軽井沢からの通信ときどき3D

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雲場池の水鳥(17)ヨシガモ

2022-02-04 00:00:00 | 野鳥
 今回はヨシガモ。この種はこれまでのところ、雲場池では希少種の部類に入る。昨年12月に最初にヨシガモ♀らしい姿を見かけた時には、種名がはっきりせず、そのままになっていたが、今年1月になってすぐに、2日間続けて♂の姿を見かけ、近くには♀の姿もあったことから、改めて以前12月に撮影した写真を見直し、図鑑の写真と見比べて、これもヨシガモ♀であったと判定した。

 雲場池に1月に最初に飛来したヨシガモの♂は一羽だけであった。他のカモを撮影している時に、どこからか飛んできて正面遠方に着水したところをレンズ越しに見ていて、頭部に構造色を認めたので、これまで見たことのない種と分かった。マガモ♂ともコガモ♂とも違っていた。

 帰宅後図鑑で調べて、頭部の構造色と喉が白く、黒い頸輪があるところからヨシガモと判定した。図鑑によれば、「ナポレオン帽をかぶったカモ」との記載があるが、今回最初に目撃した個体ではそうした後頭部に伸びる冠羽はまだ明瞭ではなく、さらに、脇から下腹にかけて、まだ一部に換羽前の褐色の羽が残っていたので、エクリプスから生殖羽への移行の最終期にあるものと思われた。

 また、この♂のヨシガモと一緒に写っていた♀は、最初はマガモ♀だろうと思っていたが、羽模様と嘴の色をよくみるとヨシガモの♀であると判定された。
 
 いずれにしても、過去2年間は気づかなかった種であり、♂の羽衣に特色があり、なかなか美しく、1月中は撮影に夢中になってしまった。 

 1月中旬には♂がもう一羽加わり2羽に、さらに今♂は4羽に増えている。エクリプスの名残の褐色の羽はもう見られなくなり、生殖羽に完全に変化し、オシドリとマガモの中間程度の派手さと美しさである。


雲場池で見られる水鳥(2020.1-2022.1)

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「♂の頭上は紫栗色で後頭の羽毛長く冠羽となる。三列風切細長く延びて湾曲し、みの毛状となる。嘴峰37~49mm、翼長216~255mm、尾長65~84mm、跗蹠33~43mm。顔は金緑色と光沢ある黒紫色とよりなり、額と眼の下とに小白はんが一個ずつある。喉、頸は白く幅の広い緑黒色の頸輪がある。背、脇は白と黒との虫くい状はんにて胸のはん紋は粗で半月形はんである。翼鏡は藍黒色。嘴と胸とは黒。♀は上面黒かっ色と黄かっ色とのまだら。下面胸はかっ色で黒かっ色の半月形はんがあるが腹は淡色。
 シベリアの北部及び東部・カムチャッカ・満州・樺太・千島・北海道などで繁殖し冬期は中国南部・印度支那・印度にまで渡る。我国では冬期各地に普通であり、その数は多い。昼間は海上、広い湖沼の中央部などに群集して生活し、夜間水田、沼沢地などに飛来して採食する。
 北海道で少数繁殖。冬期北海道南部・本州・伊豆七島・四国・九州などに渡来。」

 まず、最近撮影した♂の個体から見ていただく。ナポレオン帽もだいぶ伸びてきており、鎌状の風切り羽も伸びて全体としてはすっかり生殖羽に変化している。


雲場池のヨシガモ♂(後方はオカヨシガモ♂ 2022.1.23 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 そのナポレオン帽とよばれる冠羽は頭を下げると存在がよくわかる。


ナポレオン帽と呼ばれる冠羽が見られるヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 ヨシガモ♂の頭部の構造色は角度により通常は緑色の部分まで赤く変化し、全体の様子が一変して見えることがある。

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.16 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.16 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 マガモ♂と一緒のところ。大きさは同等である。


雲場池のヨシガモ♂(手前)とマガモ♂(2022.1.16 撮影)

 オオバンよりはだいぶ大きいといえる。

雲場池のヨシガモ♂(奥)とオオバン(2022.1.14 撮影)

 オカヨシガモ♂と何やら相談をしているようである。

雲場池のヨシガモ♂(左)とオカヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 この日ヨシガモ♂は2羽見られた。


雲場池のヨシガモ♂2羽(2022.1.14 撮影)

 1月中旬には♂は4羽に増え、今もその姿が見られている。


ヨシガモ♂が4羽1列になって移動(2022.1.31 撮影)

 続いて♀を見ていただくが、まず♀の羽模様がよく似た次の4種を見ておこうと思う。嘴の色がオレンジ色をしているのは、マガモとオカヨシガモであり区別される。ヒドリガモの嘴は灰色で先端部だけが黒い。こうして、ヨシガモの♀は他種と区別される。
 しかし、嘴が黒く、ヨシガモの♀と思われるものに、羽の文様の微妙に異なるものがいるので、混乱したのであった。


♀の羽色が似通っている4種の比較

 今回撮影したヨシガモの♀と思われるものは次のようである。図鑑によると、♂のエクリプスと♀とは酷似しているとあるので、あるいは以下のいずれかがエクリプスという可能性があるのだが、今のところまだ判別は付かないでいる。

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)


雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

マガモ♂とヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

 これらの2羽のヨシガモ♀を同じ画面で撮影したところがある。

雲場池のヨシガモ♀2羽(2021.12.15 撮影)


マガモ♀(右)とヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

 次は、1月初旬に最初に見かけた♂の個体であるが、腹部など一部に換羽前の状態を残していて、エクリプスの終わりごろと思われる。ヨシガモ♂の特徴とされる、鎌状に伸びた3列風切はまだ見られない。

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(2022.1.3 撮影)

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(右)(2022.1.3 撮影)

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(左)とヨシガモ♀(2022.1.4 撮影)

 最後は、生殖羽に換羽した後の♂と♀とのペアの様子と、飛翔時の♂の姿。

雲場池のヨシガモ♂(右)とヨシガモ♀(2022.1.14 撮影)

 次は暗緑色とされる翼鏡が見える飛翔時のヨシガモ♂。







飛翔するヨシガモ♂(2022.1.20 撮影)

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