軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

庭にきた蝶(8) キタキチョウ

2017-05-19 00:00:00 | 
 今回はキタキチョウ。以前はただ「キチョウ」と呼んでいたこの蝶、全国どこに行っても何となくみかけることができるおなじみの蝶であるが、いつの間にかミナミキチョウとキタキチョウに分けられていた。外見による識別は困難とされる。

 正式にキタキチョウとミナミキチョウに分離されたのは2005年のことで、南西諸島にのみ生息する種をミナミキチョウ、本州と南西諸島の両方にまたがり生息している種をキタキチョウとしている。

 前翅長は18-27mmと小型、翅は鮮やかな黄色で、雄の方が濃い色をしている。前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に褐色の斑点がある。成虫は年5、6回発生し、成虫で越冬する。幼虫の食草はネムノキ、ハギ類(メドハギなど)のマメ科の植物。

 我が家の庭にもときどきやってくるが、数はそう多くはない。ブッドレアやキャットミントで吸蜜していることが多い 。


ブッドレアの花で吸蜜するキタキチョウ(2016.10.4 撮影)


キャットミントの花で吸蜜するキタキチョウ(2016.10.4 撮影)

 このキタキチョウは翅を閉じて吸蜜することが多く、我が家の庭で撮影した写真はどれも翅表が見えない。そこで、南軽井沢の別荘周辺で撮影した開翅状態の写真を1枚追加する。


フウロソウの仲間に開翅して止まり吸蜜するキタキチョウ(2015.9.2 撮影)

 一昨年のこと、安曇野の山野草店に立ち寄ったときに、ビニールハウス製の店内にキタキチョウが出入りしているのに気がついた。しばらく見ていると、ある鉢植えの近くにやってきてはしばらく鉢の周りを飛び回るということを繰り返している。

 その鉢に行ってみると、それは萩の鉢植で、キタキチョウはその葉に産卵をしているのであった。

 少し迷いはしたが、結局その鉢ごと買って持ち帰ることにした。この一鉢に卵は十数個産みつけられていた。

 玄関脇にこの萩の鉢を置いておいたところ、やがてこの卵から幼虫が次々と孵化してきた。次第に大きくなって、増してくる幼虫達の食欲に応えるために新たな萩の鉢植えを探す羽目になった。

 鉢にはネットをかけて保護して飼育していたのだが、知らぬ間に幼虫の数は減ってしまい、何とか蛹にまでたどり着いたのは3匹であった。この3匹の蛹化と羽化とを動画撮影することができた。

 幼虫は青虫で、4回脱皮して5齢で蛹化するとされているのだが、脱皮をしている様子はついに観察も撮影もできなかった。気がついたら大きくなっていて、前蛹になりかかっていたという具合である。

 この観察の途中、幼虫が奇妙な動きをしているのに気がついた。体を妙な具合にねじっているのだ。しばらく見ていて、これが糸掛けをしているのだと気がついた。


キタキチョウの糸掛け1/2(2015.9.7. 23:50-23:59 30倍のタイムラプス撮影)

 糸掛けは2往復、合計4本の糸を掛けて終了した。


キタキチョウの糸掛け2/2(2015.9.8. 00:10-00:13 撮影)

 掛けた糸に体をあずけ前蛹状態になる。そして約17時間後に美しく透明感のあるエメラルドグリーン色の蛹になった。


キタキチョウの蛹化(2015.9.8. 16:53-17:25 30倍のタイムラプス撮影)

 蛹の色は徐々に黄色に変化し、殻を透して翅の文様が見えるようになる。そして蛹化後2週間余りの後に羽化が始まった。


キタキチョウの羽化1/5(2015.9.24. 03:15-03:17 撮影)

 羽化終了後10分程度で翅は完全に伸びる。


キタキチョウの羽化2/5(2015.9.24. 03:20 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化3/5(2015.9.24. 03:22 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化4/5(2015.9.24. 03:25 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化5/5(2015.9.24. 03:30 撮影動画からのキャプチャー画像)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする