すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】日本式サッカーを世界化する

2018-04-26 08:17:19 | サッカー戦術論
「組織でカバー」は言い訳にすぎない

「日本人の長所を生かした日本らしいサッカー」。このテーゼは、実に甘美な魅力をもっている。日本にしかないユニークでオリジナルなものを日本人が発明し、それを武器に世界に伍して行くーー。このコンセプトは日本人をすっかり魅了した。

 だがその美名のもと行われたさまざまな「日本化」により、日本サッカー界はその実、世界からすっかり取り残されてガラパゴス化した。例えば集団でショートパスを交換する日本式パスサッカーもそのひとつだ。また極端なインテンシティの低さや、1対1や個の弱さ、デュエルの欠如なども「組織でカバーすればいい。それが日本のやり方だ」という言い訳のもと放置されてきた。

 一方、ラグビーにしろ野球にしろ、日本人が世界と対等に戦えている団体スポーツは数多い。個人競技も含めれば世界に冠たるレスリングや柔道などもそうだ。だが、どのスポーツもサッカーみたいに「日本人は個が弱い。フィジカルがダメだから集団でごまかそう」などと甘ったれたことを言ってる競技はない。見事にサッカーだけである。

基本から目をそらす日本人

 そろそろ日本サッカー界は言い訳をやめ、ガラパゴス化してしまった日本式サッカーを世界化する必要があるのではないか? 1対1が弱いならそれを「組織でカバーする」のでなく、まず1対1という基本そのものを強くする努力をする。組織によるカバーリングは、それができてからの話だ。

 個の弱さも深刻だ。個が弱いと、ひとつには日本人が苦手なロングパスを正確に蹴ったり止めたりするプレーが改善されない。となるとピッチを広く使った大きな展開ができない。だから「みなさん狭いエリアに集団で集まり、短いパスをたがいに交換しましょう」という日本式パスサッカーになってしまう。個という基本ができてないからだ。

 またそもそも「1人かわしてシュートを打つ」という個の強さがなければ、日本名物である決定力の低さも解消されない。決定力だけは「組織でカバーする」などという代案がないから、日本はいつまでたっても点が取れないままだ。

 結局、何が起こっているのかといえば、日本人の欠点=基本の欠如を「組織で補う」という言い訳をすることで、日本人は短所を直す努力から逃げているのである。基本から目をそむけているのだ。

 たしかに個の強化やロングパスの精度向上には時間がかかる。それが完成するまでの間は勝てないかもしれない。長期計画が必要だ。だが、だからといって基本をすっ飛ばして「日本化」の美名のもと問題点から目をそらし続けるのでは、日本はいつまでたってもワールドカップで勝てない。

 サッカーに近道はない。日本人はそれを肝に銘じるべきだろう。

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