私事で恐縮ですが、この4月にかなり高い確率で転勤があると思っていました。ですので、その心の準備はしっかりとし、加えてその気満々で、荷物の整理まで始めようとしていました。また心中には、けっこう難しい職場で、なかなかうまく行かないことに戸惑っていたのも事実で、ある意味逃避的な気持ちもあったのでした。そんな心の内を見透かされたのか、もっと今のところでしっかりせんかい、と叱責されたかもしれませんね。なかなかそうそう都合良くはいかないですね。もう1年、頑張ろうと決意した次第でありました。とほほであります。
そんな悩ましい4月。マーラーの交響曲第4番であります。4月だから4番てことでもまったくありません。演奏は、ロリン・マゼール指揮VPO。ソプラノ独唱はキャスリーン・バトルであります。1983年11月の録音。マーラー・ブームの中で録音されたマゼールとVPOのマーラー全集の一枚ですね。ひとりの指揮者によるVPOとのマーラー全集としては唯一のものです。この演奏は、CDで買った初めての4番でした。この演奏を選んだ最大の理由は、バトルの独唱があったからなんです。バトルの1980~90年代は大活躍でしたね。いろんなご自身のことが原因とかでほとんど声を聴かなくなったこと残念でした。
マゼールは、一昨年84才で逝去されました。現役の指揮者としてはもっともギャラが高額だったと言われています。ウィーン国立歌劇場監督、バイエルン放響首席指揮者、ニューヨークPO]音楽監督、MPO首席指揮者、クリーヴランド管音楽監督などなどを歴任、まあ輝かしい経歴でありますね。自らも熱望された、カラヤン後継者としてBPOの音楽監督になっていたなら、随分その後の活動も変わったものになったでしょうね。多くの録音を残しておられますが、マーラーでも、2011年ロンドンでPOとの全曲演奏がCD化されてもいますね。
さて、この演奏ですが、テンポは全体的にゆったりめで、これでもかというようにテンポを自由自在に変化させ、実に効果的な演奏に終始しています。そして、VPOの演奏が極めて美しい。
マーラーの演奏には、際だった美しさを聴かせてくれるVPOですが、このマゼールの演奏では目を見張るものがあります。このVPOの美音を存分に駆使することでこの曲の幻想的な表情が実に見事に表されています。そして、ダイナミックレンジも広く、弱音がたいそう美しいし、その扱いも上手いものがあります。
第1楽章、100の力をもったオケが、70で演奏をしているような印象をまず持ち、余裕のある美しさを実感します。安定感もたっぷり。ゆったりとしたテンポで豊穣で実りの多い音楽が展開されます。そして、非常に素直な演奏で、曲自体の美しさも十二分に実感させてくれます。第二楽章スケルツォ。ここでも「友ハイン(死神)は演奏する」とマーラー自身が述べた情景はそれほど感じず、独奏ヴァイオリンの軽妙な美しさが実にいい。このヴァイオリンはヘッツェルでしょうかね。またVPOの各楽器のバランスや構成も実に堅固であり、安定感は抜群であります。第三楽章。マーラー特有の至福の美しさにあふれた楽章。ゆったりとしたテンポで、VPOの弦や木管が、これ以上ないような美しい音色で旋律を歌っています。VPOは実に美しく、一糸乱れぬ鉄壁の演奏。マゼールはこのVPOの美音を駆使して、マーラーの幻想的な世界を素直に描写しています。そして、第四楽章、これまでの美しい世界に、バトルの清新で艶っぽい歌声が加わり、これ以上の天国があろうかと思わせる演奏です。マゼールのテンポの移ろいにバトルは絶妙の対応をしています。けっこうゆっくりめでつらいところもあるのでは、と思っているのですが、そんなことはまったく感じさせません。バトルは素晴らしいですねえ。
先週の金曜日、雨と特に風が強く、神戸には暴風警報が出ました。予想通り桜もかなり散ってしまいました。ゆっくりお花見に行きたかったのですが、今年も行けませんでした。残念でありました。
(SONY 22DC5569 BEST CLASSICS 100 1989年)
そんな悩ましい4月。マーラーの交響曲第4番であります。4月だから4番てことでもまったくありません。演奏は、ロリン・マゼール指揮VPO。ソプラノ独唱はキャスリーン・バトルであります。1983年11月の録音。マーラー・ブームの中で録音されたマゼールとVPOのマーラー全集の一枚ですね。ひとりの指揮者によるVPOとのマーラー全集としては唯一のものです。この演奏は、CDで買った初めての4番でした。この演奏を選んだ最大の理由は、バトルの独唱があったからなんです。バトルの1980~90年代は大活躍でしたね。いろんなご自身のことが原因とかでほとんど声を聴かなくなったこと残念でした。
マゼールは、一昨年84才で逝去されました。現役の指揮者としてはもっともギャラが高額だったと言われています。ウィーン国立歌劇場監督、バイエルン放響首席指揮者、ニューヨークPO]音楽監督、MPO首席指揮者、クリーヴランド管音楽監督などなどを歴任、まあ輝かしい経歴でありますね。自らも熱望された、カラヤン後継者としてBPOの音楽監督になっていたなら、随分その後の活動も変わったものになったでしょうね。多くの録音を残しておられますが、マーラーでも、2011年ロンドンでPOとの全曲演奏がCD化されてもいますね。
さて、この演奏ですが、テンポは全体的にゆったりめで、これでもかというようにテンポを自由自在に変化させ、実に効果的な演奏に終始しています。そして、VPOの演奏が極めて美しい。
マーラーの演奏には、際だった美しさを聴かせてくれるVPOですが、このマゼールの演奏では目を見張るものがあります。このVPOの美音を存分に駆使することでこの曲の幻想的な表情が実に見事に表されています。そして、ダイナミックレンジも広く、弱音がたいそう美しいし、その扱いも上手いものがあります。
第1楽章、100の力をもったオケが、70で演奏をしているような印象をまず持ち、余裕のある美しさを実感します。安定感もたっぷり。ゆったりとしたテンポで豊穣で実りの多い音楽が展開されます。そして、非常に素直な演奏で、曲自体の美しさも十二分に実感させてくれます。第二楽章スケルツォ。ここでも「友ハイン(死神)は演奏する」とマーラー自身が述べた情景はそれほど感じず、独奏ヴァイオリンの軽妙な美しさが実にいい。このヴァイオリンはヘッツェルでしょうかね。またVPOの各楽器のバランスや構成も実に堅固であり、安定感は抜群であります。第三楽章。マーラー特有の至福の美しさにあふれた楽章。ゆったりとしたテンポで、VPOの弦や木管が、これ以上ないような美しい音色で旋律を歌っています。VPOは実に美しく、一糸乱れぬ鉄壁の演奏。マゼールはこのVPOの美音を駆使して、マーラーの幻想的な世界を素直に描写しています。そして、第四楽章、これまでの美しい世界に、バトルの清新で艶っぽい歌声が加わり、これ以上の天国があろうかと思わせる演奏です。マゼールのテンポの移ろいにバトルは絶妙の対応をしています。けっこうゆっくりめでつらいところもあるのでは、と思っているのですが、そんなことはまったく感じさせません。バトルは素晴らしいですねえ。
先週の金曜日、雨と特に風が強く、神戸には暴風警報が出ました。予想通り桜もかなり散ってしまいました。ゆっくりお花見に行きたかったのですが、今年も行けませんでした。残念でありました。
(SONY 22DC5569 BEST CLASSICS 100 1989年)
さて、マゼールのマーラーですが、1枚も持っていません。マゼールが嫌いなわけではありません。むしろ、レコード時代から、好きな指揮者でした。CDの初期も、惑星や、チャイコフスキーの交響曲第5番などを、愛聴していました。しかし、マーラーはないのです。いざ、買おうと思った時に、意外な理由で、購入をためらったのです。それは、ソニーのジャケットが気に入らなかったことです。特に再発盤は安っぽくてダメでした。ソニーに限らず、再発盤は、どこのレーベルも、ひどいいものが多いですねえ。大手のユニヴァーサルもスキャナーの写真がひどいです。ぼけたような写真が多いです。CDが、安っぽく見えてしまいますね。ソニーもRCAと一緒になり、1000円盤が出ていますが、これは久々に良いですねえ。昔のデザインは、やっぱり良かったです。
ということで、演奏のことには触れませんでしたが、今度、良いジャケットで出るときには、購入して、聴いてみたいです。
上越高田の桜(日本三大夜桜の一つ)も盛りを過ぎてしまいました。今年は会期中にボートの転覆による高校生の死亡事故などもあり、残念なものとなってしまった感があります。
さて、あまり評判の良くないマゼール/VPOのマーラー。なんでだろうなあ?劇的な表現を避け、むやみにテンポをいじらずじっくり行くスタイル、私は大好きです。ウィーンPOとのマーラーのジャケはウィーンやマーラーにゆかりのある建物や風景の絵で統一されているんですよねえ。
国内盤の全集BOXで持ってますが、このジャケ絵が小さいのがちょっと残念です。
割と低体温な演奏の多いマゼールでしたがこの4番はウォームな演奏でした。バトルのコロコロと転がる声と相まって今でも4番ならコレを聴くことが多いです。