すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1第19節】首位・FC東京は永井を生かすゲームモデルを確立せよ ~FC東京0-3川崎F

2019-07-15 08:16:38 | Jリーグ
このままでは貯金を吐き出すだけだ

「久保効果」で首位に躍り出たFC東京は、久保建英がいなくなったあとどんなサッカーをやっているのか? そんな興味でJ1リーグ第19節、対川崎フロンターレ戦を観戦した。すると相手が悪かったせいもあるが、想像以上に深刻な状況だった。

 いったい何をやりたいのか、見ていてまったくわからない。恐らく彼らには確たる羅針盤がなく、自分たちが何をすべきかわかってない。ピッチで漫然と「ただ困っている」だけなのだ。

 川崎Fがパスを繋いでポゼッションし、FC東京は4-4のブロック守備からカウンターを狙う、という展開に見えた。だがFC東京にはボールを奪ってからの手立てがない。展開力のないFC東京は、逆にボールを持たされると途端に組み立てに詰まるのだ。

 最終ラインからビルドアップするわけでもなく、かといってロングボールを入れこぼれ球を狙うわけでもない。サイドを使う意図もほぼゼロ。ポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)時のアイディアがない。ただ最終ラインが意味もなくボールを持ち、困っているだけなのだ。

 当然、そこに川崎Fの第1プレッシャーライン(FW)がプレスをかけ、ボールを奪われる。で、カウンターを食らう。この繰り返しだった。たまたまボールを前へ持ち出せたケースではフィニッシュへ行く場面もあるが、確たるコンセプトに則ってやってるわけではない。そんな印象だ。いい意味での「自分たちのサッカー」がないのである。

縦に速いダイレクト攻撃をすべきだ

 では、FC東京はどんなサッカーをやるべきなのか? まず現有戦力から考えれば、最終ラインから丁寧にビルドアップし、ポゼッションするような戦い方は向いてない。というか、できない。

 まずボールの収め所がない。代表の大迫のように強力なポストプレイからの落としで、MFに前を向いてボールを持たせてやれるFWはいない。中盤にも、フィジカルを生かしたボールキープで時間を作ってくれる選手がいない。チーム全体にボール保持力がないため、そんな細かいことをやろうとしても潰されてしまう。

 ただ反面、このチームには速いFW(永井謙佑)と上手いFW(ディエゴ・オリヴェイラ)が2人いる。アタッキングサードにおける破壊力はある。ならば、速いタイミングでファイナルサードにクリーンなボールを送り込むダイレクト攻撃が向いているはずだ。

 例えばラインを低く構えて相手にボールを持たせ、速いカウンターを狙う。このとき引きつけている敵の最終ラインの背後には、膨大なスペースがあるはずだ。そこでボールを奪えば速い切り替えから正確なロングパスをライン裏に落とす。で、スピードのある永井を走らせる。あるいは機動力豊かなSB室屋のいるサイドを徹底して使い、早めにサイドから勝負のアーリークロスを入れる。そして強力な2トップの瞬間的な破壊力に賭ける。そんなゲームモデルである。

正確なロングパスを蹴れる森重を生かせ

 そもそもCB森重はハリル時代の日本代表で、絶妙な長いサイドチェンジのボールや、前線の選手の足元に正確につけるロングパスをバシバシ出していた。なのに今はそんな気配すらない。なぜやらないのか?

 例えば森重とは逆のサイドのFWをタッチライン際まで開かせ、そこに精度の高いサイドチェンジのボールを入れる。これで次の瞬間にはアタッキングサードでボールをキープできるのだ。ロングボールを入れれば、もし競り合いになっても敵の最終ラインは裏を警戒して下がる。するとDFとMFの間にスペースができ、バイタルエリアが空く。こぼれ球を拾えばそこを狙える。これは大きい。

 現状のように最終ラインからボールを引き出せず、自陣でボールを失いカウンターを浴びるのとくらべれば天と地の差があるはずだ。長谷川監督には、ぜひそんな現有戦力の武器と個性を生かすゲームモデルを確立してほしい。

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