8月も終わりですね。ここのところ雨が多いです。夜はめっきり涼しくなりました。秋を感じますねえ。
先日、ふとモーツァルトのピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595が聴きたくなりました。この名高いモーツァルト、最後のピアノ協奏曲。1991年の春に初演され、死を目前にしたモーツァルトの心情を反映した曲と、とよく指摘されて来ました。かのアインシュタイン曰く。「この曲は実際に、天国の門、つまり永遠への戸口に立っている。…それは、これが最後の春だということを自覚した、諦念の明朗さである」。そうは言っても、最近の研究では、この曲は1788年ころに着手したものという理解も有力なんですが、曲の雰囲気は、諦念とか、天才の夕暮れとか、まあそんな曲といえます。悪く言えば、ここまで気合いの入っていない曲も…、という意見も聞いたことあります。
それで、この曲の演奏ですが、バレンボイムのものが好きです。バレンボイムの演奏は、イギリス室内管弦楽団と1967~74年に録音した全集と、約20年後にBPOと録音したものがあります。今では、後者の方が評価は高いなあ、と思います。しかし、私的には前者の方を好んでいます。その昔、中古レコード漁りをしていたとき、このレコードをよく捜して買いました。しかし、なかなか全部は揃えることができませんでした。その後、タワーさんでCD10枚組で約5000円ほどで見つけまして、思わず買いました。全体的に、BPOとの演奏はオケが少々厚っぽいんですね。そして、前者の演奏は個性的なものが多く、特に、この27番などはその典型とも思います。
27番の演奏は、この録音の中でも早い時期のもので、1967年3~4月の録音です。まず、バレンボイムのピアノがいいでしす。清新なタッチで陰影に富み、表情ゆたかなものと言えるでしょうか。これほど、思い入れを強く持って弾いている例を知りませんね。オケもバレンボイムが弾き語りをしていることもあって、ピアノと同じ表情を示しています。ピアノもいいのですが、オケもいい。さわやかな弦に加えて、木管が美しい。この木管は実に秀逸であります。第1楽章、他の演奏にはないような豊かな表情がいいです。寂しさと微笑みの交差があざやかですねえ。第2楽章は、ピアノの消え入るような弱音を多く用いたことが、なんとも趣のある演奏になっています。これにオケの表情が加わって 悲喜の対比がおもしろい。そして、第3楽章「晴の憧れ」。明るい表情の中にも暗さが潜む。ピアノの強弱がなんともうまいです。バレンボイムは、ほんとに才人ですねえ。
この曲は、いろんな人の意見が先行し、曲のイメージが出来ちゃっていますね。それがいいのやら、悪いのやら…。
(EMI CDZ 62834 2 1989 輸入盤)
先日、ふとモーツァルトのピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595が聴きたくなりました。この名高いモーツァルト、最後のピアノ協奏曲。1991年の春に初演され、死を目前にしたモーツァルトの心情を反映した曲と、とよく指摘されて来ました。かのアインシュタイン曰く。「この曲は実際に、天国の門、つまり永遠への戸口に立っている。…それは、これが最後の春だということを自覚した、諦念の明朗さである」。そうは言っても、最近の研究では、この曲は1788年ころに着手したものという理解も有力なんですが、曲の雰囲気は、諦念とか、天才の夕暮れとか、まあそんな曲といえます。悪く言えば、ここまで気合いの入っていない曲も…、という意見も聞いたことあります。
それで、この曲の演奏ですが、バレンボイムのものが好きです。バレンボイムの演奏は、イギリス室内管弦楽団と1967~74年に録音した全集と、約20年後にBPOと録音したものがあります。今では、後者の方が評価は高いなあ、と思います。しかし、私的には前者の方を好んでいます。その昔、中古レコード漁りをしていたとき、このレコードをよく捜して買いました。しかし、なかなか全部は揃えることができませんでした。その後、タワーさんでCD10枚組で約5000円ほどで見つけまして、思わず買いました。全体的に、BPOとの演奏はオケが少々厚っぽいんですね。そして、前者の演奏は個性的なものが多く、特に、この27番などはその典型とも思います。
27番の演奏は、この録音の中でも早い時期のもので、1967年3~4月の録音です。まず、バレンボイムのピアノがいいでしす。清新なタッチで陰影に富み、表情ゆたかなものと言えるでしょうか。これほど、思い入れを強く持って弾いている例を知りませんね。オケもバレンボイムが弾き語りをしていることもあって、ピアノと同じ表情を示しています。ピアノもいいのですが、オケもいい。さわやかな弦に加えて、木管が美しい。この木管は実に秀逸であります。第1楽章、他の演奏にはないような豊かな表情がいいです。寂しさと微笑みの交差があざやかですねえ。第2楽章は、ピアノの消え入るような弱音を多く用いたことが、なんとも趣のある演奏になっています。これにオケの表情が加わって 悲喜の対比がおもしろい。そして、第3楽章「晴の憧れ」。明るい表情の中にも暗さが潜む。ピアノの強弱がなんともうまいです。バレンボイムは、ほんとに才人ですねえ。
この曲は、いろんな人の意見が先行し、曲のイメージが出来ちゃっていますね。それがいいのやら、悪いのやら…。
(EMI CDZ 62834 2 1989 輸入盤)
私もバレンボイムのLP、今でもあります。なかなかLPもいい音します。あまり聴きませんけど…(笑)。他にも、ピアノ協奏曲の録音はありますが、全集となると、バレンボイムの旧盤を押します。しかし、ニュースで聞きましたが、「早明浦ダムの利水容量がゼロになりました」。愛媛の方では渇水は大丈夫でしょうか。
バレンボイムがイギリス室内管を弾き振りしたモーツァルト、エエですねえ。昔、LP全集を無理して買った覚えがあります。初めて買ったモーツァルトのピアノ協奏曲全集でした。
そうそう、思い入れが強い演奏でした。若さというか、覇気というか、力強さも感じました。
バレンボイムはこの全集で自信をつけて、指揮者の方向へ進んでいったように思います。
ベルリン・フィルの弾き振りも20番以降を持っているんですが、こちらは貫禄・風格のある名演奏ですね。