昨晩、夕刊を見ていた家人がビックリして訃報記事を教えてくれました。87歳だそうですね。数年まえ、レヴァインのメト就任の何年かの記念演奏会で登場して、ワルキューレの「雄叫び」?を披露したことを覚えてます。ニルソンは、20世紀後半を代表するワーグナーのドラマチック・ソプラノとして活躍しただけでなく、この分野では、フラグスタットと並ぶ頂点を極めた人でしたね。私がちょうど音楽を聴き始めた頃が、現役の最後でした。彼女の魅力はどんな管弦楽にも負けない強靭なコントロールされた声と一方では深い表現力にありますね。ベームやショルティのリングのブリュンヒルデやベームのトリスタンのイゾルデなどが彼女の最良の遺産でしょう。中でも、ベームのバイロイトのライブである後者は、あの第二幕のトリスタンとの二重唱は、絶品です。ブランゲーネのルードヴィヒとともに、この世のものとも思えない陶酔感に導いてくれます。ということで、これを昨晩は聴きました。彼女の後はどうでしょう。今の最上のイゾルデは、ワルトラウト・マイヤーかなと思います。彼女の美貌とともにビデオでみるイゾルデは極上の素晴らしさで、その冷や汗がでるほどの妖艶さを感じますが、ニルソンに比べれば…、と思わざるを得ないのは私だけでしょうか。それは、ブリュンヒルデにおいても言えることでしょうね。ご冥福をお祈りします。
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