やっと神戸では雨が止みました。水曜日からの西日本の豪雨、ひどかったですね。兵庫にも大雨特別警報がでて、河川も氾濫寸前。鉄道はほとんど運休。道路は通行止めなどもあり、大渋滞。娘は8㎞進むのに8時間かかり、車をコインパーキングに駐めて、動いていたJRで帰宅したそうです、岡山の真備町は孤立状況が続き、やっと救援へ。しかしどれだけの被害があるかわからない状況。岡山の実家でも避難勧告がでて近所の人は中学校に避難したとか。幸いにも川の氾濫は免れました。とりあえずは、安堵した次第です。
被害が気がかりですが、今回はギュンター・ヴァントの演奏。シューベルトの交響曲第9番ハ長調D.944『ザ・グレート』です。晩年の異常な人気ゆえ、同曲異演盤が多いのです。この曲も1977年3月のケルン放響とのセッション録音がある他、1991年NDR、1993年MPO、1993年ベルリン・ドイツ放響、1995年BPOとの4つのライブ録音盤があります。ヴァントはこの曲を得意としていたのでしょうかね。今回は、1979年11月9日NHKホールでのヴァント指揮NHK響による演奏です。これは昨年発売されたN響85周年記念ライブ・シリーズのCDの一枚です。
ヴァントは、1979年、1982年、1983年の三回にわたってN響に客演しています。それ以前には、1968年に読売日響が招聘しましたが、それほど話題にもならず、むしろその口うるさく頑固な性格がわざわいしてか、それっきりになったそうです。そしてN響は、招聘決定後にそんな評判を聞いて後悔したそうですが、実際の演奏に接したら評価は変わり、音楽に対する妥協しない厳しい姿勢に好感をもったとか。しかし、この時期はヴァントの演奏は、ほとんど聴くことができなかったです。ケルン放響とのブルックナー全集がLPで発売されたのは1982年。それもあまり話題にはならなかったですよね。しかし、先のシューベルト全集に続き、NDRとのベートーヴェン全集、そしてNDRとのブルックナーから評価が徐々に高まっていき、1995年のザ・グレートからBPOとの録音が始まり、評価と人気は頂点に達するのでありました。
この1979年のザ・グレート。ヴァントらしい熱演ですよね。全曲を通して張り詰めた緊張感と剛毅で揺るぎない曲つくりが、聴いていて他にはない充実感をもたらせてくれます。ここには紛れもないヴァントの演奏があります。晩年の演奏にはない力強さと頑固さがみなぎっているのが、私はとても好きです。どこにも媚びることがなく、信念にそった力強さ。これが完成されて揺るぎない造型となっています。高い評価の晩年の演奏に比べても何ら遜色ない。私は1990年前後のNDRとの演奏が最も好きなんですが、それに比べても剛毅さや厳しさでは勝っているとも感じます。N響は、弦は柔らかく、木管は明るく、金管は派手にヴァントに一生懸命ついていっているところが実にいい。よく言われるヴァントの冷たさ、硬さや、生真面目さなどは、ほとんど感じず、明るく熱く剛毅で、シューベルトの歌もしっかり聴ける、私には文句の付けようのない演奏であります。
第一楽章、ゆったりとしたテンポで旋律を慈しむように歌い上げる。一方で、次第に熱を帯びて力一杯に剛毅な演奏が繰り広げられ、気持ちもたいそう高まってくる。オケも乱れることなく頑張っています。第二楽章、冒頭から気合のこもった展開。演奏者と聴き手にも脇目も振らずシューベルトの音楽に没頭できますねえ。それだけ充実感にあふれ、本当に気持ちいい。第三楽章スケルツォ。ヴァントのスケルツォは私は特に好きで、リズム感がいいです。そして中間部も前後の際だった荒々しさと対比され、実に美しい旋律が朗々と歌われる。第四楽章、この楽章はいいですね。気持ちもしっかり乗って、シューベルトの旋律を存分に歌い上げ、かつN響も精一杯頑張り、いやー素晴らしい演奏を聴かせてくれています。心地よさと充実感と満足感一杯であります。いい演奏でしたねえ。
しかし、毎年のように梅雨末期には、豪雨となりますねえ。自然の脅威にはなすすべがないのでしょうか、といつも申しております。
(King International KKC2015 2017年)
被害が気がかりですが、今回はギュンター・ヴァントの演奏。シューベルトの交響曲第9番ハ長調D.944『ザ・グレート』です。晩年の異常な人気ゆえ、同曲異演盤が多いのです。この曲も1977年3月のケルン放響とのセッション録音がある他、1991年NDR、1993年MPO、1993年ベルリン・ドイツ放響、1995年BPOとの4つのライブ録音盤があります。ヴァントはこの曲を得意としていたのでしょうかね。今回は、1979年11月9日NHKホールでのヴァント指揮NHK響による演奏です。これは昨年発売されたN響85周年記念ライブ・シリーズのCDの一枚です。
ヴァントは、1979年、1982年、1983年の三回にわたってN響に客演しています。それ以前には、1968年に読売日響が招聘しましたが、それほど話題にもならず、むしろその口うるさく頑固な性格がわざわいしてか、それっきりになったそうです。そしてN響は、招聘決定後にそんな評判を聞いて後悔したそうですが、実際の演奏に接したら評価は変わり、音楽に対する妥協しない厳しい姿勢に好感をもったとか。しかし、この時期はヴァントの演奏は、ほとんど聴くことができなかったです。ケルン放響とのブルックナー全集がLPで発売されたのは1982年。それもあまり話題にはならなかったですよね。しかし、先のシューベルト全集に続き、NDRとのベートーヴェン全集、そしてNDRとのブルックナーから評価が徐々に高まっていき、1995年のザ・グレートからBPOとの録音が始まり、評価と人気は頂点に達するのでありました。
この1979年のザ・グレート。ヴァントらしい熱演ですよね。全曲を通して張り詰めた緊張感と剛毅で揺るぎない曲つくりが、聴いていて他にはない充実感をもたらせてくれます。ここには紛れもないヴァントの演奏があります。晩年の演奏にはない力強さと頑固さがみなぎっているのが、私はとても好きです。どこにも媚びることがなく、信念にそった力強さ。これが完成されて揺るぎない造型となっています。高い評価の晩年の演奏に比べても何ら遜色ない。私は1990年前後のNDRとの演奏が最も好きなんですが、それに比べても剛毅さや厳しさでは勝っているとも感じます。N響は、弦は柔らかく、木管は明るく、金管は派手にヴァントに一生懸命ついていっているところが実にいい。よく言われるヴァントの冷たさ、硬さや、生真面目さなどは、ほとんど感じず、明るく熱く剛毅で、シューベルトの歌もしっかり聴ける、私には文句の付けようのない演奏であります。
第一楽章、ゆったりとしたテンポで旋律を慈しむように歌い上げる。一方で、次第に熱を帯びて力一杯に剛毅な演奏が繰り広げられ、気持ちもたいそう高まってくる。オケも乱れることなく頑張っています。第二楽章、冒頭から気合のこもった展開。演奏者と聴き手にも脇目も振らずシューベルトの音楽に没頭できますねえ。それだけ充実感にあふれ、本当に気持ちいい。第三楽章スケルツォ。ヴァントのスケルツォは私は特に好きで、リズム感がいいです。そして中間部も前後の際だった荒々しさと対比され、実に美しい旋律が朗々と歌われる。第四楽章、この楽章はいいですね。気持ちもしっかり乗って、シューベルトの旋律を存分に歌い上げ、かつN響も精一杯頑張り、いやー素晴らしい演奏を聴かせてくれています。心地よさと充実感と満足感一杯であります。いい演奏でしたねえ。
しかし、毎年のように梅雨末期には、豪雨となりますねえ。自然の脅威にはなすすべがないのでしょうか、といつも申しております。
(King International KKC2015 2017年)
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