暑い毎日ですね。過日、西日本豪雨災害の支援募金を行いました。2時間ばかりでしたが、驚くほど多くの人に協力していただきました。千円札を入れてくれる人が多く、中には一万円も。この国、まだまだ捨てたもんじゃないですね。暖かい人が本当に多いです。迷わずお札を募金できる大人になりたいですねえ。しかし一方で、PR活動らしきことをしていた某団体が、近くで募金活動をされると、そっちに関心がいってしまうので、違うところでしてくれ、と言ってこられました。まあ、いろんな人がおられますね。
閑話休題、またまた過日、ある大学の先生による『ピアノ音楽の楽しみ』という講義を拝聴する機会がありました。先生がピアノを弾いて、その曲を説明するという内容でした。バッハの平均律が聞こえてきたので、いそいそと出かけて行きました。するとシューベルトの即興曲。ショパンのマズルカと「雨だれ」、シューマンの「トロイメライ」と来ました。そして、次ぎは何かな?うーん、ドビュッシーあたりかな、と思っていたら、グリーグでした。後から聞くと、ノルウェーなどの北欧に留学されていたとかで、思い入れがあったそうです。で抒情小曲集から「春に寄す」と「トロルドハウゲンの婚礼の日」でした。ここで、所用があり、あとは聴けなかったのですが、ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」などを弾かれたそうです。これを聴けなかったのは、残念でした。
しかし、その曲について、今までそんなにいいとは思わなかったのに、生で聴いたことでいたくいいなあ、と思うようになることってありますよね。今回、シューベルトがそれにあたるのですね。最初、ピアノ・ソナタかな、と思ってしまいましたが、よくよく聴いてみると、即興曲や、と確信しました。即興曲、これまで、そんなに熱心に聴くことはあまりなかったですかねえ。やはり、ビアノソナタが中心でしたかね。そんな中で、D.935の四つの即興曲から第2曲でした。シューベルトの最晩年の1827年秋以降の作品。シューマンは、第1曲と第2曲、第4曲で、三楽章の短調のピアノソナタと理解しました。でも、このふたつの即興曲は、実にいい曲ですよねえ。今回、生演奏で聴いていたく感動し、そのあとCDで繰り返し聴いたのでありました。
それで、今回この即興曲を聴いたのは、ウィルヘルム・ケンプの演奏。(実は翌日車中でブレンデルの演奏を聴いたのですが、そのCDは一緒に講義を聴いていた女性が「よかった」と言っていたので、思わず貸してあげました。)シューベルトのピアノ曲は、やはり、ケンプが一番ですかねえ。1965年9月の録音です。この8曲の中で、もっとも素晴らしいのは、D.899の第3曲ですかね。D.899では、まず第1曲。実に優しいピアノ。音量も控え目で一音一音が心に染み込んできます。このピアノにうっとりさせられる。そんなピアノはなかなか聴けないですね。よくケンプの左手の演奏のよさを指摘されましが、ここでも臨機応変。優しげに追従するところもあれば、多少声高に述べるところもありますね。第2曲でも控え目で流麗。この流れが心地よい。第3曲。確かに素晴らしい。左右のバランスが絶妙。右手のメロディも美しさ満載。これほど美しく弾けるだろうかと思う。そして、D.935。私はどちらかと言えば、こっちの方が好きです。どうしても、翌年のシューベルトの死を意識してしまうので、明るい曲想でも悲しみをイメージしてしまう。第1曲。ケンプは至極普通に、むしろ押さえ気味のピアノですが、それがこの曲の短調の中の明るさを絶妙にあらわしています。高音のタッチの絶品。第2曲。ここでもじつにさり気ない。重厚な和声も淡々と。中間部は流麗。繰り返すがこんな心に染み込むピアノは他にはないです。最後に最初の旋律の繰り返し。涙が出て来そうです。第3曲ロザムンデの変奏曲。シューマンの指摘どおり、この曲は他の3曲とは異質かも。でもこの旋律もシューベルトらしい。それをケンプは、一見そっけない演奏だが、聴けば聴くほど味が出て来ます。それはこの変奏曲、同じですね。
過日の講義で、シューベルトの数多いピアノ曲の中から、D.935の第2曲を選ばれた理由を聞きたかったのですが、聴けませんでした。とにかく、この演奏を聴かせていただいたことで、これら即興曲のよさを改めて知った気がしました。感謝であります。
(DG PROC-1873/5 TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION 2015年))
閑話休題、またまた過日、ある大学の先生による『ピアノ音楽の楽しみ』という講義を拝聴する機会がありました。先生がピアノを弾いて、その曲を説明するという内容でした。バッハの平均律が聞こえてきたので、いそいそと出かけて行きました。するとシューベルトの即興曲。ショパンのマズルカと「雨だれ」、シューマンの「トロイメライ」と来ました。そして、次ぎは何かな?うーん、ドビュッシーあたりかな、と思っていたら、グリーグでした。後から聞くと、ノルウェーなどの北欧に留学されていたとかで、思い入れがあったそうです。で抒情小曲集から「春に寄す」と「トロルドハウゲンの婚礼の日」でした。ここで、所用があり、あとは聴けなかったのですが、ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」などを弾かれたそうです。これを聴けなかったのは、残念でした。
しかし、その曲について、今までそんなにいいとは思わなかったのに、生で聴いたことでいたくいいなあ、と思うようになることってありますよね。今回、シューベルトがそれにあたるのですね。最初、ピアノ・ソナタかな、と思ってしまいましたが、よくよく聴いてみると、即興曲や、と確信しました。即興曲、これまで、そんなに熱心に聴くことはあまりなかったですかねえ。やはり、ビアノソナタが中心でしたかね。そんな中で、D.935の四つの即興曲から第2曲でした。シューベルトの最晩年の1827年秋以降の作品。シューマンは、第1曲と第2曲、第4曲で、三楽章の短調のピアノソナタと理解しました。でも、このふたつの即興曲は、実にいい曲ですよねえ。今回、生演奏で聴いていたく感動し、そのあとCDで繰り返し聴いたのでありました。
それで、今回この即興曲を聴いたのは、ウィルヘルム・ケンプの演奏。(実は翌日車中でブレンデルの演奏を聴いたのですが、そのCDは一緒に講義を聴いていた女性が「よかった」と言っていたので、思わず貸してあげました。)シューベルトのピアノ曲は、やはり、ケンプが一番ですかねえ。1965年9月の録音です。この8曲の中で、もっとも素晴らしいのは、D.899の第3曲ですかね。D.899では、まず第1曲。実に優しいピアノ。音量も控え目で一音一音が心に染み込んできます。このピアノにうっとりさせられる。そんなピアノはなかなか聴けないですね。よくケンプの左手の演奏のよさを指摘されましが、ここでも臨機応変。優しげに追従するところもあれば、多少声高に述べるところもありますね。第2曲でも控え目で流麗。この流れが心地よい。第3曲。確かに素晴らしい。左右のバランスが絶妙。右手のメロディも美しさ満載。これほど美しく弾けるだろうかと思う。そして、D.935。私はどちらかと言えば、こっちの方が好きです。どうしても、翌年のシューベルトの死を意識してしまうので、明るい曲想でも悲しみをイメージしてしまう。第1曲。ケンプは至極普通に、むしろ押さえ気味のピアノですが、それがこの曲の短調の中の明るさを絶妙にあらわしています。高音のタッチの絶品。第2曲。ここでもじつにさり気ない。重厚な和声も淡々と。中間部は流麗。繰り返すがこんな心に染み込むピアノは他にはないです。最後に最初の旋律の繰り返し。涙が出て来そうです。第3曲ロザムンデの変奏曲。シューマンの指摘どおり、この曲は他の3曲とは異質かも。でもこの旋律もシューベルトらしい。それをケンプは、一見そっけない演奏だが、聴けば聴くほど味が出て来ます。それはこの変奏曲、同じですね。
過日の講義で、シューベルトの数多いピアノ曲の中から、D.935の第2曲を選ばれた理由を聞きたかったのですが、聴けませんでした。とにかく、この演奏を聴かせていただいたことで、これら即興曲のよさを改めて知った気がしました。感謝であります。
(DG PROC-1873/5 TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION 2015年))
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