軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

山野で見た鳥(6)キジ

2020-11-20 00:00:00 | 野鳥
 今回はキジ。いわずと知れた日本の国鳥である(1947年指定)。姿が美しく、軽井沢でも見かける機会が多い。また、遠くにいて姿が見えなくても鳴き声でそれと知れるので、キジがいると認識することができる。

 「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)には次のように記されている。
 「形態 尾長く♂は頸側、胸側、下面全体金属緑黒色で美麗。♀は♂に比し小さい。嘴峰♂29~36mm、♀25~31mm、翼長♂215~245mm、♀195~207mm、尾長♂270~425mm、♀202~275mm、跗蹠♂64~73mm、♀55~64mm、♂は眼の周囲の皮膚裸出して赤色。後頭の両側には金属緑黒色の飾羽がある。背には栗色、黄色などの複雑な模様があり、雨覆、腰、上尾筒は灰青色で上尾筒の羽毛は分岐して房状となる。尾は暗緑色で黒色帯状のはん点があり羽縁は細く分岐して紫かっ色である。♀は全体黄かっ色で一面に黒かっ色はんがある。
 本州・四国・九州及びその属島に分布するキジは下記の4亜種に分かたれているが、どれも類似しており、大陸産の亜種(コウライキジ)のように♂には白色の頸輪がなく日本特産の亜種である。
 ・キ タ キ ジ・・・本州北部(新潟県・福島県以北)及び佐渡
 ・キ     ジ・・・本州中西部及び四国
 ・キユウシユウキジ・・・九州及び本州西部(山口県)
 ・シ マ キ ジ・・・本州南部(三浦半島・伊豆半島・紀伊半島)・伊豆七島
            (大島・新島)・種子島・屋久島
 なおコウライキジは元来朝鮮産であるが1750年ごろ朝鮮から輸入され現在対馬に多数増殖している。また1920年ごろから本州・九州にも放鳥され土着のキジと雑交したが雑種は繁殖力弱く現在ではほとんど跡を絶ってしまった。北海道にはキジが生息していないので放鳥されたものはよく繁殖し、特に日高地方では農耕地や草原に多数増殖している。」

 これによると軽井沢で見られる種はキジと考えてよいであろう。以下紹介する写真で見ても、本の説明のとおり背から尾にかけての色は複雑でなかなか美しい。

 国鳥に指定されている一方で、肉は美味とされ食用であり、狩猟対象ともなっていて、毎年、愛鳥週間や狩猟期間前などの時期に大量に養殖キジが放鳥されている。
 2004年(平成16年)度には全国で約10万羽が放鳥され、約半数が鳥獣保護区・休猟区へ、残る半数が可猟区域に放たれているという。
 放鳥キジには足環が付いており、狩猟で捕獲された場合は報告する仕組みになっているが、捕獲報告は各都道府県ともに数羽程度で、一般的に養殖キジのほとんどが動物やワシ類などに捕食されていると考えられているとのこと。

 今年、軽井沢で最初にキジ♂を見かけたのは雲場池を散歩しているときで、遊歩道横の別荘地内の流れのそばで水を飲んでいた。この時は、しばらく水を飲んだ後、ゆっくりと別荘地の林の中に消えていった。

 その後、もう一度見かけているので、その時の写真も載せておく。

別荘地内の流れで水を飲むキジ♂ 1/2(2020.3.23 撮影)

別荘地内の流れで水を飲むキジ♂ 2/2(2020.3.23 撮影)

別荘地の林の中に歩き去るキジ♂(2020.3.23 撮影)


雲場池横の別荘地内で見かけたキジ♂ (2020.4.16 撮影)

 次の写真は南軽井沢に広がる畑地の中の農道を車で走っていてキジの親子を見かけたときのもので、車を止めて撮影した。

 雌雄2羽の親鳥と共にすぐそばに2羽の子どもが見られた。

南軽井沢の畑地で見かけたキジの♂(左)と♀(右) (2020.6.24 撮影)

南軽井沢の畑地で見かけた2羽のキジの子ども(2020.6.24 撮影)

 この時は、上掲の親子のいた場所とは農道の反対側にも、別の1羽の♂キジがいた。車で近寄り窓から撮影したのが次の写真である。

南軽井沢の畑地で見かけたキジ♂1/4(2020.6.24 撮影)

南軽井沢の畑地で見かけたキジ♂2/4(2020.6.24 撮影)

南軽井沢の畑地で見かけたキジ♂3/4(2020.6.24 撮影)

南軽井沢の畑地で見かけたキジ♂4/4(2020.6.24 撮影)

 冒頭、このキジの鳴き声について書いたが、「ケーン」と響きわたるこの鳴き声は繁殖期の♂のものとされる。

 この鳴き声についてはずいぶん前にTVで見た「まんが日本昔話」の「キジも鳴かずば」の話を思い出す。
 貧しい父娘の話だが、ある時父親が、食べ物をろくに食べることが出来ない貧しい暮らしの中、病に倒れた娘を不憫に思い、ひと掬いのコメと一握りのアズキを地主の蔵から盗んで「アズキマンマ」をつくり娘に食べさせた。
 しばらくして、元気になった娘はそのことをてまり歌にして「アズキマンマ」を食べたと口ずさむ。これが村人に聞きとがめられて、川が氾濫した災害時に父親が捕えられて人柱にされてしまう。悲しんだ娘はそれ以降口を閉ざし、一言もはなさなくなってしまう。
 そうしたある時、「ケーン」と鳴いたキジが猟師に撃たれるという出来事が娘の目の前で起きる。娘はそのキジを抱いて「キジよ、お前も鳴かなければ撃たれることもなかったのに」とつぶやく・・・といった話であった。

 「キジも鳴かずば撃たれまい」というこの諺の基になった話は、長野県の民話だということで、調べてみると、信州新町を流れる犀川のほとりにある「奈津女公園」には、この民話にちなんだ娘のブロンズ像が建てられていることがわかった。

 コロナ禍で、外出する機会も少なくなっているので、先日思い立って現地に出かけてきた。軽井沢からは高速道路に乗り更埴ICで下りるルートで約1時間半で現地に着く。

 途中立ち寄った「道の駅」で案内地図を確認したところ、目指す「奈津女橋」は国道19号線に平行して流れる犀川を横切る橋と描かれていたので、その地図を写真に撮り、そのつもりで車を走らせていた。現地近くまで来て赤信号で止まった時、何気なく道路の右側を見ると、そこにブロンズ像が見えた。これが目指す「キジも鳴かずば」の像であった。

 確かめると橋はあったが、犀川の細い支流にかかる橋で、危うく見過ごしてしまうところであった。すぐ左側の河原にある駐車場に車を止めて公園に向かった。

 ちなみに、帰路すぐ近くにある信州新町美術館で入手した信州新町の地図と、道の駅に掲示されていた地図(北が下に描かれている)を次に示す。もし現地に行かれるのであれば、参考にしていただきたい。


信州新町ウォーキングMAPから


道の駅に掲示されていた信州新町地図

 ブロンズ像の少女は死んだキジを両手で抱き、泣いているように見える。台の前面には「雉子も鳴かずば」との文字が刻まれているが、それ以外にはこの像の由来を示すものは何もなく、意外な感じを受けた。信州新町美術館で入手した「信州新町ウォーキングMAP」にはこのブロンズ像は、上の写真の通り「お菊の像」として紹介されていた。

 像の後ろに回ると、製作 寄贈 宮尾応栄、ブロンズ寄贈 黒岩峯雄 と記されたプレートが埋められている。

 奈津女公園はとても小さく、この娘のブロンズ像の横には「母さんの歌」の碑と羊の像が設置されていた。

 現地で撮影した写真は次のようである。

「雉子も鳴かずば」のブロンズ像のある奈津女公園風景(2020.11.11 撮影)


「雉子も鳴かずば」のブロンズ像 1/5(2020.11.11 撮影)

「雉子も鳴かずば」のブロンズ像2/5(2020.11.11 撮影)

「雉子も鳴かずば」のブロンズ像 3/5(2020.11.11 撮影)

「雉子も鳴かずば」のブロンズ像 4/5(2020.11.11 撮影)


「雉子も鳴かずば」のブロンズ像 5/5(2020.11.11 撮影)

ブロンズ像の台に刻まれた文字(2020.11.11. 撮影)

ブロンズ像の台の裏側に刻まれた寄贈者と制作者名(2020.11.11. 撮影)

ブロンズ像の3D画像・交差法(2020.11.11. 撮影)


ブロンズ像の3D画像・平行法(2020.11.11. 撮影)

 この少女の像の背後に回ると、ブロンズ像の前には今は穏やかな犀川の流れが見えた。

「雉子も鳴かずば」のブロンズ像 と犀川の流れ(2020.11.11 撮影)

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