メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

【ネタバレ】楡周平著『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』

2009年12月23日 | メガヒヨの本棚・CD棚
メガヒヨは俳優の細田よしひこ君のファンである。
彼が久々に民放の全国放送のドラマにレギュラー出演することになった。

宿命 1969-2010 ~ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京~

しかも北村一輝さん演じる主人公の弟役という、素敵なポジションである。
小躍りしながら原作の小説を早速読んでみた。

小説における舞台は1999年。
その年30歳になる大蔵省官僚の崇に、次官を通して代議士の令嬢との縁談が持ち込まれた。
彼は全国で五十余りの病院を経営している医療法人有川会の御曹司。
病院はいずれ年齢の離れた弟に任せて、自らは政界に進出しようとしている。
彼の母親である病院理事長も同じ考えで、その縁談を心から歓迎していた。

しかし見合いの席で母・有川三奈は驚愕する。
縁談の相手、尚子の父親の代議士は、自分が約30年前に関係をもった男性だったのだ!
息子の頭脳の優秀さや性格が代議士・白井とよく似ていることに気付く。
当時の自分は数多くの男性と関係を持っていたけれど、崇の父親は白井だと確信する。
異母兄妹同士での婚姻に危機感を抱いた三奈は、破談への道を模索することに。
一方崇と尚子は激しく惹かれあうのであった…。


以下ネタバレ警報!!
OKな方は下の空白部分をドラッグしてね♪

上下巻とも読んだけれど、小説においてよっしー演じる弟の透はほとんど出番が無かったorz
冒頭に出てきて一家で牡蠣食べて、終盤にはへその緒だけ登場して兄のDNA鑑定にちょっと役に立つ程度。

しかもこの小説って、出てくる人はみんな悪い人ばかりなので誰にも肩入れ出来ない(笑)
主人公が長男の崇か母親の三奈かは曖昧だけど、この親子はろくでもないなぁ。

崇は特定の女性と結婚の意思がないまま10年に渡ってだらだらとつきあい続けてしまったボンクラ。
しかも彼女を切る際に思いっきり恨まれているし!!
政治の世界を希望する位なら、感謝されつつ綺麗に手切れる処世術を身につけておかないと先々危ういのではないだろうか。
ちなみにこの元恋人の宣子を演じる小池栄子さんは、メガヒヨの好きな女優さん♪
次から次へと復讐の罠を仕掛けるので、活躍がとっても楽しみである。

三奈については、兄妹の近親婚を危惧して白井に交渉しに行くところまではまだまともな人かなぁと思ったけれど、とんだ見当違い。
自分の思惑通りに事が運ばなかったので、崇との間の子供を懐妊した尚子を、薬を使って流産までさせてしまう。
これにはメガヒヨ、どん引き!!
一番の悪者じゃないの? まだ崇の方が小悪党だよ。
でもこの展開、ドラマで放送するのかなぁ。

タイトルに2010年と入っているから、きっと小説とはかなり違う展開になるのかもね。
尚子の妹・亜希子によっしーと同世代の女優さんの藤井美菜ちゃんが配役されているので、この二人の恋愛の展開とか出てきたり(^▽^)
大人たちがだいぶドロドロの人間関係になっているから、ひと組位はさわやかなカップルがいてもいいだろうしね。
もっとも小説では透と亜希子は何の接点もないのだけど。
(透が高校生で、亜希子が大学生というのもあるし。)



ところでこの小説。
読んでて辛かったというものではなく、結構面白い部類に入るものだった。
政治家のえげつない考えとか、復讐に対する復讐とか、化け物屋敷みたいなノリで次から次へと悪い話がいっぱい出てきたからね。

お金持ちの世界の描写も興味深かった。
会員制のレストランなんて足を踏み入れたどころか、どんな場所にあるのかも分からないからね。
「牡蠣は唐桑産のブロンを」って…。
牡蠣好きのメガヒヨはまだ食べたことのないそれを想像して身もだえしてしまった。
唐桑って何県だろう? 後で調べてみよう。
他に出てきた歌津産の牡蠣も気になるなぁ。

数々出てくる華麗なるお金持ちライフ。
でもひとつ不思議な箇所があった。
崇がアメリカ留学時代に行った宣子とのニューヨーク旅行。そこで、
「滅多なことでは手に入らないブロードウェイのミュージカル、それもオーケストラピット席」
を手配してもらったとの描写があった。

何だ? その「オーケストラピット席」って…。
オーケストラピットに客席があるとは知らなかった!!
確かにそれは入手が困難そうだ。
全く舞台が見えなさそうだけど(笑)

作者はセンター・オーケストラ、前から5列目あたりを言いたかったのだろうね。
人気作ではプレミアム・チケットとして300ドルとかで売られている付近。

まぁそんな細かい突っ込みもあるけど、娯楽作品としては面白いのでそれなりにお勧めである。
でもまだ文庫本が出ていないので、メガヒヨは図書館で借りて済ませちゃった。
明日返しに行かなきゃ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(上)
楡 周平
講談社

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