*トラヴィスの3rd盤『The Invisible Band/インヴィジブル・バンド』(2001年)
3作目が全世界で300万枚を売る大ヒットに
今回、ネットを駆使し、さんざん90年代以降のロックを聴きまくった。おかげでやっとトラヴィス(Travis)というバンドを見つけることができた。
彼らはスコットランド・グラスゴー出身の男性4人組ロックバンドだ。
続く1999年5月にリリースした2nd盤『ザ・マン・フー』(The Man Who)で一気に火がつき、ビッグバンドへの道をのぼり詰めて行く。
この盤は発表から3ヵ月目で全英アルバム・チャート1位に輝いた。これが発火点だ。以後、本盤はロングセラーになり、全世界で400万枚を売り上げている。
以降、彼らは順風満帆の活動ぶりだ。で、前回の記事ではそんなセカンド・アルバム期までを概観した。一方、今回はサードアルバムをサーチしよう。
まずはコトの経緯と経過説明からだ ただ、この記事で初めて当ブログをお読みの方もおられるだろう。
ゆえに「本番」へ突入する前に、ひとつやることがある。初めて今回の案件をお読みになった方向けに、次項以降でこれまでのトラヴィス発掘に至る経緯とさわりをまず簡単に短くやろう。
そして次に文末では、今回、音を聴くのに駆使したストリーミング・サービス「
Amazon Music Unlimited」についてもカンタンに触れる。
というのも、今回なぜ私はこんなふうに未知の音楽やバンドの音に次々アクセスできたのか? そしてなぜ、あれこれさんざん実際の音を聴くことが可能だったのか?
まったくハナから存在すら知らなかった、まるで未知のバンドの音をゼロから見つけて聴き、カンタン手軽にお宝を探し出せたのはなぜか?
それはひとえにネットのおかげ。というか、ストリーミング・サービスをフル活用したからなのだ。
紆余曲折はあったがあの70年代の音楽だけに囚われた完全無知な状態から、すでにいまは90年代以降の音楽に関しけっこう知識を得た。
それもネットがあればこそ。だから文末でAmazon Music HDの機能や特徴、つまり「できること」をごくカンタンに短く説明しておきたい。
もちろん「解説が長いぞ。俺はトラヴィスの記事さえ読めればいいんだ」という方は、どうぞ文末にあるAmazonのストリーミング・サービスの機能解説は読み飛ばしてください。
なぜ私は70年代(を含め)の音楽しか聴かなかったのか?
さて今回はトラヴィスが出したサードアルバムのお話になるが、まず今まで本シリーズに書いてなかったことを初めて書こう。コトの前提だ。
なぜ私は70年代の音楽にこだわり続けたのか? である。
まず昔は音楽を録音する際、全部の楽器をいっぺんに録音する一発どりが主流だった。特に1980年代まではテープで録音されていた。
私はこれまでそんな70年代を含む(それ以前)の音楽しか聴かなかった。
なぜなら80年代にあの忌まわしい「打ち込み」が登場し、シーケンサーやリズムボックスが業界標準になったからだ。
趣味の日曜アマチュアベーシストの身としては、リズム隊(BassとDrums)こそが命だ。
その相棒になるドラマーが人工的なリズムボックスになるなんてあり得ない。あの音にはどうしても耐え切れなかった。
また当時、世の中的にもそれらをフル活用した機械的なテクノポップが大流行するわで、すっかり「人工の音」が主流になってしまった。私が大嫌いな世界だ。
そんなわけでもう私は最新の音楽を追うのをやめた。で、70年代と(それを含む以前の音楽)に完全に引きこもった。
80年代に吉田美奈子や山下達郎、竹内まりやなら聴いた
まあ確かに70年代末から80年代当時もてはやされ始めた、一流スタジオ・ミュージシャン陣をフル起用した80年代のシティポップあたりなら唯一、聴いていた。
例えば1979年にリリースされた松原みきの「真夜中のドア」は衝撃的だった。
現にあれは2020年末にSpotifyの「Viral 50 GLOBAL」チャートで、なんと18日連続・世界1位を記録した。ちなみに私は彼女の「引退さよならコンサート」にも行ったクチだ。
特にあのバックをつとめた岡沢章のベースプレイには、すっかりノックアウトされた。で、精密にコピーしまくり長時間、練習したものだ。
特に1979年に彼が加入したフュージョン・バンド「プレイヤーズ」のライヴを六本木のピットインへ観に行き、ライヴが終わったあとステージにまで上がり込んでわざわざ握手してもらった。
岡沢氏といえば思い出すのは1980年10月に吉田美奈子が楽曲「レッツ・ドゥ・イット」を六本木ピットインで演ったライヴの音源だ。
あれには強く魅了された。すごい演奏だった。
そのバージョンの名曲「レッツ・ドゥ・イット」は、その六本木ピット・インで収録した諸ライヴ音源を元にスタジオでの追加録音を加えて制作された最高傑作ライヴ盤『IN MOTION』(1983年)に入っている。
そこからさかのぼって彼女のアルバム『MONSTERS IN TOWN」(モンスター・イン・タウン)』(1981年11月リリース)にもたどり着いた。
あとは山下達郎の一連のアルバムあたりだ。きっかけは1978年12月に発表された3rdアルバム『GO AHEAD!』 (ゴー・アヘッド! )収録の楽曲「BOMBER」だった。
ご多分に漏れずあの田中章弘(bass)が演るかっこいいスラップ奏法のトリコになり、これまた毎日練習したものだ。
そのほか80年代に青山純(dr)と伊藤広規(b)がリズム隊を組んだ一連の山下達郎の作品群なら聴いた。
あとは1978年作の1stアルバム『Beginning』でデビューを飾った竹内まりやの80年代作品もそこそこ聴いた。
ほかは80年代に全盛を誇った内外のフュージョンだ。
あれらなら実際ライヴハウスに何度も行ったし、アルバムもけっこう買った。キリがないからもうアーチスト名はもう上げない。
つまり80年代といえば、上記のシティポップとフュージョンのみ。あとはまったく聴かなかった。
その流れで特に今回、90年代以降の音楽となるとまったく聴いたことがないし、ぜんぜん知らない。無知の極みだ。で、今回の音源発掘行動に出たわけだ。
世評と違いトラヴィスの3rd盤は2nd盤とタメを張るデキだ
やっと本題に来た。
もちろんすでにサード・アルバム以降の各盤の音は全部聴いたし、ツボはつかんでいる。
彼らはスコットランド・グラスゴー出身で、90年代後半のUKシーンにおいてレディオヘッドと並ぶ勢いで新しい音楽トレンドを創り出した。
この点については前回、書いた通りだ。
で、前の記事ではセカンド・アルバム期までを概観した。今回はサードアルバムをサーチしてみよう。
2001年6月にリリースされた3rd盤『The Invisible Band』(インヴィジブル・バンド)は、セカンド・アルバムのテイストを発展的に継承している。
で、よりアコースティックな仕上がりが快調な美しいアルバムに仕上がっている。
本作はレディオヘッドやベックのアルバム等も手がけたナイジェル・ゴッドリッチがプロデュースしている。彼は前作『ザ・マン・フー』でも同じくプロデュースを担当した。
ちなみにこのゴッドリッチは、あのレディオヘッドの誰でも持ってる超名盤『OK COMPUTER』(1997年)を成功させた敏腕プロデューサーだ。
実は音楽のアルバム制作にはプロデューサーの力がとても大きい。
2nd盤と3rd盤におけるトラヴィスの大ブレイクの陰には、ナイジェル・ゴッドリッチあり。彼の力が強く作用しトラヴィスを大きく押し上げただろうことはたやすく想像できる。
そんな力添えもあり本盤は、全英アルバム・チャートでいきなり初登場1位を記録した逸品に仕上がっている。
セールスも英国内だけでミリオン超え、かたや全世界では300万枚を売り上げた。
また当時イギリスの公共放送局「BBC」で放送されていた生放送音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」でも、年間最優秀賞を受賞している。
さらにシングルの「Sing」(シング)は、その年の上半期で最も多くラジオで流れた曲となり、バンド最大のヒット曲になった。
このシングル「Sing」はドラマティックなノリをベースに、その上に美しくキャッチーなメロディーラインがしんしんと乗っている。
「OH!,sing,sing,sing〜」と繰り返される覚えやすい歌メロが、限りなく美しいキラーチューンだ。
背景にストリングスをさりげなく使った盛り上げ方にもうまく成功している。
もちろん本アルバムには、それと同等の好楽曲がたんまり収録されている。例えば2曲めの「Dear Diary」(ディアー・ダイアリー)は非常に静かなナンバーだ。
この楽曲はアコギとピアノ、ストリングスの3者を中心に切々と訴えかけてくるヴォーカルが切ない。鎮静的な心地いいサウンドだ。
続く3曲め「Side」(サイド)はキャッチーなメロディが特徴である。
すばらしいテイストであり、しかも山場でしっかり盛り上げるところもツボだ。的(マト)を射ぬいたアレンジが利いている。
まさに「売るセオリー」に乗っ取った名曲だ。このナンバーは本盤でひときわ光を放っている。
そして4曲めの「Pipe Dreams」(パイプ・ドリームズ)もそう。覚えやすい歌のメロディラインが印象的なナンバーだ。
彼らの場合、この歌いやすさ、覚えやすさが最大のキモになる。また要所で流れるギターのリフレインがキラキラ感をうまく演出している。
この4曲めまでですでに「勝負あった」だ。
アルバム冒頭の4曲で、リスナーの心をがっちりつかむことに成功している。あとはもう「どうにでもしてください」というしかない。
後半の山場は歌メロ抜群の11曲め「Indefinitely」だ
さてアルバムは後半に入り、5曲め「Flowers in The Window」(フラワーズ・イン・ザ・ウィンドウ)が始まる。ひときわキャッチーを極めた逸品だ。
「これビートルズの曲じゃないのか?」と思わされるデキである。上で評した「歌いやすい、覚えやすい」の典型だ。
6曲めの「The Cage」(ザ・ケイジ)も同じ傾向にある。
こちらはアコギが効いており、ポップな歌のメロディーラインが何度もリフレインされる。もうリスナーの脳にぐいぐいねじ込まれてくる。ああ、気持ちよかった。そんな感じだ。
7曲めは6曲めと似たテイストで、きれいな歌メロが何度も反芻される。
これまたアコギが効いており、楽器の音と音との間にある空間をうまく活かしたテイストだ。
つまり音数が多くスペースをぎっしり埋めてしまわない音作りをしている。ここがツボである。途中でドラムが入り、盛り上げて大団円を迎える。
そして後半の山場は11曲め「Indefinitely」(インディフィニトリー)で極まる。味のいいアコギのイントロで幕が開き、切々と歌い上げるヴォーカルが主役を張る。
歌のメロディーラインが抜群によく、もう「ごちそうさま」のひとことだ。
ここでも同じく美メロのリフレインがカギを握る。
途中、絶妙なタイミングでエレクトリック・ギターを「ガン」と効かせるところもうまい。ストリングスを入れる箇所も絶妙だ。
このナンバーは本盤収録のシングル「Sing」(シング)といい勝負になる名曲といえる。
締めの12曲めはギターのストロークで入り、最初は歌とギター、パーカッションの3者だけ(バックに機械的な効果音が入っているが)。
で、途中ストリングスが嫌味にならない程度に利かされ、徐々に曲を盛り上げて行く。
そして楽曲の半ば、そのストリングスが極まった頂点でエレキギターとドラムが同時に入り、一気に盛り上げる。
だがわざと意表をつき、途中でいったん音数を減らしてまた静的な演奏に戻る。絶妙なアレンジだ。
そして最後は全楽器をいっせいに投入し大団円へと向かう。ラストは強いストリングスが大音量で鳴り響き、そして静かに幕が降りる。
なんともはや。
やっぱりこれはプロデューサーの力が大きいなと感じた。
例えがちょっと古いがあのサディスティック・ミカ・バンドの歴史的名作『黒船』(1974年)は、ロキシー・ミュージックやピンクフロイド等を手がけた敏腕プロデューサー、クリス・トーマスが務めた。
彼の存在があったからこそ、『黒船』はあの個性的なテイストと構成になったのだ。だから成功した。そういうことである。
しかしまだまだトラヴィス探訪の旅は続く。今回はもうすでに長大な記事になってしまったので次回以降にゆずろう。
機を見て4作め以降もぜひレビューしたい(次回もやるかも?)。
いやはや、それにしてもおじさんは参りましたよ、もう。まさか90年代以降の音にこんなに感動するなんて想像もしなかった。
「これじゃあダメだ」と意識的に新しい音楽を聴いてみた
さて最後だ。繰り返しになるが、今回初めてこのトラヴィス・シリーズをお読みになる方もおられるだろう。
で、ごくカンタンに私はなぜこんなふうに次々といろんな音楽を見つけて自由自在に試聴し、未知のアルバムを容易に探し出せるのか? それを短くシンプルにご説明しておこう。
実はごく最近になってふと、このまま70年代だけにこだわってていいのか? そんな気分になったのだ。
もっと「進取の気性」がないとダメなんじゃないか? 探せば新しくてもいいのもあるかもしれないぞ? そう思い立った。
で、まず「オルタナティヴロック バンド名」とか「90年代以降のロック 種類」などのおバカなキーワードであれこれネット検索してみたのだ。
その結果、1回目の記事では「やっぱりダメだ。ロクなのがない」と失望した。だがあきらめず探索活動を続け、やっと2回目の記事でトラヴィスにたどり着いた。
それ以降はコツをつかみ、おかげで続々と90代以降の有望なバンドを大量にゲットできた。もちろんすべて実際の音を聴いた上でだ。
まさかこんなことが実現するなんて……。そんな思いだ。
で、それを具現化してくれたのが、ストリーミング・サービスなのだ。
Amazonがあなたの嗜好を勝手に分析して自動的に提案してくれる
それもこれも自分が加入しているストリーミング・サービス「Amazon Music Unlimited(HD)」を使ったおかげだ。
こやつで手当たり次第に実際の音を聴きまくった結果なのだ。
もしこれがなかったら、いまだに私は70年代にかじりついていただろう。
つまり(後述するが)このサービスはおそらくユーザー個別の再生履歴をもとに、まず自動的に各ユーザーそれぞれの好みや傾向をAmazonが自動的に分析するのだ。
そしてAmazon側からわざわざ勝手に、「あなた、これ聴いてみたら?」と自動で提案してくれる機能がある。例えばAmazonで何かを一度でも買ったことがある人ならわかるだろう。
Amazonで自分が買ったCDや本、観た映画などの履歴データに基づき、Amazonが「これって、あなたの好みでしょう?」といろんなCDや本を自動的に表示してくる。
あれとまったく同じことを、Amazonは音楽配信サービスでもやってるわけだ。
しかもこのサービスはたった月額1000円定額で、楽曲が(一部ではなく)全部聴ける。
しかも無限にいろんなバンドをアプリ上で探していくらでも完全試聴することができる。
何度でも無限に音楽が聴け、自分が好きなアーチストやアルバム、楽曲をネット経由で自由に検索サーチできる。
そしてあれこれ楽曲やアーチストを組み合わせ、自分だけの独自プレイリストを作る機能がある。
例えば私は「2000年代以降の現代ジャズドラマー」とか、あるいは「アーチスト名別」でも自分でプレイリストを独自に作ったり、あるいはAmazonが作った既成のプレイリストも借りている。
もちろん曲数制限なんてまったくない。
しかも「iTunes」時代みたいに楽曲の1部だけでなく、全部まるまる無制限に聴ける。つまりもうCDは買わなくていい時代になったのだ。
再生履歴で個人の嗜好を自動分析しAmazonが「おすすめ」する
こやつのそんな「おすすめ機能」は実に強力だ。
Aさんがこのサービスで過去に聴いてる音楽の傾向を、おそらくネット経由でAmazonのサーバ側がまず履歴として検知する。
で、「あなたはアレ聴いてるから、きっとコレも好みですよね?」てな具合いにサジェスチョンしてくれる。
だから「ロックは70年代で死んだのか?」などと、てっきり思い込んでいたバカな私でも一聴に値する未知の音楽をカンタン手軽に探し出せた。しかも何も考えずに。
このサービスはおそらく、加入ユーザの試聴履歴等のデータをたんまり溜め込んだAmazonのクラウドにでも繋がっているんだろう。
いわば自宅のルータを超えてネット全世界へオープンに繋がった無限の「自家製ハードディスク(いや、この例えならNASか?)」みたいなものだ。
つまりこのサービスはざっくりいえば、(おそらく)Amazonのクラウド上に「自分だけの音楽スペース」があると考えれば話はわかりやすい。
そのクラウドがすべてを自動検知し、「これなんかどう?」とやってくるわけだ。
私は好みにピッタリのオルタナバンド「ペイヴメント」を勧められた
そのAmazonの「提案」が、これまた精密にピッタリ当たって本当に驚かされる。
例えば私の場合、繰り返しトラヴィスを聴いていたら……。
まず1990年代に活動していたUSオルタナティヴ・ロックバンドの「ペイヴメント」の通算4作目に当たるアルバム「Brighten the Corners」(1997年)が自動的におすすめとして表示された。
試しにそのアルバムを同サービス上で検索してぜんぶ聴いてみると、これがもうファンキーでパンキーな2つの味が絶妙にミックスされた超絶カッコいい音だった。
私には、どストライクだ。
ノリが重くて切れ味鋭く、それに花を添えるファニー(奇妙)なテイストがもう応えられない。特にヴォーカルのスティーヴン・マルクマスがものすごく味がある。
不良っぽくてまさに「悪ガキ」って感じ。ワザと音を外し、悪ぶって見せる。「どう? そんな俺ってカッコいいでしょ?」みたいな。
イメージとしては薄汚れたジーンズを履き崩し、そのへんをウネウネのたうち回ってる、みたいな感じかな?
いやもう私が絶対「大好き」な音なのだ。超ドンピシャ。
当然、自分で作った「オルタナティヴロック」プレイリストに速攻でアルバムごとブチ込んだ。文句なしでイイ! 大満足だ。
このバンドに関しては、時間を見てぜひほかのアルバムもぜんぶ聴くつもりでいる。
彼らの音楽性はいわゆる「ローファイ」(Lo-Fi)と呼ばれる。つまり「ハイファイ」の真逆だ。
どういう意味か? これはオーディオ的には「音質が良くない状態」を指す。
つまりわざと悪質なフリをして見せるヤツらなのだ。
この概念に相当する具体的なバンド名を挙げると、彼らのほかに典型例なのはソニック・ユースやベックなんかだ。
特にこのテイストはノイズロックやグランジ(「薄汚い」という意味)など、ヘヴィメタルに反発する流れにあるオルタナティヴ・ロックにおいて重要な価値観のひとつだとされる。
歴史を思い切りさかのぼれば、その祖先のひとつはセックス・ピストルズだ。
アメリカの初期オルタナバンド「ピクシーズ」も勧められた
一方、1986年にアメリカで結成され、初期オルタナティヴ・ロックシーンで活躍したバンド「ピクシーズ」の楽曲「Broken Face」(1988年)も勝手におすすめされた。
これも同サービス上で検索しアルバムごとそっくりぜんぶ聴いてみた。
するとまたまた前者のバンド「ペイヴメント」と同じくファンキー&パンキーでもうカッコいい。びっくりだ。
どちらかといえば彼らのほうがよりセックス・ピストルズに近い。
「なぜ私はそれが好きだとあなたは=Amazonさんはわかるの?」とじっくり3時間くらい問い詰めたい気がする。
こっちのバンドは思い切り歪んだ超絶的な轟音ギターに合わせ、ボーカルのブラック・フランシスが絶叫する。
もう破れかぶれでとうてい1人じゃ、世の中を生きていけない、きっとそのうちに必ずのたれ死ぬだろう、みたいな路線である。
ちなみにこの勧められた楽曲「Broken Face」は、アルバム『SURFER ROSA/サーファー・ローザ』(1988年)に収録されている。
もちろん全曲聴き、また彼らの別のアルバムもあれこれ聴いてみたが、かなりいい。超おすすめだ。
月額たった「1000円」で無制限に聴き放題だ
それだけじゃない。このおすすめ機能は実に多彩だ。
たとえばこのサービスのホーム画面には、まず個別のユーザーそれぞれの好みにピッタリはまるユーザーごとに別々の「お客様におすすめのプレイリスト」がある。
つまりあなた好みの複数アーチストの楽曲を、Amazon側が自動的にバラバラに集めた任意のプレイリストがあるわけだ。
すなわち私好みの同じ音楽性をもつ複数アーチストの楽曲やアルバムを、自動収集したリストがまず新しく生まれる。
で、Amazonに勧められたそのリストを自分で自由に登録してまとめ聴きできる。
そのリストさえ登録すれば、あとは再生ボタンを押すだけだ。アルバムごとや楽曲ごと、あるいはアーチスト別に自由自在に聴ける。
つまり繰り返しになるが、この「おすすめ」というのはAmazon側が勝手に自動検知してやってくれてることなのだ。
このほか同様に(おそらく)私の再生履歴をもとに、「お客様へのおすすめ」コーナーもある。
また「お客様におすすめのアルバム」コーナーや、「お客様におすすめの楽曲」、「おすすめのニュー・リリース集」などもある。
あれあり、これありだ。
おまけにこんな豊富なサービスが手取り足取り受けられて、月額たった1000円払えば無限にいくらでも何でも聴ける。もうびっくりである。
例えば「DAZN」なんて月額4200円もかかり、たとえ解約を申し出ても「それから1ヶ月後にしか解約が有効にならない」というクソ仕様だ。
まったくあれにはやられた。
つまりもう観もしないのに、最後は余分に1ヶ月分まるまる払わされるのだ。
「いいえ。その後、規約が改正されてちゃんと今の規約には乗ってます」なんて先方さんは寝ぼけたことを言ってたけど……そんないつ変わったか? もわからない改悪された新規約になんて、いったい誰が気づくって言うんだ?
まったく「DAZN」は、人をバカにしている。
あんなサギまがいの「DAZN」なんかに入ることを考えれば、こっちはぜんぜん安いもんだ。おまけに手取り足取り、うんとサービスがてんこ盛りだし。
だって例えばAmazon Music HDと、それと同種のサービスである「Apple Music」の両方に入ったとしても、たった「月2000円」しかかからないんですよ?
あの「DAZN」に入ることを考えれば、なんと両方に加入したってまだ2200円もお釣りが来るのだ。ホントにバカバカしい話だわ、まったく。
どんなバカにもわかるよう「トラヴィスを聴いたお客様へのおすすめ」まで表示された
果ては私の場合、「トラヴィスを聴いたお客様へのおすすめ」なんて、極めて個人的なコーナーも勝手に自動生成されてきた。
もうびっくりだ。
しかも例えば自分が能動的に選んだ任意のアルバムや楽曲を聴き終えたあとには、なんとそれらと似た音楽性のアーチストの作品が自動的に再生されるんだ。
つまり自分で任意の楽曲やアルバムを選んで聴いたあと、黙って放置しておくとあっちが勝手に「あなただけの自分好みな音はこれですね?」とばかりに、エンエンとぐるぐる自然に何枚ものアルバムや楽曲を無制限に自動で流すのだ。
もう私がまったく何も考えなくても、Amazon側が自動的にサーチ・判断した上でこれまた自動的にアレコレ教えてくれる。
これならどんなバカ(例えば私)でも、自分好みの未知の音楽を実際の音源つきで知ることができる。こんなラクな話はない。
なんだかSFみたいだが、もはやこんなサービス・システムが世の中には立ち上がっているわけだ。
つまりひとことで言えば、ユーザー個々がリアルタイムでネット上から自分好みの音楽を探し(あるいはあっちから提案されて)しかも無制限に聴ける。
おまけに自分だけのお気に入りアルバムや楽曲なんかを驚きの安さで楽しめるおトクなサービスなのである。
いや別に「Apple Music」や「Spotify」でもいい
なんだかAmazonの宣伝マンみたいになっちゃったが、もちろんそのほかのストリーミング・サービスでもいい。
例えば「Apple Music」や「Spotify」あたりのどこかに加入しておけば、もうCDなんて買う必要がないんだ。
しかも音質は明らかにCDよりいい。ハッキリ上だ。私の耳が保証しよう。
おまけに品揃えが圧倒的に豊富だ。ちなみに私はAmazon Music Unlimited(HD)の他にも、Apple MusicとSpotifyにも入っている。
これでも3000円しかかからないんだ。(もちろん無料コースまである)
で、そんな感じで「もうCDを買わなくていい生活」を堪能してるわけだ。
各社サービス別に音質レベルや音の傾向が違う
もちろん各サービス別に音質レベルはちがう。また音質の傾向や特徴もぜんぜんちがう。
機会を見てこのブログでは、そんなふうに各サービス別の(音質の違いも含めた)比較企画を記事にすることも考えている。
これ(音質の違い)含みの比較は、まだぜったいに誰もやってないはずだ。現に私は今までまったく一度も読んだことがない。
なんせこれら各サービス別の「ほんのわずかにごく微妙な音質の違い」を正確に聴き分けるには、まず絶対的な「耳のよさ」が求められる。
傲慢なように聞こえるかもしれないが、私には人には絶対ない「そのレベルの耳がある」のだ。
いや個人的にただ言い張ってるだけじゃない。これは客観的事実である。
まあその話はともかくおいといて……しかしいい時代になったもんだ。
おじさんが若い頃なんて、音楽の情報を集めようと思ったらもうレコードを物理的に買うしかなかった。次にCDの時代になっても、安く上がってせいぜいレンタルだった。
そう考えれば今なんて上記3サービスのうちどれかに入れば、もうぜんぜんCDを買わなくてすむはずだ。
自分の聴きたいアルバムや楽曲を集め、自分だけのプレイリストをいくらでも無限に作れる。
だから同じ作品を何度でも聴き続けられる。つまりCDを所有しているのと何も変わりない。かつ音質は確実にCDよりいい。
いやホントにこれはおすすめですよ? マジな話です。
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