あさむつや
令和3年4月19日(月)
あさむつや
月見の旅の
明ばなれ
月見の旅に出て、夜が明けきる
朝六つ時に、浅水の橋を渡ることだ。
「明ばなれ」は、夜がすっかり
明けること。
『枕草子』の「浅水の橋」と
「朝六つ」、即ち午前6時頃を掛けた句。
◎ 「「あさむつ」という歌枕と
「朝六つ」という時間とが調和して
いて、夜明けに暗かった夜が去り、
「有明の月」が少しぼんやりと
してくる様子が巧みに描出されている。
歌枕を使って、清少納言の昔から
芭蕉の現在までの過去の時制の名月が
回顧され、更に現在の時制にいる芭蕉が
最期の明月を見上げている。
過去は歌枕の月、
現在は夕暮れの夜有明の月、
未来はまだ見ぬ名所の月。