今年の梅雨はけっこう本格的なんですかねえ。雨が降らなくても、曇り空が続きます。たまに晴れたら、すかっとして清々しい陽気になります。そして1年でも最も日が長い季節。7時半でもあかるい、と言えば大袈裟ですが、7時ではまだまだ明るいです。そんな明るい時期に帰路につくことができれば、ほんとに幸せを感じます。私は最近あまり話題にならなくなったサマータイム推進論者なんですが、もしサマータイムが実現したら、8時でもまだ明るい。そんな夏の日を過ごしてみたいものであります。
さてさて、今回はブルックナー。交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』.演奏は、ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。録音は1976年1月18~21日、ミュンヘン、ビュルガーブロイケラーでのものです。ケンペは、1910年生まれのドイツの名匠であります。ドレスデンやバイエルンの国立歌劇場の音楽監督を歴任し、1967年以降はミュンヘン・フィル(MPO)の首席指揮者をつとめ、1976年5月12日、チューリッヒで肝臓癌で急逝しました。カラヤンの二歳年下ですから、もう20、いや10年活躍できれば、もっともっと名演を残したであろう指揮者です。MPOとは、1970年代になって、ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集を録音し、その後、ブルックナーのこの4番と5番を録音しました。4番を録音してわずか5ヶ月後の逝去ですから、死がなければブルックナーを次々に録音していたのではないか、と推測されます。ベートーヴェンやブラームスも評価の高い演奏ですから、急逝はほんとに残念ですねえ。つい先日もタワーさんから、交響曲第8番のチューリヒ・トーンハレ管との1973年のライブが出てまして、ケンペのブルックナーも4・5・8番が聴けるのですかね。
それで、このケンペのブルックナーです。まず、MPOの音が非常に武骨で、骨太の響きが聴けることです。きれいな音ととか美しい響きのいったものではなく、またそれらを追い求めることはなく、ひたすら誰に媚びることもなく、真摯にブルックナーの書いた音楽を再現しているといるひたむきさを感じます。同時代のカラヤンのBPOによる同曲の演奏に聴かれるような音とはまったく無縁であります。そして、ケンペもこのMPOの特徴をうまく生かし、私には作為的なところはなく、自然体でオケに接しています。金管の気合いの入った強総にしても、弦の響きも、この演奏は、細かいことよりも、オケの体質を十二分に発揮できるようま指揮と感じます。ただ、この演奏にはけっこう人間臭いところが随所に聴かれます。私的にはアルプスの雄大な自然であるとか、大宇宙の鼓動とかといったことよりも、人間の所業が見え隠れする演奏のほうがいいなと思っているのです。その点からしても、このケンペの演奏には大いに共感と理解をもつものです。第1楽章。武骨な金管も、なかなか味があります。迫力のある展開。そしてその他の安定感はいい。音の途切れ途切れになっていることも、次の展開を予測させられる。第2楽章は、少々飽きっぽいところもある曲ですが、淡々とした語り口がいいです。いつ終わるともしれない雰囲気が漂いながら、しかし、音楽はうまく心に染み込んできます。第3楽章スケルツォ。一層の骨太であるが、音造りは変わらない。中間部の旋律はいいですよ。そして第4楽章。私はけっこううこの楽章がすきです。ここではけっこう速めのテンポで、あっさりとした展開。その点で少々物足りない気もする。でもMPOの力量全開で、ズンズンと曲は進みます。高揚感もみなぎり曲は閉じます。
このブルックナーは、4番と5番が併せて2枚で納めれてているものです。5番の方が世評は高いのでですが、これはまた別の機会に、ということで…。
(SCRIBENDUM SC 003 2001年 輸入盤)
さてさて、今回はブルックナー。交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』.演奏は、ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。録音は1976年1月18~21日、ミュンヘン、ビュルガーブロイケラーでのものです。ケンペは、1910年生まれのドイツの名匠であります。ドレスデンやバイエルンの国立歌劇場の音楽監督を歴任し、1967年以降はミュンヘン・フィル(MPO)の首席指揮者をつとめ、1976年5月12日、チューリッヒで肝臓癌で急逝しました。カラヤンの二歳年下ですから、もう20、いや10年活躍できれば、もっともっと名演を残したであろう指揮者です。MPOとは、1970年代になって、ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集を録音し、その後、ブルックナーのこの4番と5番を録音しました。4番を録音してわずか5ヶ月後の逝去ですから、死がなければブルックナーを次々に録音していたのではないか、と推測されます。ベートーヴェンやブラームスも評価の高い演奏ですから、急逝はほんとに残念ですねえ。つい先日もタワーさんから、交響曲第8番のチューリヒ・トーンハレ管との1973年のライブが出てまして、ケンペのブルックナーも4・5・8番が聴けるのですかね。
それで、このケンペのブルックナーです。まず、MPOの音が非常に武骨で、骨太の響きが聴けることです。きれいな音ととか美しい響きのいったものではなく、またそれらを追い求めることはなく、ひたすら誰に媚びることもなく、真摯にブルックナーの書いた音楽を再現しているといるひたむきさを感じます。同時代のカラヤンのBPOによる同曲の演奏に聴かれるような音とはまったく無縁であります。そして、ケンペもこのMPOの特徴をうまく生かし、私には作為的なところはなく、自然体でオケに接しています。金管の気合いの入った強総にしても、弦の響きも、この演奏は、細かいことよりも、オケの体質を十二分に発揮できるようま指揮と感じます。ただ、この演奏にはけっこう人間臭いところが随所に聴かれます。私的にはアルプスの雄大な自然であるとか、大宇宙の鼓動とかといったことよりも、人間の所業が見え隠れする演奏のほうがいいなと思っているのです。その点からしても、このケンペの演奏には大いに共感と理解をもつものです。第1楽章。武骨な金管も、なかなか味があります。迫力のある展開。そしてその他の安定感はいい。音の途切れ途切れになっていることも、次の展開を予測させられる。第2楽章は、少々飽きっぽいところもある曲ですが、淡々とした語り口がいいです。いつ終わるともしれない雰囲気が漂いながら、しかし、音楽はうまく心に染み込んできます。第3楽章スケルツォ。一層の骨太であるが、音造りは変わらない。中間部の旋律はいいですよ。そして第4楽章。私はけっこううこの楽章がすきです。ここではけっこう速めのテンポで、あっさりとした展開。その点で少々物足りない気もする。でもMPOの力量全開で、ズンズンと曲は進みます。高揚感もみなぎり曲は閉じます。
このブルックナーは、4番と5番が併せて2枚で納めれてているものです。5番の方が世評は高いのでですが、これはまた別の機会に、ということで…。
(SCRIBENDUM SC 003 2001年 輸入盤)