軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

オリーブの実

2017-09-15 00:00:00 | 日記
 地球温暖化のせいか、街中を歩いていてオリーブの木をよく見かけるようになった。毎月来ている大阪・堺市でも玄関先にオリーブの木を地植えにしているところもあって、今の時期は実がなっている。


大阪・堺市の住宅の庭に植えられているオリーブの木と実(2017.9.13 撮影)

 2年前の秋、11月の下旬頃に群馬県にある妻の友人Mさんの畑に行った時、Mさんが自宅庭で採れたという、オリーブの実をたくさん持ってこられた。

 このオリーブの実は、緑色のものから赤紫色のものまで種々あって、赤紫色のものはよく熟しているという。いわれるままにその完熟している実を1個つまんで口にいれたが、あまりの渋さに顔をしかめた。横では妻も同じように食べかけた実を吐き出していた。聞くと、Mさんもどうしていいかわからず、まだ食べたことがないという。

 オリーブオイルはあれほど美味だし、ビン詰めなどの実も売られていて、こちらもとてもおいしいのに、一体どうしたことかと思いながら、その実を持ち帰り、食べ方を調べてみようということになった。

 この時預かった実は全部で4kgほどあり、緑色、中間色、赤紫色のものがそれぞれ1,300g、1,100g、1,700gであった。

 ネット検索をして調べてみると、オリーブの生の実は熟したものであっても渋くて食べることはできず、おいしく食べるには先ずこの渋抜きが必要とのことであった。
 
 渋抜きの方法には、苛性ソーダを用いる方法、重曹を用いる方法、塩水を用いる方法の3通りの方法が出ていた。渋抜きに要する時間を見ると、苛性ソーダの場合は15時間程度、重曹の場合は1週間程度、塩水になると1ヶ月以上の浸漬が必要とのことであった。

 苛性ソーダによる方法を敬遠している内容のブログもいくつか見られたが、その理由は苛性ソーダ自体の入手が困難、あるいは購入時に面倒な手続きが必要になるということと、劇物であり取り扱い時に危険を伴い、廃液の処理にも中和など注意が必要だからというものであった。

 私は、こうした薬品の扱いを特に敬遠することもないので、苛性ソーダ法を採用することにして、早速近くの薬局で購入した。その際、住所氏名を所定の用紙に書き、捺印が必要であった。

 購入した苛性ソーダは、学生時代に化学実験などで見たことのある小さなペレット状のものではなく、フレーク状でサイズもだいぶ大きなものである。

 私が採用した苛性ソーダを用いた渋抜き方法は、次のようなものであり(cookpad.com/recipe/927024より)早速試してみた。

1.オリーブの実を同量の苛性ソーダ1.8%溶液に15時間浸漬。
2.褐色になった溶液を捨てて、きれいな水にとり替える。
3.すぐに水が色づいてくるので、時々取り替える。約2日間で水が濁らず透明になったら完了。
4.オリーブの実よりやや多めの4%の塩水に2日間浸漬。
5.水洗いし、新たに作った4%の塩水に漬けて完成。

 2.できれいな水に取り替えた後の水の着色度合いだが、緑色の実と赤紫色の実では、緑色の実の方がより着色度合いが強いように見えた。実が熟すことにより渋みの成分が減少しているのだろうか。

 やってみると、意外に簡単に渋抜きができ、塩漬け後数日で食べることができた。

 軽い塩味と、オリーブ油から来るうまみが感じられ、とてもおいくできあがった。もちろんMさんにも一部お返しをして大変喜んでいただいた。

 これで味をしめて、その翌年もまたMさんにお願いしていたのだが、ご主人が木の剪定をしたこともあってか、実の付きが悪く量が確保できず、また収穫の時期が遅かったためシワのよった、見た目にもいい結果が期待できそうにないものであった。

 そこで、オリーブでは有名な小豆島のオリーブ農家で、生の実を販売をしているところを探し当てて連絡を取ろうとしたが、数年前から実の販売は中止していることが判った。あれこれ探しても、生のオリーブの実を販売しているところを見つけることができず、とうとうこの年は前年並みの質と量の確保を断念せざるを得ないことになった。

 そして今年、先週Mさんの畑に出かけたときに、2年前を上回る量のオリーブの実が収穫されていた。以前に比べると時期が2ヶ月以上も早く、すべて緑色の実であったが、Mさんによるとこの時期の収穫がベストだと調べてみてわかったのだという。

 今回は2年前とよく似た形状と大きさの実が4.8kgと、これとは別の木から収穫したというサイズがやや小さく長めでピーナツのような形をした実が1.8kgであった。

 早速持ち帰り、これまでどおりの方法で渋抜きを行った。


ポリバケツに苛性ソーダ1.8%溶液とオリーブの実を入れて15時間後、褐色になった溶液を捨てたところ(2017.9.10 撮影)。


きれいな水を入れて水洗するとあわ立ちやすくなっている、セッケン化が起きているのか?(2017.9.10 撮影)。


水洗後の実を一部取り出して新たな水に浸漬したところ。すぐに色がついてくる(2017.9.10 撮影)。


きれいな水に取り替えて1日後。水は褐色になる(2017.9.11 撮影)


褐色の水を捨てて、水洗いした後の実の様子(2017.9.11 撮影)

 この段階でオリーブの実を切ってみると中も淡緑色であるが、1時間ほど放置すると浸漬後の水の色と同じような褐色に変化するのが判る。水洗は苛性ソーダを洗い流すだけではなく、渋抜きを完了させるのにも必要なようだ。


苛性ソーダで渋抜きした後、きれいな水に1日浸漬した状態の実の断面(2017.9.11 撮影)


切った後1時間たった実の断面の色、褐色に変化している(2017.9.11 撮影)。

 ところで、オリーブの実がもっているこの渋み成分について調べてみたところ、オレウロペイン(オリュロペインとも)という苦味配糖体ということであった。実だけではなくむしろ葉にもより多く含まれているという。そのままではとても食べることができないこの渋み(苦味)ではあるが、オレウロペインには血圧降下作用があり、健康によいという事で注目されている物質であった。

 オリーブ果実では、最初オレウロペイン含量が高く成熟するにつれヒドロキシチロソール含量が増加するとのこと。ヒドロキシチロソールは血管保護効果があるオレウロペインの代謝産物とのことである。

 せっかくのこの成分も渋抜きですべて抽出されてしまっては何の役にも立たないが、オレウロペインとヒドロキシチロソールは渋抜き後の実にもいくらかは残っているであろうことを期待するとしよう。

 そろそろ塩漬けも完了し、今年もまたおいしいオリーブの実を肴にワインを楽しむことができそうである。


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1 コメント

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経過 (相棒)
2017-09-16 07:31:44
力作ですね。3年間温めてきた話題の披露はオリーブに愛情さえ感じます。
4%の食塩水を昨晩取り替えました。経過を観察しています。オリーブちゃんはじめ生き物の留守中のお世話はなにかと気がかりですが、オリーブは軽井沢に帰宅する頃には美味しくなっていると思いますので、オリーブとチーズとクロニンニクを肴にワインで乾杯! しましょう。 
無事のご帰宅を!!。
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