6月26日に初めてヒナを連れたカルガモの母親の姿を見てから約2週間が過ぎたころには、ヒナ達もすっかり成長し、親をまねて潜水したり、自分で池の底から藻などの餌を採って食べるようになった。
昨年2022年は7羽のヒナが生まれたが、その前年の2021年に生れたのは3羽であった。この時はヒナの数が少なく、移動が容易であったためか、カルガモの親子は頻繁に移動し、雲場池の上流からさらに道を隔てた私有地内を流れる川にまで行動範囲を広げていた(2021.8.20, 8.27 公開当ブログ参照)。
その時も、散歩しながらカルガモのヒナの成長具合を観察・撮影していたが、姿が見えなくなることもしばしばで、他の野生動物に襲われたのではないかと心配したこともあった。
その点、今回は7羽のヒナが育っていることも手伝ってか、親鳥は雲場池の大池を離れて移動することもなく、7羽のヒナは揃って順調に成長していた。
カルガモの母鳥とヒナ(2022.7.9 撮影)
カルガモの母鳥と7羽のヒナ(2022.7.11 撮影)
7羽のヒナ(2022.7.11 撮影)
そんなある朝、いつものようにヒナの姿をカメラで追っていたところ、突然激しい水音がして親鳥が水面上を横切って行った。
ショウブの間で餌を探しながら泳ぐカルガモのヒナ(2022.7.13 撮影)
水音を立てて追いかける母親を見つめるヒナたち(2022.7.13 撮影)
その先の方を見ると一羽のカワウが慌てて逃げていくところであった。カワウがヒナを襲おうとしたのかどうかはわからなかったが、母鳥の激しい行動であった。
慌てて逃げ去るカワウ(2022.7.13 撮影)
離れた場所まで逃げてきたカワウ(2022.7.13 撮影)
カルガモやチドリ、シギなど、子育中の野鳥の中には、偽傷行動をとるものがあるとされる。以前、新潟の上越に住んでいたころ、飼っていた犬を連れて、妙高山の麓にある「いもり池」に散策に出かけたことがあった。池を周回する遊歩道を、犬を連れて歩いていたところ、突然目の前にカルガモが飛び出してきて、片方の羽を引きずるようにして先の方へと移動していった。
何事かと驚いてみていると、親鳥の前方にカルガモのヒナが数羽飛び出してきて遊歩道を横切り、茂みの中に消えていった。親鳥もそのあとを追って姿を消したのであったが、これが母親の偽傷行動といわれるものだとその時気が付いた。
日常、朝の散歩していてもカルガモたちは特に私を意識することなく、自然に振舞っており、逃げ去るようなことはなかったが、今回カワウと出会ったときのカルガモの母親は、ヒナを守り、激しくカワウを追い払う行動をとった。なかなか気の強い、警戒心の強い種だと改めて思わされたのであった。
カルガモのヒナ(2022.7.17 撮影)
成長したヒナと親鳥(後方、2022.7.24 撮影)
7羽のヒナと親鳥(2022.7.25 撮影)
7月下旬になるとヒナはすっかり成長して、母鳥との区別がつきにくくなってきた。よく見ると、嘴の色などにまだ幼鳥のなごりが見られるが、ちょっと見ただけではわからないようになった。
親鳥と区別が付きにくくなったヒナ(中央上が親鳥、2022.7.27 撮影)
親鳥と区別が付きにくくなったヒナ(右から2番目が親鳥、2022.7.27 撮影)
くちばしの色が異なるヒナ(左)と親鳥(右)、上の写真を拡大した
ヒナ達は、はじめのうち7羽が揃って行動していたが、次第にばらばらに池を移動するようになり、7羽が一緒に画面に収まることもなくなってきた。
約1か月後、久々に親子が揃っているところを撮影できた。
久々に親子8羽が揃った(右端が親鳥、2022.8.24 撮影)
このころ、雲場池ではカイツブリのヒナが3羽誕生し、両親とともに池に姿を現し、ぎやかなヒナの鳴き声が響き渡るようになった。
親鳥の背に乗るカイツブリのヒナ(2022.9.1 撮影)
ヒナに餌を与えるカイツブリの親鳥(2022.9.1 撮影)
雲場池の主役がこうして交替していった。