軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

新型コロナウィルス情報(21)9/4-9/10

2020-09-10 12:00:00 | 新型コロナウィルス
 特に断りのないものは読売新聞からの情報。

9/4
 ・株、コロナ前水準回復 2万3465円 先行きに警戒感も
   緩和マネー 日米市場へ 低金利 行き場なく。「実体と隔たり」過熱感指摘も。
 ・教室内 距離1mに緩和 8月感染924人 小中高 重症者なし
 ・JR 終電30分繰り上げ 乗客急減 コスト対策
 ・ワクチン無料検討 政府、希望者全員に
 ・総裁選 コロナ・経済に力点 
   菅氏・アベノミクス堅持
   岸田氏・PCR検査を拡充
   石破氏・減税で個人所得増
 ・コロナ陰性 アプリで証明 各国協議 入国手続き簡素化狙い
 ・ワクチン「10月にも接種」 CDC全米50州に準備要請
 ・ユナイテッド航空 1.6万人一時帰休
 ・経済転換・鉄鋼 需要急減 高炉を休止 拠点統廃合 地域に不安
   中国の攻勢、設備の老朽化、国内需要の低迷に新型コロナが追い打ち。
 ・米財政赤字 最悪3.3兆ドル 20年度見込み コロナ対策で膨張
 ・片岡・日銀審議委員 追加金融緩和必要との認識
 ・コロナで産み控え 調査 胎児影響や収入減 不安
 ・都の警戒レベル「感染拡大」維持
 ・国内新たに657人
 ・長野 かかりつけ医でPCR検査対応 長野市、来月以降
 ・長野 新たに12人感染 11人は軽症、1人は無症状
   上田、千曲各4人。長野3人。御代田1人。
 
9/5
 ・かかりつけ医が相談先 来月から 保健所負担 軽減
 ・五輪・パラ感染対策 年内に 調整会議 初会合
   選手・関係者・観客 入国時「行動計画」など
 ・GoToイート 月内にも 農相見通し 25%上乗せ食事券
 ・コロナワクチン政府骨子案 接種開始後もデータ分析
 ・【社説】コロナ不正受給 支援につけ込む悪意を許すな
 ・ワクチン確保に予備費から7000億
 ・コロナ流行後初 北京国際展示会 「中国国際サービス貿易交易会」4日開始
 ・ブラジル 感染者400万人超え
 ・飲食店の宅配 日常に
 ・レナウン子会社 破産手続き
 ・米 雇用回復 足踏み コロナで業績悪化 人員削減続く
 ・JOC 五輪パラ調整会議 選手の入国 緩和を要望
 ・軽症者療養 自治体で差 国、「宿泊」徹底へ
   和歌山・・・病院のみ対応、千葉・・・逼迫避けホテル
 ・都、条例改正方針 努力義務化 「感染者は外出しないで」
 ・国内感染587人 
 ・長野 風評被害対策 県が支援 上田市も独自交付金
 ・長野 9月経済動向判断据え置き 「厳しい状況が続いている」 日銀松本支店
 ・長野 松本市の3施設 利用料半額に
 
9/6
 ・菅氏、6項目政策集 コロナ対策など 「安倍路線」踏襲
   新型コロナウイルス対策:
    *爆発的な感染は絶対に防ぐ
    *感染対策と経済活動との両立を図る
    *来年前半までに全国民分のワクチンの確保を目指す
 ・インド感染400万人超す 死者数は6万9561人 経済再生優先姿勢は変わらず
   400万人超えは米国、ブラジルに次いで3カ国目。
 ・【社説】入国制限緩和 空港の検疫体制強化が急務だ
 ・【広告】コロナ後の世界 世界を代表する6人の知性が示す未来 文春新書
 ・中国が大型展示会開催 コロナ後初 「経済回復」演出
 ・【広告】ルポ・新型コロナ詐欺 奥窪優木著 扶桑社新書
 ・コロナワクチン 公平分配を Gavi・バークレー事務局長
 ・国内感染599人 死者9人
 ・長野 新たに2人感染 上田市男性は軽症、長野市女性は無症状
 
9/7
 ・飲食店97%「発熱お断り」 業界指針8割が実施 農水省調べ
 ・【広告】本、新型コロナで医療が変わる 武藤正樹著 日本医学出版
 ・「継続性」で菅氏支持 本社世論調査 コロナ禍 変化望まず
 ・コンビニおでん 様変わり コロナ対策 手前に板・まとめ売り・パック詰め
 ・【コロナの疑問】日本の感染者 なぜ少ない? BCG有効仮説のひとつ
   大隅典子・東北大教授(分子生物学)・「BCG接種は有力な要因だと思います
  が、決め手は一つではなく、社会・文化的な背景も複雑に絡み合っているのでは
  ないでしょうか」
 ・国内感染451人 死者は計8人
 ・長野 上田の繁華街 有志で除菌 感染防止対策アピール
 ・長野 長野市の30代感染 県内累計287人に  

9/8
 ・インド首都の病院が医療崩壊、コロナ感染者は急増し世界2番目に(ロイター)
   インドで半年近くにわたり新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、首都ニ
  ューデリーのコロナ対応専門のある病院では、医師たちが疲労や人員不足で厳し
  い状況に直面している。同国の感染者数は7日、420万人を突破し、ブラジルの感
  染者数を超え、米国に続き世界で2番目に多い水準となった。
 ・世界の債務残高 最悪に IMF見通し 第2次大戦後 超す コロナ対策で膨張
   先進国GDP比128%。
 ・待避所満員 悩む自治体 台風10号 コロナ対策 定員を制限
 ・【社説】五輪の感染対策 安全な大会運営の道筋示せ
 ・EU域内 移動再規制 コロナ増 自主隔離・検査求める
 ・韓国 消えた夜の街 規制強化2週目
 ・【コロナの疑問】なぜ嗅覚に障害?
   嗅神経の周辺を攻撃。イタリアでは約34%、米英調査では約65%に異常が見られた。
 ・コロナ下でも五輪来年開催 コーツ副会長方針
 ・コロナとインフル同時判定 国内2社 検査装置 年内にも
   唾液で検査高速PCR装置
 ・国内感染294人 都内は77人
 ・重症者にステロイド薬 推奨 WHOがコロナ治療指針発表
 ・長野 自動水栓 需要増応える ミナミサワ・南澤宏一社長
 ・長野 信州大生 感染相次ぐ 一部入構禁止、教育実習中止 
   対面授業再開へ 他大学も対策強化
 ・長野 上田で新たに3人感染 軽井沢病院269人陰性
 ・長野 インフル予防接種 助成対象の拡充へ 須坂市、来月から

9/9
 ・欧米製薬9社、コロナワクチン開発で科学的な基準順守 共同声明(ロイター)
    新型コロナウイルスワクチンの開発競争が加速し安全性への懸念が台頭する
  中、欧米の製薬会社9社は8日、開発中のワクチンの免疫効果を巡る科学的な基
  準を守るとする共同声明を発表した。
   共同声明を発表したのは 米ファイザー、英グラクソ・スミスクライン(GS
  K)、英アストラゼネカ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、米メ
  ルク、米モデルナ、米ノババックス、仏サノフィ、独ビオンテック。中国の企業
  や機関による共同声明の署名はなかった。
   9社は声明で「新型ウイルスワクチンの世界的な承認に向け開発を進める中、
  われわれは科学的なプロセスの完全性を守る」と表明。規制当局のガイダンス
  に従う姿勢を示した。
   米食品医薬品局(FDA)は8月、開発中の新型ウイルスワクチンについ
  て、当局が恩恵がリスクを上回ると判断した場合、臨床試験(治験)の最終段階
  である第3相治験を必ずしも実施する必要はないとの見解を表明。これに対し世
  界保健機関(WHO)は警戒を呼び掛けている。
   ワクチン開発に携わっている製薬会社は現時点では大規模治験の結果はまだ公
  表していない。ただ、ロシアが8月にワクチンを承認したほか、中国の科興控股
  生物技術(シノバック・バイオテック)の尹衛東最高経営責任者(CEO)は今
  月、政府のワクチン緊急使用計画に基づき、同社が開発したワクチンを従業員と
  その家族に接種したと明らかにした。
   ファイザーと提携してワクチンを開発するビオンテックのウグル・サヒン共同
  創業者兼最高経営責任者(CEO)は、「ワクチンが可能な限り早期に接種可能
  になることに向けた圧力と期待が存在しているが、開発に向けた手順が一部省略
  されるのではないかとの不安も出ている」とし、「われわれは安全性と効果を犠
  牲にしないと表明したかった」と述べた。
   トランプ大統領は11月3日の米大統領選挙前にワクチン接種が可能になる可
  能性があると表明。これに対し民主党の副大統領候補、カマラ・ハリス上院議員
  は、トランプ氏の発言だけをあてにすることはしないと述べるなど、米国ではワ
  クチン開発が政治化している。
   今回の共同声明に参加しなかったドイツのワクチン開発Leukocareの
  マイケル・ショール最高経営責任者(CEO)は、「ロシアによるワクチン承認
  や、米国で見られている承認を急ぐ傾向は、著しいリスクをはらんでいる」と指
  摘。「充分に安全でないワクチンが承認され、ワクチン接種全般にマイナスの影
  響が及ぶことを最も恐れている」と述べた。
 ・GoToクーポン来月開始 旅行代金の最大15%配布
 ・「クーポン」2カ月遅れ 東京適用なお見えず
 ・イート参加店に感染対策 農水省 消毒液や換気など
 ・GDP修正 年28.1%減 改定値 設備投資不振
 ・GDP下方修正 コロナ再拡大 消費伸びず
 ・ユーロ圏GDP 年39.4%減 4~6月確定値 下げ幅過去最大
 ・ワクチン確保 予備費6714億円 閣議決定
 ・富士フィルム子会社 ワクチン原薬3倍に コロナ対応 米工場
 ・少人数学級推進 合意 教育再生会議 コロナ対策踏まえ
 ・総裁選の争点 論戦スタート 対コロナ
   菅氏 経済優先・岸田氏 PCR拡充・石破氏 特措法改正
 ・都道府県患部 本誌調査 「コロナ」「経済」新総裁に要望
 ・コロナワクチン トランプ氏「早期完成」連呼 「政治利用だ」野党批判
 ・習氏、コロナ対策自賛 式典で演説 「責任転嫁」米をけん制
 ・中国 ワクチン3種公開 年内にも実用化見通し
 ・「観客2万人か50%に」プロ野球・J 上限緩和を要望
 ・コロナ倒産500件
 ・国内感染513人 死者18人 
 ・長野 長野マラソンオンラインで 来月、アプリ使用
 ・長野 コロナ2人感染 

9/10
 ・英 ワクチン臨床中断 アストラゼネカ 安全性を確認 厚労省が発表
 ・ワクチン「安全優先」 製薬9社 異例の声明
   ワクチン開発に慎重さ求める声 専門家
 ・ASEAN支援 100万ドル拠出表明 外相、コロナ対策で
 ・中國 ワクチンの優先提供を提案 ASEAN加盟各国に
 ・武漢「封じ込め成功」 中国当局 海外メディアに協調
 ・GoTo 中小宿泊施設に予算枠 国交省検討 高額ホテル偏重で
 ・国内感染508人
 ・GoTo「東京」10月にも 政府、追加を判断へ 都、警戒レベル下げ方針
 ・コロナ 治療薬に指針 2学会 重症度別に推奨
   アビガン、レムデシビル、ヒドロキシ・クロロキン、デキサメタゾン、アクテムラ
 ・【広告】女性セブン 独占レポート・「日本人はすでに新型コロナを克服した」
   奇跡の秘密 京大教授の衝撃の新説がすべてを解き明かす 
 ・長野 19市 財調77億円取り崩し コロナ対策で 財源確保に不安
 ・長野 感染者の搬送 消防局が実演 
 ・長野 御代田在住50代男性が感染、海外出張のための検査で判明、症状はない
 ・長野 県内累計は293人

 ・Johns Hopkins Univ. 公表情報 世界と日本の累計感染者数推移

世界の累計感染者数推移 2020.9.10現在 
    

日本の累計感染者数推移 2020.9.10現在
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オガサワラシジミ

2020-09-04 00:00:00 | 日記
 2020年8月27日、ネット上でオガサワラシジミが絶滅したのではとの情報が配信され、翌28日の新聞紙上にも記事が掲載された。これまで国内のチョウで絶滅した種はないという。

オガサワラシジミの絶滅の危機を伝える読売新聞記事(2020.8.28付)

 私のように、多少チョウに関心を持っている者でも、オガサワラシジミと聞いてすぐにその姿が思い浮かばない。

 いつもチョウについて調べる時には、真っ先に参考にしている「原色日本蝶類図鑑」(横山光夫著 1964年 保育社発行)を見てみたが、オガサワラシジミの名前は見当たらなかった。後でわかったことであるが、米国の統治下にあった小笠原諸島が日本に返還されたのは1968年のことであるから、この本が出版された時には採りあげることができなかったのだと思われる。

 手元の他のいくつかの資料をまとめてみると、オガサワラシジミは次のようである。

 前翅長14~18mm。裏面は灰色、後翅は強く青緑色をおびる。♂は翅表が濃青紫色、外縁に黒帯がある。低温期の♀は、外縁の黒帯が♂よりやや幅広くやや明るい青色部が広がり、高温期では狭く、ほとんど黒褐色になる。♂♀の差異は翅表で明瞭、翅形は♀の方が丸みを帯びる。♂の複眼は♀よりも顕著に大きい。
 小笠原諸島(弟島、兄島、父島、母島、姉島)の特産種(本の出版された1991年時点の話)。国の天然記念物に指定されている。
 ほとんど周年見られ、食樹はオオバシマムラサキ(クマツズラ科)、テリハコブガシ、コブガシ(クスノキ科)。花、蕾を食べる。
 日中、♂は樹上を敏捷に飛翔し、見晴らしのよい場所で占有行動をとる。♀は♂よりもやや緩やかに飛翔する。シマザクラやオオバナセンダングサなどで吸蜜する。

 「フィールドガイド・日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)には約束通り雌雄の翅表・裏の写真が載っていて、生息状況と保全の様子も次のように紹介されている。

 「父島列島にも生息していたが、すでに絶滅し、現在は母島で見られるのみである。外来種グリーンアノールによる捕食や外来植物の繁茂が減少の要因とされ、さまざまな主体が参画し、保全活動が行われている。」

 ♂の翅表の写真を見ると、解説のとおり濃青色をしていて外縁に黒帯がある。♀の方はこの部分がやや明るい青色部になっている。これを見ていると、ムラサキシジミに似ているように見えるが、別の図鑑「日本産蝶類標準図鑑」(2011年 学研教育出版発行)の標本の写真では、ルリシジミやスギタニルリシジミとの共通点が多いようである。

 翅裏の色は特異である。近縁の種とされるルリシジミとは異なり、後翅は亜外縁~外縁を除いて青緑色を帯び、不明瞭な黒点列がある。この後翅の淡い青緑色は、構造色のようであり光沢があってなかなか美しい。前掲の新聞の写真でこれを見るのはもちろん無理な話であるが、「フィールドガイド・日本のチョウ」掲載の写真にはその特徴がよく現れている。
 
 今回こうした事態に至った簡単な説明は上掲の新聞記事にも見られるが、その背景をもう少し詳しく調べてみた。

 先ず生息地とされる小笠原諸島から。東京から約1000㎞南に位置し、北から聟(むこ)島列島、父島列島、母島列島、西ノ島、火山列島(群島)などからなる。火山列島には第二次世界大戦の激戦地・硫黄島がある。

小笠原諸島・群島の地図 

 こうした、隔絶された環境により生まれた特異な生態系が高く評価され、2011(平成23)年に小笠原諸島は世界自然遺産に登録された。島で独自の進化を遂げた動植物は550種以上を数え、特にカタツムリなどの陸産貝類とシダなどの維管束植物の固有率には目をみはるものがあるとされる。

 ほかにも独自の進化を遂げてきた「固有種」の宝庫とされ、常緑広葉樹林に覆われた島には亜熱帯の植物が多く、ワダンノキ、シロテツ、オオハマギキョウなどの世界的にも珍しい固有植物も少なくない。動物では、特別天然記念物であり国際保護鳥のアホウドリや、同じく特別天然記念物で母島にしか生息していないハハジマメグロをはじめ、アカガシラカラスバト、オガサワラノスリ、オガサワラハシナガウグイスなど貴重な個体が生息している。

 この自然観光資源をベースに、海ではイルカやクジラのウォッチングツアー、山や森ではガイドによる探訪ツアー、ナイトウォッチング、戦跡めぐりなどが催されている。
 
 内地と小笠原諸島を結ぶ唯一の定期貨客船として重要な役割を果たしているのは「おがさわら丸」で、東京港(竹芝桟橋)と父島(二見港)間に就航している。1968(昭和43)年の返還後、当初は東京都が「黒潮丸」を運行していたが、1972(昭和47)年から小笠原海運が定期便の運航を開始し、現在に至っている。当初は「椿丸」、続いて「父島丸」によって運航。「初代おがさわら丸」が登場したのは1979(昭和54)年のことであった。その後、1997(平成9)年~2016(平成28)年まで「2代目おがさわら丸」、現在は、より大型化、高速化された3代目が就航している。通常は週に1便、繁忙期は3~4日に1度のペースで運行し、所要時間は24時間。また父島・母島間は「ははじま丸」が足となり、多くの島民や観光客を運んでいる。

 今回の話題の蝶、オガサワラシジミについては、参考にしたこれら一般的な資料の中には出てこない。その意味ではマイナーな存在のようである。

 2002年に発行された「自然科学のとびら」(第8巻第3号、神奈川県立生命の星・地球博物館 広報誌)に苅部 治紀氏の「小笠原の固有昆虫は今」でオガサワラシジミについて触れたところがあるので、一部を引用すると次のようである。

 「東京から南に約1000キロのところに位置する小笠原諸島は、『東洋のガラパゴス』とも呼ばれ、世界中でもここにしか生息しない固有動植物の宝庫です。今回は、この貴重な小笠原諸島の固有昆虫のおかれている危機的状況について紹介したいと思います。・・・
 動植物の豊富な大陸からは陸続きでないために、生物は直接侵入することができず、例えば海流に乗って漂着する流木の中に入ってきたり、台風などに巻き込まれて運ばれたりという、偶然の機会によってのみ島にたどり着くことになります。そして、そのような少数の先祖から長い時間をかけて進化した結果が、現在のような固有種の豊富な独特の生物相がみられる島なのです。
 しかし、残念ながらこの東洋のガラパゴスはかなり危機的な状況にあります。・・・
 固有鳥類であったオガサワラマシコ・オガサワラガビチョウ・オガサワラカラスバトなどはわずかな標本を残して(入植による開発で)早々に絶滅してしまいました。・・・
 ただし、興味深いことに固有昆虫類については、この時期(戦前のこと)に減少した種があった様子は見られません。
 第二次世界大戦中には全島民に避難命令が出され、さらに大戦後は米軍統治下にあって、住民の帰島も許されず、結果的にこの期間中に島の自然はかなり回復したといわれています。そして日本返還直後の1968年に行われた調査をもとに昆虫ではシマアカネ・オガサワライトトンボ・オガサワラトンボ・ハナダカトンボ・オガサワラシジミ・オガサワラタマムシ・オガサワラアメンボなどが国指定の天然記念物に指定されました。これらの固有種は当時は父島にも多産しており、本土から遠く離れた小笠原の立地条件からしても、これらの昆虫が減少するとは誰も想像していなかったのが実状です。当館のもう一人の昆虫担当である、高桑正敏学芸員も1976年に小笠原を調査に訪れ、多くの新知見をもたらしましたが、当時はシマアカネやオガサワラトンボといった固有トンボ類、オガサワラシジミなどの固有蝶類は、それこそ『そこら中に普通に見られた』ということです。・・・
 島の昆虫たちに異変が起きた(正確には研究者たちが異変に気がついた)のは、1980年代の中頃です。それまで普通に見られたシマアカネやオガサワラトンボ、オガサワラシジミなどが、父島からほぼいっせいに姿を消してしまったのです。・・・そして、あとを追いかけるように今度は母島です。1990年代初頭まではやはり多数確認されていたこれら固有種が、1990年代後半にはほぼ姿を消してしまう事態になってしまいました。
 では、これらの昆虫はなぜこつ然と姿を消してしまったのでしょうか?・・・
 開発によって環境悪化したとはいえ、父・母両島はオガサワラの中では面積が大きいおかげで今でも良好な植生の山や川は多く残っています。そこで、はっと気がついたのが、『もしかしたら昆虫の減少は捕食者によるものではないか!?』ということでした。・・・」

 手元にあって、やはりいつも参考にしているチョウの生態写真図鑑「チョウ①、②」(渡辺康之著 1991年保育社発行)でオガサワラシジミの項を見ると、1985.9.13、14日にそれぞれ母島で撮影された♀の翅裏の写真と幼虫の写真が載せられている。

 撮影された1985年といえば上記苅部氏の報告ではオガサワラシジミが父島から姿を消した時期であり、母島ではまだ多数が生息していたとされている時期である。しかし、翅表の写真がなく翅裏のものだけであること、♂の写真が見られないことなどから、既にこの当時、オガサワラシジミを見つけることが困難になっていたことが想像される。

 ところで今回の報道は、オガサワラ諸島での話ではない。本州の2施設で人工繁殖を試みていた幼虫、成虫がすべて死んでしまったという内容である。現地小笠原諸島の最後の生息地である母島でも2018年以来発見されていないことから、絶滅の可能性が出てきたという話である。

 この2施設とは、東京都の多摩動物公園と環境省新宿御苑である。ここでの人工繁殖の取り組みについては、次の資料からその様子が伝わってくる。2017.11.9付けの東京ズーネットからの発表であるが一時は人工繁殖成功の喜びに沸いていた様子が知れる。

 「多摩動物公園では環境省が進めるオガサワラシジミ保護増殖事業の一端を担い、2005年からオガサワラシジミを非公開で飼育繁殖し、生息域外保全に取り組んでいます。
 このたび第6世代の交尾に成功、第7世代が孵化し、導入から1年以上の飼育を初めて継続させることができましたのでお知らせします。 」   
 
 同じく東京ズーネットの公式HPには成功発表からその後、今日に至る経緯が次のように示されている。
 
 「絶滅危惧種のオガサワラシジミについては、小笠原諸島で分布が記録されていますが、外来種のグリーンアノールの影響等により、1990年代までに父島列島で姿を消し、近年、母島で見られるのみとなったため、関係機関、団体、専門家、地域住民などと、生息域内外での保全対策に取り組んできました。
 その一環で多摩動物公園と環境省新宿御苑においてオガサワラシジミの累代飼育にも取り組んできましたが、今春から個体の有精卵率が急激に低下し、繁殖が困難となり、2020年8月25日に飼育していたすべての個体が死亡しました。

保全対策の経緯
2005年東京都が多摩動物公園において飼育下での繁殖の取組みを開始
2008年種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定
2009年種の保存法に基づく保護増殖事業計画を策定
関係機関と連携しながら、生息状況の調査や外来種対策などの保全対策を開始
2016年多摩動物公園において、園内施設を使用した交尾に成功し方法を確立
2017年多摩動物公園において、1年以上の継続した累代飼育にはじめて成功
2018年公的機関による生息状況調査では母島において個体が確認されなくなる
2019年10月環境省が多摩動物公園から個体を譲り受け、新宿御苑で飼育下繁殖を開始
2020年4月多摩動物公園および新宿御苑における有精卵率の顕著な低下
2020年7月新宿御苑において飼育していた全個体が死亡
2020年7月、8月母島において個体確認調査をおこなうが、確認なし
2020年8月25日すべての個体が死亡(多摩動物公園20世代目の幼虫)
 」 

 現在天然記念物に指定されているチョウは10種いて次のとおりである。


 また、絶滅危惧Ⅰ類に指定されているチョウは次表の16種である。オガサワラシジミの名前は両方に入っている。この両方に名前があがっている種は他にはゴイシツバメシジミがある。
 
 このゴイシツバメシジミ、天然記念物指定は、熊本県、宮崎県の一部とあるが、「フィールドガイド・日本のチョウ」によると、生息地はこのほか奈良県にもある。食草はシシンラン(イワタバコ科)ということで、近年、原生林の伐採や樹林の乾燥、食草も含めた密猟により、生息地や食草が失われ、個体数が激減しており、保全活動が行われているとされる。オガサワラシジミの絶滅が決まったわけではないが、ゴイシツバメシジミもまた厳しい状況にある。





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新型コロナウィルス情報(20)8/28-9/3

2020-09-03 12:00:00 | 新型コロナウィルス
 特に断りの無いものは読売新聞からの情報。

 8/28
 ・ワクチン全国民分確保へ 政府コロナ対策 来年前半に
   インフル同時流行警戒
 ・【新たな日常】4⃣「松嶋屋!」響かぬ舞台 歌舞伎座、飛沫の危険性から禁止
   ブラボーは心の中で 
 ・景気「持ち直し」維持 輸出・生産を上方修正 8月月例報告
 ・五輪コロナ対策 来月会議
 ・【広告】同調圧力 佐藤直樹・鴻上尚史著 講談社現代新書
   今回のコロナ禍で狂暴化した「世間」に苦しんでいる人たちに、なんとか届い
  ほしい。
 ・【社説】コロナ運用緩和 効果と課題の見極めが肝心だ
   指定感染症の運用の仕方を探ってほしい。
 ・臨時交付金 増額前向き 再生相
 ・緊急事態条項 「感染症要件に」 自民議連、憲法改正案に盛り込み申し入れ
 ・豪 「成長の30年」終幕へ 森林火災とコロナ直撃 
 ・ガザ 感染爆発の懸念 密集の難民キャンプ 365平方キロに約200万人
 ・金融システム 不安定化警戒 鈴木日銀審査委員オンライン講演 物価安定化に懸念
 ・病院経営支援 実情踏まえて コロナ禍で財政悪化 対策の遅れ不信招く 財源国民負担に
 ・錦織 全米を欠場 検査は陰性になるも、調整不足
 ・都 時短要請を延長 来月15日まで 23区の飲食店
 ・山梨 来月末まで休業要請を延長 接待を伴う飲食店など、延長は6回目
 ・地検職員が感染 富山で公判延期
 ・休業手当4人に1人「なし」 
 ・陽性率」 半数が非公表 政令市・23区 「検査数確認しきれず」
 ・行政区別の感染者数 公表7市のみ 負担大きい
 ・都内感染 計2万人超え    
 ・長野 コロナ感染 新たに6人 累計200人 入院患者はほぼ軽症
 ・長野 しばらく緩い流行続く 信大附属病院副室長

8/29
 ・安倍首相辞任表明 長期政権 コロナ下 持病悪化 後任 菅・岸田・石破氏の名
   政治空白を回避 「断固さ」薄れ 求心力低下 健康管理を反省 病気理由戦後6例目。
   コロナ対策節目、「投げ出し」回避懸命。
   拉致・五輪 道半ば 組織委幹部「無念だろう」 コロナ対応 評価と苦言
 ・無症状の宿泊療養 徹底 政府、政策パッケージ決定
 ・【社説】首相退陣表明 危機対処へ政治空白を避けよ
 ・【新たな日常】5⃣ 机に仕切り 無言の給食 児童の距離 「正解」手探り
 ・女性登用 コロナで後退 業績悪化 促進企業で7.4ポイント減少
 ・首相辞任表明 五輪招致尽力 感謝の声 スポーツ界「意思継ぐ」
 ・インフル同時流行備え 政府コロナ対策
   成田・羽田・関空 検査能力増強へ
 ・病床 最大2.7万床確保 都道府県
 ・国内感染873人 死者は20人
 ・雇用助成金特例 12月末まで延長
 ・長野 コロナと共存 覚悟を 感染者への誹謗中傷を懸念、県内は死亡者ゼロ
 ・長野 コロナ感染 新たに19人 1日あたり最多 上田広域圏「レベル4」に
 ・長野 実績評価割れる 自民県連幹事長 「次期首相コロナ収束を」

8/30
 ・【社説】コロナと中傷 感染者を責めるのは理不尽だ
 ・【書評】コロナ後の世界 大野和基編 文春新書 
 ・天理大へ非難相次ぐ 集団感染 電話やメール50件 天理市長は冷静な対応求める
 ・国内感染845人
 ・長野 国際交流 学ぶ場危機 軽井沢の全寮制高校 新留学生入国できず コロナ影響
 ・長野 新たに18人感染 中等症1、軽症11、無症状6人
    
8/31
 ・日豪印が製品供給網 近く共同声明 中国依存を軽減
 ・力士ら1000人 コロナ講習 国技館
 ・コロナ世界感染2500万人
 ・コロナ感染 救急搬送後判明247件 2~5月、消防調査 発熱など症状なし
 ・国内600人感染 都内148人
 ・長野 地震総合防災訓練 コロナ禍の避難実施 飯田
 ・長野 新たに12人感染 11人軽症、1人無症状、県内累計は249人

9/1
 ・WHO、コロナワクチンの緊急承認は「慎重」に(ロイター) 
    世界保健機関(WHO)は31日、新型コロナウイルスワクチンの緊急承認に
  は「相当な重篤度や熟慮」が求められるとして、各国に慎重な対応を促した。
   WHOの主任科学者、ソミヤ・スワミナサン氏は、全ての国に臨床試験(治
  験)が完了する前に薬剤を承認する権利があるとしながらも「軽率に行うべき事
  柄ではない」と指摘。WHOとしては、ワクチンの事前承認に利用可能な一連の
  完全なデータが出そろうのを待ち、その上で事例に応じて有効性や安全性を検討
  する立場だとした。
   WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、完全な治験が済んで
  いない段階で薬剤が迅速承認された場合、集中的な監視や安全性を巡る経過観察
  が必要で、問題が発生すれば速やかに使用を停止すべきと強調。「何百万人もの
  人々に性急にワクチンを接種しても、一定の副作用を見逃す恐れがある」と述べ
  た。
   ロシア当局は今月に入り、治験の終了を待たずに新型コロナワクチン「スプー
  トニクV」を承認。また米食品医薬品局(FDA)のハーン長官は、コロナワク
  チンの効果がリスクを上回ると確信できるという条件で、後期(フェーズ3)治
  験完了前にワクチンを承認する用意があると発言した。
 ・感染減少傾向続く ピーク7月末 厚労省機関
 ・【広告】写真リポート・コロナ クレヴィス編 クレヴィス出版
 ・7月の宿泊者数 観光需要限定的 前年比56%減
 ・【社説】防災の日 コロナとの複合災害に備えを
 ・検証アベノミクス コロナ直撃 税収急減 支出急増、鈍る歳出改革、広がらぬ議論
 ・東南アジア百貨店苦境 量販店は出店攻勢 「バンコク伊勢丹」閉店
 ・金融庁 コロナ対応優先 行政方針 企業資金繰りを確認
 ・7月鉱工業生産 2か月連続改善8%増も、水準尚低く
 ・国内感染437人 都内は100人
 ・五輪 コロナ対策年内にも 選手にPCR,専用バス
 ・長野 気化熱でひんやりマスク 千曲の会社開発 外側濡らして使用
 ・長野 コロナで断念 挙式無料で 長野の結婚式場会社 他社契約でも対象
 ・長野 新型コロナ新たに7人 5人軽症、2人無症状 入院者初の100人超へ
   重症者はおらず、7人が中等症。

9/2
 ・自民総裁選 菅氏支持5派に拡大 早期解散に慎重 菅氏、コロナ対策優先
 ・ワクチン共同購入 参加へ 厚労相
 ・J&J傘下企業 国内で治験開始 250人にワクチン
 ・GoTo感染 6人を確認 事業利用者数は1か月でのべ556万人
 ・7月求人 1.08倍に悪化 6年3カ月ぶり低水準
 ・百貨店売上高 8月も大幅減 大手3社
 ・【論点】経済活動維持への感染対策
   浦島 充佳氏・東京慈恵医大教授 重症患者のみ入院 徹底
   徳田 安春氏・群星沖縄臨床研修センター長 PCR・抗原 1日50万件に
   釜萢 敏氏・日本医師会常任理事 公的検査機関の増設を
 ・新潟・燕市 「コロナ禍 戦争で解消」 教育長 市教委で文書配布
 ・シングルマザー 3割仕事断念 コロナ 家族に感染不安 NPO調査
 ・国内630人感染 死者は14人
 ・災害時の帰宅困難者 施設足りぬ 「密」避けると収容力6割減 
 ・長野 コロナでも備え万全 防災の日 各地で訓練
 ・長野 初の死者 諏訪広域圏 警戒引き上げ 死亡した人の詳細は非公開

9/3
 ・コロナ感染減少続く 8月末 重症者数は横ばい 厚労省助言機関
   調整致命率 5月7.2%、8月0.9% ただし70歳以上は25.5%、8.1%。 
 ・入院措置緩和へ 作業部会を設置
 ・米、ワクチン共同購入不参加 国際枠組み「WHO・中国の影響下」
 ・ポスト安倍 コロナ2閣僚 光当たらず
 ・自民総裁候補へ 知事会が提言案 コロナ対策、地方分権
 ・競技会 感染予防を徹底 日本パラ陸連 増田明美会長
 ・首都圏 終電繰り上げ JR東、来春ダイヤ 山手線など検討 決算赤字受け
 ・国内596人感染 都内141人 
 ・検査体制拡充へ 手続きを簡素化 日医と厚労省協議
 ・燕市教育長 辞任を表明 コロナ禍めぐり不適切文書を配布
 ・コロナ恐れ 接触制限 東京から息子のヘルパーX、夫に会いに大阪女性の子供の保育園登園X 
 ・長野 コロナ差別抑止へ 県主催の連絡会議
 ・長野 県内初 コロナ院内感染か 軽井沢の病院 新たに患者2人感染
 ・長野 上田の接待伴う店 無料でPCR検査
 ・長野 感染防護服の着脱体験 長野南署が警備訓練 

 ・Johns Hopkins Univ. 公表情報 世界と日本の累計感染者数推移

世界の累計感染者数推移 2020.9.3現在 
    

日本の累計感染者数推移 2020.9.3現在




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