すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ハリル解任】W杯を取り上げられたのはハリルだけじゃない

2018-04-12 05:42:51 | サッカー日本代表
歴史的意義が失われたロシアW杯

 ワールドカップに参加することは歴史的な意義がある。各国は自分たちの流儀をW杯にぶつけ、そこから得たフィードバックをもとに自国のサッカーをさらに進化させて行く。それがW杯に参加する歴史的意義だ。

 まず自分たちが思う戦い方でやってみる。するとこんな結果が出た。じゃあ、ここをこう修正し、今度はこんなやり方をしてみようーー。この繰り返しでその国のサッカーは発展して行く。

 むろんこれはサッカー協会がW杯からフィードバックを得る、という意味だけではない。日本という社会全体がW杯での自国の戦いぶりを観察し、社会の各層からマスメディアやSNS等を通じてさまざまな議論がわき上がる。そして実りある多くの論点が提示され、議論が収束して行く。そのことによって日本のサッカー文化が発展して行く。

 われわれは、その機会を取り上げられたのである。

 どういう意味か?

 例えば相手にボールを持たせて縦に速いカウンターを狙うハリル流でW杯を戦えば、(勝つにしろ負けるにしろ)そこでどんな試合経過をたどり、どのような結果が出るのか? そのやり方は世界に有効か? 日本のどこが通用し、どこが通用しなかったか? 修正すべき点はどこか? という情報が得られる。この価値は非常に大きい。

 だが一方、「ロシアW杯本番限定」のワンポイントリリーフ監督が間に合わせの戦術と選手で大会を戦い、いったいどれほどの収穫があるのか? そこからどれだけのフィードバックが得られるのか? まったくゼロに近いと言わざるをえない。

 日本にとって、ロシアW杯の歴史的意義、社会的意義はもはや失われた。

 この損失はとてつもなく大きい。

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