軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

庭に来たチョウ(29)カラスアゲハ

2024-08-16 00:00:00 | 
 2020年11月以来久々の「庭に来たチョウ」の紹介。今回はカラスアゲハ。 

 いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)には次のように紹介されている。

 「東部アジア全域に棲息するこの蝶の、本土内においての分布は、『キアゲハ』ときわめて酷似している。北海道の寒冷高地に現われ、沖縄から台湾に及び、亜熱帯にも棲息するが、温暖な地方や平地には少ない。
 本種はこの種の『あげはちょう』の中で最も華麗な『ミヤマカラスアゲハ』と、青緑鱗の美しさも発生の場所や季節も似ているので、両種の判別は時に困難であるが、やや顕著な特徴は本種後翅裏面の外縁に添う白帯が現れない。・・・
 8月半ばから現れる夏型は、形も大きく路上に群がって吸水するものや、小暗い樹間の『蝶道』を行き返るものや、好んでクサギの花上に飛来するさまは壮観である。・・・
 産卵はコクサギ・キハダに多く、カラタチ・サンショウにも幼虫は見いだされる。
 雌雄はきわめて顕著な相違を認められるが、特に雄は『あげはちょう』の雄共通の特徴として、前翅の発香鱗(ビロード状長毛)によっても更に明らかである。」

 上記の記述にも見られるように、カラスアゲハはミヤマカラスアゲハと、とてもよく似ており、判定に迷うことがしばしばである。

 表・前翅の外縁部の帯が広く、上に向かって広がっていることと、裏・前翅の黄白帯も同様に幅広く上に向かって広がっているところが、カラスアゲハの特徴とされる。

 裏・後翅の黄白帯がミヤマカラスアゲハには現われるが、カラスアゲハには見られないことも、私は判定に迷った時に用いている。ただ、春型では明瞭とされるが、夏型では不明瞭になったり、時にないこともあるというので、注意を要する。

 軽井沢でも両者を見ることができるが、ややミヤマカラスアゲハの方が多いようである。

 これまで、庭のブッドレアの花に吸蜜に来たところを撮影しているが、頻度はそれほど多くなく、数回にとどまっている。

 昨年からクサギの花が庭で咲き始めたこともあり、さっそくカラスアゲハやミヤマカラスアゲハが吸蜜に来るようになった。その際、すぐ横に植えているキハダに産卵するところを妻が目撃したので、ミヤマカラスアゲハだと思い込み、室内に取り込んで育て、観察・撮影した。ところが、幼虫が成長してしばらくして、カラスアゲハだったと気が付いたことがあった(2023.10.13 公開当ブログ)。

 このカラスアゲハの成長記録はすでに当ブログで数回にわたって紹介しているが、今年春、無事2頭の♂が羽化し飛び立っていった(2024.5.31 公開当ブログ)。

 庭のクサギは今年はさらにたくさんの花をつけている。本種やミヤマカラスアゲハなどアゲハの仲間の大好物の花なので、これからどれくらいの数のチョウが吸蜜に訪れるか、楽しみにしている。

 以下、庭のブッドレアに来たもの、山地のクサギに来ていたもの、雲場池の遊歩道脇のアザミの花に来ていたものを紹介する。

 義父のコレクションを見ると、ミヤマカラスアゲハが圧倒的に多く、カラスアゲハは意外に少ないのであるが、これは特に義父がミヤマカラスアゲハ好きだったことによるものかと思う。

ブッドレアの花に吸蜜に来た前・後翅共に激しく傷んでいるカラスアゲハ♂(2017.8.12 撮影)

ブッドレアの花に吸蜜に来た前・後翅共に激しく傷んでいるカラスアゲハ♂(2017.8.12 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♀(2016.8.8 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♂(2016.8.8 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♂(2016.8.8 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)


キハダに産卵した卵から飼育し羽化させたカラスアゲハ♂(2024.5.13 撮影)

カラスアゲハ春型♂(2024.5.14 撮影)


カラスアゲハ春型♂(2024.5.14 撮影)

庭に咲き始めたクサギ(2024.8.15 撮影)

 義父の蝶コレクションには次のようなカラスアゲハの標本が含まれているので紹介させていただいて本稿を終わる。


義父のコレクション・カラスアゲハ♂
(上から 1977.5.5/オニシ、1977.5.21/ナガトロ、1974.8.15/イシガキ )


同上・裏面

カラスアゲハのペア(上♂ 1975.8.24/アカギ、下♀ 1975.8.24/アカギ)

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