今年の後半から「YouTube」を活用した広告モデルが活発化しそうだ。だけど私にはかなり疑問がある。ホントにユーザは投稿された広告動画を素直に観るのか? そんなカンタンじゃないだろう、って話だ。
いまやIT系経済誌は、「YouTube広告にはバラ色の未来がある」みたいな煽りでいっぱいである。
いや、そりゃまあ私だってさ、『アスキー ビジネス』の11月号(9月29日発売)に似たようなお題で書きましたよ、原稿を。自分のWeb連載でも書いてるし。
■松岡美樹:時代を射抜くコンテンツの作り方「第5回:Askビデオ」(RBB TODAY)
でもねえ、さっきの「IT pro」さんみたいなイケイケドンドンな論調で書いたんじゃないよ。だって根本的な疑問があるもん。
たとえば「IT pro」が記事にしてるのは、企業が自社のCMをYouTubeに投稿するパターンだ。実際、私も以前にそっち方面の取材で同じネタを仕入れた。でもこれ、ユーザは素直に観るのかね。そのCMを。
【A】「YouTubeがブレイクしてる。爆発的に観られている」
【B】「YouTubeにCMを投稿すれば、たくさんの人に視聴される」
当たり前の話だが、AとBはイコールじゃない。次の例と同じだ。
【C】「ブログが大ブレイクしている。ユーザ数が○百万人になった」
【D】「ブログを書けば、たくさんの人に読まれる」
CとDはイコールですかぁ? そうじゃありませんね。いくらブログのユーザが多くなったからって、ブログを書きさえすりゃたくさんの人に読まれるわけじゃない。おもしろいブログを書かなきゃ読まれないのである。
企業がCMをYouTubeに投稿する場合だって同じだ。問題はそのCMがおもしろいかどうか? あるいは「観てみようか」というモチベーションをユーザに起こさせる仕掛けが、そのCMにあるか? である。
じゃあ仕掛けとはいったい何か?
たとえば企業がクリエイターに発注し、しゃれたオチのついた3分くらいのショートフィルムを作る。で、その物語の中で自社製品を小道具に使う。
かつストーリーの展開上、この小道具には重要な役割をもたせる。商品をオチにからませるか、あるいはその商品のせいで物語が急展開する構成を取るか。まあそのへんはどうにでもなる。
ただし重要なのは、宣伝臭をさせちゃいけないってことだ。
イメージ的にはタイアップ広告ね。純広告じゃなくて。小道具に使う商品はあくまで脇役、主役はストーリーそのものにする。でもその商品が物語上のカギを握ってるわけだから、フィルムを観た人は自然に小道具(商品)が印象に残る。
「ねえ、あの『○○』っていうショートフィルム、おもしろいよねえ。あの中に出てくる△△は、どこのメーカーのなの?」
商品の正体を適度にぼかしておけば、逆に視聴者は気になるものだ。寸止め戦法である。
で、「『○○』というショートフィルムはおもしろい」、「その中に出てくる△△はどこの製品なのか?」、この2つの話題がネット上を駆け巡るように誘導する。ウワサ作りだ。
するとなんてことはない。あちこちのブログやSNSが勝手に取り上げ、あとは口コミ効果で自然に商品が売れる。
なーんだカンタンじゃん、YouTube広告って。
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いまやIT系経済誌は、「YouTube広告にはバラ色の未来がある」みたいな煽りでいっぱいである。
ソフトウエア開発ツール・ベンダーの老舗である米ボーランドは,8月に発表した新製品「Turboシリーズ」の広告をYouTubeに投稿している。Turboシリーズは主にプログラミングの初心者向けツール。同社は「プログラミング人口を広げるためにいつもいろいろな方法を考えている」(デベロッパーツールズ事業本部の藤井等マーケティングディレクター)とし,YouTubeへの広告動画投稿もその一環だという(中略)。「テレビCMはいらない?YouTubeマーケティングの時代が始まった」(日経 IT pro)
高い広告費を払ってTVで放映するためではなく,YouTubeやその類似の動画共有サイトに投稿するためにCMを作成する企業が増える可能性は高い。“広告の王者”テレビCMが凋落し,動画共有サイトを活用したマーケティングが勃興する。
いや、そりゃまあ私だってさ、『アスキー ビジネス』の11月号(9月29日発売)に似たようなお題で書きましたよ、原稿を。自分のWeb連載でも書いてるし。
■松岡美樹:時代を射抜くコンテンツの作り方「第5回:Askビデオ」(RBB TODAY)
でもねえ、さっきの「IT pro」さんみたいなイケイケドンドンな論調で書いたんじゃないよ。だって根本的な疑問があるもん。
たとえば「IT pro」が記事にしてるのは、企業が自社のCMをYouTubeに投稿するパターンだ。実際、私も以前にそっち方面の取材で同じネタを仕入れた。でもこれ、ユーザは素直に観るのかね。そのCMを。
【A】「YouTubeがブレイクしてる。爆発的に観られている」
【B】「YouTubeにCMを投稿すれば、たくさんの人に視聴される」
当たり前の話だが、AとBはイコールじゃない。次の例と同じだ。
【C】「ブログが大ブレイクしている。ユーザ数が○百万人になった」
【D】「ブログを書けば、たくさんの人に読まれる」
CとDはイコールですかぁ? そうじゃありませんね。いくらブログのユーザが多くなったからって、ブログを書きさえすりゃたくさんの人に読まれるわけじゃない。おもしろいブログを書かなきゃ読まれないのである。
企業がCMをYouTubeに投稿する場合だって同じだ。問題はそのCMがおもしろいかどうか? あるいは「観てみようか」というモチベーションをユーザに起こさせる仕掛けが、そのCMにあるか? である。
じゃあ仕掛けとはいったい何か?
たとえば企業がクリエイターに発注し、しゃれたオチのついた3分くらいのショートフィルムを作る。で、その物語の中で自社製品を小道具に使う。
かつストーリーの展開上、この小道具には重要な役割をもたせる。商品をオチにからませるか、あるいはその商品のせいで物語が急展開する構成を取るか。まあそのへんはどうにでもなる。
ただし重要なのは、宣伝臭をさせちゃいけないってことだ。
イメージ的にはタイアップ広告ね。純広告じゃなくて。小道具に使う商品はあくまで脇役、主役はストーリーそのものにする。でもその商品が物語上のカギを握ってるわけだから、フィルムを観た人は自然に小道具(商品)が印象に残る。
「ねえ、あの『○○』っていうショートフィルム、おもしろいよねえ。あの中に出てくる△△は、どこのメーカーのなの?」
商品の正体を適度にぼかしておけば、逆に視聴者は気になるものだ。寸止め戦法である。
で、「『○○』というショートフィルムはおもしろい」、「その中に出てくる△△はどこの製品なのか?」、この2つの話題がネット上を駆け巡るように誘導する。ウワサ作りだ。
するとなんてことはない。あちこちのブログやSNSが勝手に取り上げ、あとは口コミ効果で自然に商品が売れる。
なーんだカンタンじゃん、YouTube広告って。
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「目に入ればなんとなく印象に残る」度合いというのがTVCMのよしあしを語るときのスペックだったと思いますが、これからは単体のショートフィルムとしての完成度が大事。CM作りの焦点が違うところに移動した感じが。
無意味なタレントCMや商品メッセージ押し付けCMから、「面白い(笑える、とかでなくユーザーの興味をひくという意味で)CMが評価され、必要とされる時代が来る!!」という意味で。