お正月恒例の特別番組を見ていると、今年も早朝、ヘリコプターから日の出を追う企画が放送されていて、太陽が地平線に現れると、スタジオでも歓声が上がり、大型スクリーンに映し出される初日の出の様子を、出演者も手持ちのスマホで撮影する様子がTV画面上で見られた。
続いてヘリは場所を移動させて、富士山の山頂に太陽がかかる瞬間、すなわちダイヤモンド富士の様子を捉えていた。
毎日のように繰り返される日の出であるが、やはり元旦の日の出となると特別な感慨がある。
こうした光景を地上から眺めることのできる地域もあるはずであるが、当地からは富士山は望めないので、代りに浅間山に託すことになる。しかし、私自身は元旦のこうした光景には特別な関心があるわけではないので、これまで元旦のダイヤモンド浅間を見ようとしたことがなかったし、撮影することもなかった。
ところが、偶然ダイヤモンド浅間を見る機会が訪れた。2019年2月9日のことになるが、浅間山の東側、六里ヶ原付近の道路を車で通り抜けようとしたときに、偶然太陽が浅間山の山頂付近に沈んでいくところに出会った。
かねてダイヤモンド富士やパール富士という言葉は聞いていたので、車を道路わきのスペースに移動させ、持っていたカメラで太陽がちょうど浅間山の山頂にかかる瞬間を撮影した。次のようである。
ダイヤモンド浅間(2019.2.9, 15:25 撮影)
いつも連絡を取り合っている友人にはこの時の写真をメールに添付して紹介したが、その後はそれ以上、次は日の出時刻のダイヤモンド浅間を追うといったこともなく、忘れてしまっていた。
一昨年になるが、皆既月食と天王星食が同時に起きる極めて珍しい現象が見られるとの報道に刺激され、11月8日の夕方急に思い立って撮影準備を始めた。その時のことは、当ブログ(2022年11月11日公開)で紹介したが、常用のカメラと超望遠レンズで、月をそこそこに撮影できることを確認した。
皆既月食と天王星(2022.11.8 撮影)
これに味をしめて、この年の年末に2022年最後の満月を撮影した。この段階では、まだパール浅間を意識しておらず、自宅近くの浅間山を望める場所に行って撮影をしたが、満月は浅間山の左手、西側山麓に沈んでいった。
ちょうどこの頃、サッカーワールドカップの三苫の1mmという話題で持ちきりであったことから、満月をサッカーボールに、稜線をゴールラインに見立てて、とっさに撮影したのが次の写真であった(2022.12.23 公開当ブログ)。
浅間山麓に沈む2022年最後の満月(2022.12.9, 6:57 撮影)
この写真を眺めていて、次はぜひ浅間山山頂に満月が沈む、パール浅間を撮影してみたいと思うようになった。しかし、自宅付近で浅間山をきれいに望める場所は意外になくて、満月が浅間山頂上付近に沈んでいく場所となると、条件がさらに限られてくるので、月の入りに関する暦と、自宅周辺の地図とを見比べて撮影ポイントを探すことになった。
ネット上に撮影ポイントの情報がないか検索してみると、ダイヤモンド浅間とパール浅間の観察会の情報が見つかった。いずれもすでに終了していたが、次のようであった。
小諸市・安藤百福センター主催のダイヤモンド浅間観察会のちらし
小諸市・安藤百福センター主催のパール浅間観察会のちらし
ダイヤモンド浅間の方は、2121年11月13日開催で、観察場所はまさに私がダイヤモンド浅間に出会った六里ヶ原周辺であった。
一方、パール浅間の方は、2022年10月10日開催で、観察場所は黒斑山周辺であった。
ダイヤモンド浅間観察場所、パール浅間観察場所と軽井沢の撮影場所
ダイヤモンド浅間は太陽が浅間山山頂に沈んでいく様子の観察、パール浅間の方は浅間山の山頂付近から満月が昇ってくる様子の観察であった。一方、私が探しているのは、浅間山山頂付近に満月が沈んでいく様子を観察・撮影できるポイントなので、残念ながらこの観察会情報は参考にはならず、やはり自分で探し当てる他ないことが分かった。
ただ、こうした観察に興味、関心を持つ人がいることに勇気づけられた。
日の出・日の入り、月の出・月の入りに関する情報は、国立天文台から公開されている。長野県の暦から、上記観察会や、私が満月を撮影した日、今後撮影の可能性のある日に関連したものを抜粋すると、次のようである。
ダイヤモンド浅間とパール浅間に関連した長野県の暦(国立天文台の資料から抜粋)
2022年12月9日に私が軽井沢町内で月の入りを撮影した時の方位角は、上の表に見られるように、304.0度である。地図から読みとると、同じ撮影場所から、浅間山山頂に沈むところを撮影するには、方位角が310度くらいでなければならないが、年間を通じてそうした状態になることはなく、撮影場所を別途探さなければならないことが分かる(実際には、撮影場所と浅間山の山頂の高度を考慮して、上表の方位角からの補正をしなければならない。)。
満月時の方位角が最も大きくなる12月を選び、その撮影ポイントを求めると、次の地図の青のラインが得られるので、このライン上で浅間山が最もよく見渡せる場所を探したところ、運よくこれらの条件を満たす場所があった。
パール浅間撮影ポイントを地図上で探す
撮影予定日は2023年12月27日(月齢14.1)と28日(同15.1)である。月の入りの方位角は26日と28日は全く同じになるので、予定前日の26日に月の入りの場所が期待通り浅間山山頂に来るかどうか確認ができる。
12月26日早朝に撮影したパール浅間の写真は次のようであった。日の出時刻は6:58なので、まだ真っ暗な浅間山に月齢13.1の月が沈んでいくところを確認したが、ほぼ予定通りの場所であった。
満月前日のパール浅間(2023.12.26, 5:37 撮影)
翌27日は一番期待していた日であったが、生憎の天候で、浅間山は霧の中。何も見えない状態であったので、翌日に期待するほかなかった。
霧が出て浅間山の姿は見えない(2023.12.27, 6:34 撮影)
翌12月28日も自宅周辺は霧に包まれていて、期待薄であったが、撮影ポイントに行ってみると、自宅周辺よりも高度が高く、霧の上に出ることができたので、僅かに浅間山の山頂付近が望めた。
撮影ポイントからは満月と浅間山が見える(2023.12.28, 6:45 撮影)
ビデオカメラをタイムラプスにして撮影を開始し、傍ら、常用のカメラ2台で写真撮影をおこなった。このタイムラプス映像の方は、先に公開(2024.1.1 本ブログ)しているので、撮影時の様子をご覧いただけるが、霧は濃くなったり山頂付近が見えたりを繰り返した。
朝焼けが強くなる時や、満月が山頂に接してパール浅間状態になるところでは、幸いにも山頂部の霧が晴れて何とか撮影することができ、次のようであった。
朝焼けの浅間山と上空の満月(2023.12.28, 7:02 撮影)
浅間山山頂付近に沈む満月、パール浅間(2023.12.28, 7:18 撮影)
できれば、冠雪の浅間山が朝焼けに染まり、その山頂に満月の沈むところを撮影したいものと思っているのであるが。何しろ様々な条件に恵まれなければならず、果たして今後そうしたチャンスが巡ってくるだろうか。
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