貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

暑気払い・・・<天狗と猿蓑>

2018-07-18 08:50:21 | 日記
暑気払い・・・<天狗と猿蓑>

平成30年7月18日(水)

 明日は、「安否確認と暑気払い」。

久し振りに会える楽しみ!!

 昨夕の「読売寸評」。



 太宰治が、芭蕉の『猿蓑」を評して

いるという。

 エッセイの『天狗』でだそう。

 青年時代、読んだかどうか確かではない。

「暑い時に、ふいと思い出すのは猿簑の

中にある「夏の月」である。」

という書き出しで始まるという。

 『猿蓑』の『夏の月の巻』では、

先ず、凡兆の句で始まる。

「市中は物のにほひや夏の月」 凡兆

※ 真夏の街の夜は、昼の暑さも消え

やらず、むせかえるようないろいろな

ものの匂いが立ち込めて息苦しいが、

空には涼しげな月が仰がれるの意。

 次の句が、芭蕉作。

「あつしあつしと門々の聲」

 三つ目が、去来の句。

「二番草取りも果たさず穂に出て」

 芭蕉の句は、

「発句の中に、暑さに堪えないで

屋外に出て、月を仰ぎ涼味を追う人々

有りと見て、夕涼みの情景を人々の

声で表した。二句合うして夏の月の

賞美。」

 そうして三人の草木は続いていく。

京都嵯峨野の落柿舎での興行である。

「三吟歌仙興行」だ。



 太宰の随想は、続く。

「いい句である。感覚の表現が正確である。

私は漁師まちを思い出す。人によっては、

神田神保町あたりを思い浮べたり、あるいは

八丁堀の夜店などを思い出したり、

それは、さまざまであろうが、

何を思い浮べたってよい。

自分の過去の或る夏の一夜が、ありあり

とよみがえって来るから不思議である。」

と流れるように・・・・。

 確かに、暑い夏と物の匂い。

佳き点に着眼している。

 その匂いは遠くにある夏の月には

届かない。涼しげな月を眺めている。

 団扇と浴衣姿と・・・かやと・・・。

やはり懐かしい風景が蘇ってくる。

もう一度

「いちなかは物のにほいやなつのつき」。

「あつしあつしと門門の聲」

 芭蕉の句は、ちょっと都会の句かな?

私の故郷の夏の風物とはちょっと違うかな?

 寸評で、ちょっと暑さを忘れた。