路が落石のため通行できなくなり2008年(平成20年)に架橋されました。
後付けの橋のため堤体に荷重を掛けることができず、対岸のダムサイト側で橋を支える片持ち構造という非常に珍しい構造の橋となっています。
 
ダム両岸は安山岩質の火山角礫岩で形成された断崖・絶壁がつづき、北海道有数の景勝地となっています。
 
常用洪水吐として2条、観光放流用として1条、計3条のハウエルバンガーバルブを装備。
6月~10月一杯は毎日観光放流を行っています。
 
減勢工とエンドシル
エンドシルもアーチです。
 
左岸から。
 
右岸にエレベーターがあります。
 
上流から
右手は豊平峡発電所の取水塔。
 
クレストには非常用洪水吐としてローラーゲートが5門あります。
 
札幌の奥座敷定山渓温泉に近く、中国南画のような断崖・絶壁がつづく景勝地ということで、最近はとくにアジアからの観光客の間では人気スポットとなっています。
今回は直前に胆振東部地震が発生したことから観光客もまばら、おかげでのんびりダムの見学ができました。
いずれ海外からの旅行者も戻ってくるでしょうから、その時にはまたにぎやかな豊平峡ダムになっているかと思います。
 
(追記)
豊平峡ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。

0087 豊平峡ダム(1362)
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系豊平川
FWP
102.5メートル
305メートル
47100千㎥/37100千㎥
国交省北海道開発局
1972年
◎治水協定を締結したダム

一の沢ダム

2018-09-26 13:44:57 | 北海道
2018年9月20日 一の沢ダム
 
一の沢ダムは北海道札幌市南区の石狩川水系豊平川と小樽内川の合流地点にある北海道電力の発電用重力式コンクリートダム(厳密にいえばかつて発電目的であった重力式コンクリートダム)です。
明治以降、豊平川では札幌水力電気による電源開発が進められ、1926年(大正15年)に定山渓、簾舞漁発電所に次ぐ豊平川3番目の発電所として一の沢発電所が完成しました。
一の沢発電所の取水堰として同時に建設されたのが一の沢ダムで、日本発送電の接収ののち、戦後北海道電力が事業を継承しました。
しかし、1972年(昭和47年)の豊平峡ダム完成に合わせて、豊平川沿いの水力発電施設の統廃合が行われ、一の沢発電所は廃止となりました。
一の沢ダムの完成により豊平川と白井川の合流地点には『鶴舞の瀞』と呼ばれる大きな淀みができ、錦橋からの眺めは定山渓温泉を代表する紅葉スポットとなっています。
 
残念ながら一の沢ダムへの入口は門扉が閉ざされダムの姿を伺うことはできません。
 
門扉の先の管理道路。
 
グーグルマップの空撮写真を見ると全面越流式堰堤です。
 
一の沢発電所が廃止になっていることから、一の沢ダムは本来の役目を終えています。しかし、当ダムによって鶴舞の瀞という景勝地が形成されていることからダムは撤去は行われていないのでしょう。
 
0022 一の沢ダム
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系豊平川
20.3メートル
83.9メートル
---千㎥/---千㎥
北海道電力
1926年

砥山ダム

2018-09-26 12:19:25 | 北海道
2018年9月20日 砥山ダム
 
砥山ダムは北海道札幌市南区小金湯の石狩川水系豊平川にある北海道電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1972年(昭和47年)に豊平川上流部に豊平峡ダムが竣工し同時に北海道電力豊平峡発電所の運用が始まりました。
砥山ダムは豊平峡発電所とほぼ同時に竣工し、同発電所の放流水を調整するための逆調整池としての機能を持つほか、ここで取水された水は砥山発電所に送られ最大1万200キロワットのダム水路式発電が行われます。
 
ダムは堤体直下まで入ることができます。
洪水吐沿いのフェンスに沿って下流に下ると、フェンスの切れ目からダムを見ることができます。
クレストにはラジアルゲートが4門ありますが、一番左岸(向かって右手)のゲートだけ越流面が低くなっており、ゲートのサイズも小ぶりです。
 
減勢工のエンドシル。
 
砥山ダム一番のポイントは堤体右岸が屈曲し『カド』になっている点です。
『カド』で有名な下久保ダムのスケールには及びませんが、非常に美しい『カド』を愛でることができます。
 
カドの右手には取水設備がありダム下流の農耕地への灌漑用水補給用の設備と思われます。
現在ダムの下流にはわずかな農耕地が残るのみですが、ダムが竣工した1972年(昭和47年)当時はもっと広大な田畑が広がっていたと思われ、この設備はダム建設に合わせて豊平川からの慣行取水権を有していた灌漑用水への補給を行うためのものかと思います。
 
砥山ダムの『カド』は直接手で触れることができます。
 
見上げると日本城郭の石垣のよう。
 
カドの奥にはさらに堤体が続きます。
 
一方堤体への道は北海道電力の門扉が閉ざされ立ち入り禁止。
 
『カド』を望遠で切り取ってみます。
カドの左手に取水設備が見えます。
 
左岸には砥山発電所向けの取水口があります。
 
(追記)
砥山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。

0086 砥山ダム(1360)
北海道札幌市南区小金湯
石狩川水系豊平川
30メートル
217メートル
1370千㎥/530千㎥
北海道電力
1972年
◎治水協定が締結されたダム