9月になりました。少し朝晩は涼しくなったようですね。そうは言っても、新聞を賑わすのは、空転の国会の中で民主・自民の代表者選び。国民に半ば愛想を尽かされているような、ほとんど魅力を感じない候補者の名が聞かれます。そんな状態だから、地方の政治家が支持を集めることになる。これからの日本の政治はどうなるんでしょうねえ。誰が総理大臣になるかわかりませんが、維新を取り込もうとして失敗したWさんだけには、なってもらいたくないな、と思ってしまいます。まあ無理ですがね。どんなもんでしょうか。
さて、前回と前々回は、たくろうと陽水ということで、クラシック以外の音楽を取り上げました。9月になって初めの今回は、クラシック音楽に戻りたいと思います。今後、クラシックを聴くことが今イチだねえ、と思ったときには、こんな音楽も取り上げることもあるでしょう。
そんなわけで、今回はベートーヴェン。朝比奈隆さんの演奏です。大阪フィルハーモニー交響楽団による交響曲第7番イ長調作品92であります。1992年6月27・28日の録音。朝比奈さんの録音はライブが多いのですが、これは1992年3月から6月にかけて、ザ・シンフォニーホールで行われた『朝比奈隆の軌跡Ⅴ』の本番当日および前日に大阪フィルの練習場で行われた演奏をもとにしています。朝比奈さんの録音としては珍しいリハーサルを兼ねたスタジオ録音です。この録音が行われた大阪フィルの練習場は、非常に音響効果の優れたホールであり、そのためこの録音も極めていいものになっているのです。朝比奈さんのベートーヴェン全集は、全部で7つのものがありますが、これはその5回目の全集からの演奏であります。
それで、この7番ですが、演奏時間が47分46秒となっています。最近録音されたティーレマンの演奏は37分10秒。これと比べると、朝比奈さんのこの演奏が極めて長いことがわかります。数ある演奏の中で、もっとも長い部類の録音であります。その理由は、すべての反復を忠実に行ったためですが、朝比奈さんは「このように演奏して、初めてこの交響曲が仰ぎ見るほど立派な作品として現れるのだ」と言われています。もちろんそれだけではなく、テンポが遅いことも特質すべきことであります。
ということで、この演奏を聴くと、たしかにこの七番がこんなに広大でスケールの大きい曲だったのか、と思ってしまいます。そして風格もあり構成も非常にダイナミック。これを聴くと、古楽器による演奏などは、ふっとんでしまう。これこそがベートーヴェンだ!と実感してしまうのです。大フィルは極めて分厚い管弦楽。朝比奈さんは金管の人数を増やすことをされましたが、数も多いのでしょうね。細かいところなどはどうでもよく、この巨大な造型物は重厚壮大。まさにその偉容に感服してしまいます。すべて行っている反復も、ほとんど気にならない。それどころか、巨大さに長大さも加わって、一層存在感が増幅され、ますますこの交響曲のスケールは完璧になっているように思います。いやはや、ここまでやられると、もう参りました、という世界でありますねえ。ほんとにすごい演奏です。
ただ、オケの響きがやはり粗いところはあります。そしていくつかの楽器が重なったときの響きが調和のとれない印象がある。ときたま何にも考えずにただ楽器を鳴らしているだけ、というように聞こえる…などが指摘できるかと思います。しかし、そんなところを朝比奈さんの指揮で十二分に補っているので、いつしか気にならなくなるのも事実でありました。
朝比奈さんのベートーヴェンは、4・6・7回目の全集はまだ現役で買うことが可能ですが、これも含めてその他のものは、入手が困難なようです。この全集も、amazonから中古で買いました。実は梅田の中古やさんで見たことがあったのですが、これってうちにあるのと一緒かな、と不安になってしまい、買わなかったのです。不覚でありました。勉強しておかないとダメですねえ。
(PONY CANYON PCCL-00171 1992年)
さて、前回と前々回は、たくろうと陽水ということで、クラシック以外の音楽を取り上げました。9月になって初めの今回は、クラシック音楽に戻りたいと思います。今後、クラシックを聴くことが今イチだねえ、と思ったときには、こんな音楽も取り上げることもあるでしょう。
そんなわけで、今回はベートーヴェン。朝比奈隆さんの演奏です。大阪フィルハーモニー交響楽団による交響曲第7番イ長調作品92であります。1992年6月27・28日の録音。朝比奈さんの録音はライブが多いのですが、これは1992年3月から6月にかけて、ザ・シンフォニーホールで行われた『朝比奈隆の軌跡Ⅴ』の本番当日および前日に大阪フィルの練習場で行われた演奏をもとにしています。朝比奈さんの録音としては珍しいリハーサルを兼ねたスタジオ録音です。この録音が行われた大阪フィルの練習場は、非常に音響効果の優れたホールであり、そのためこの録音も極めていいものになっているのです。朝比奈さんのベートーヴェン全集は、全部で7つのものがありますが、これはその5回目の全集からの演奏であります。
それで、この7番ですが、演奏時間が47分46秒となっています。最近録音されたティーレマンの演奏は37分10秒。これと比べると、朝比奈さんのこの演奏が極めて長いことがわかります。数ある演奏の中で、もっとも長い部類の録音であります。その理由は、すべての反復を忠実に行ったためですが、朝比奈さんは「このように演奏して、初めてこの交響曲が仰ぎ見るほど立派な作品として現れるのだ」と言われています。もちろんそれだけではなく、テンポが遅いことも特質すべきことであります。
ということで、この演奏を聴くと、たしかにこの七番がこんなに広大でスケールの大きい曲だったのか、と思ってしまいます。そして風格もあり構成も非常にダイナミック。これを聴くと、古楽器による演奏などは、ふっとんでしまう。これこそがベートーヴェンだ!と実感してしまうのです。大フィルは極めて分厚い管弦楽。朝比奈さんは金管の人数を増やすことをされましたが、数も多いのでしょうね。細かいところなどはどうでもよく、この巨大な造型物は重厚壮大。まさにその偉容に感服してしまいます。すべて行っている反復も、ほとんど気にならない。それどころか、巨大さに長大さも加わって、一層存在感が増幅され、ますますこの交響曲のスケールは完璧になっているように思います。いやはや、ここまでやられると、もう参りました、という世界でありますねえ。ほんとにすごい演奏です。
ただ、オケの響きがやはり粗いところはあります。そしていくつかの楽器が重なったときの響きが調和のとれない印象がある。ときたま何にも考えずにただ楽器を鳴らしているだけ、というように聞こえる…などが指摘できるかと思います。しかし、そんなところを朝比奈さんの指揮で十二分に補っているので、いつしか気にならなくなるのも事実でありました。
朝比奈さんのベートーヴェンは、4・6・7回目の全集はまだ現役で買うことが可能ですが、これも含めてその他のものは、入手が困難なようです。この全集も、amazonから中古で買いました。実は梅田の中古やさんで見たことがあったのですが、これってうちにあるのと一緒かな、と不安になってしまい、買わなかったのです。不覚でありました。勉強しておかないとダメですねえ。
(PONY CANYON PCCL-00171 1992年)
東京で聴いた3番と1番の実演は、何度ものカーテンコールとともに、思い出深いものとなっていますから、7番などはまっさきに聴きたいものです。
佳いCDの紹介、ありがとうございます。
またご教示ください。