やっと仕事が一段落しました。特に、6月は長かったですね。いろんなことをしなければならないようで、ほんとにつらい一ヶ月でした。ゆっくりと音楽を聴くこともままならない日々でございました。やっと一息であります。
それで、今回取り上げるのは、ベームの来日公演のライブです。ベームは最晩年に三度の来日公演を果たし、その演奏は、いまでも語りぐさになっております。その中で、最初の来日であった1975年の演奏会において、当時熱狂的に盛り上がった様は今でも記憶に新しいところです。そうはいっても、もう35年も前のことなんですね。その演奏は、今でもCDなどで聴くことができます。残念ながら、現在それらのCDは廃盤の状態で、入手することは極めて困難です(DVDでは入手できますが、私はDVDというのはそれほど好きではありません)。なんとか再発売をしてほしいものです。そんなわけで、この来日公演でのシューベルトの交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレート」であります。シューベルト最晩年の名曲。60分近い長大な曲。スケールの大きさにシューベルト独自のロマン性が加わった、数ある交響曲の中でも名作といわれるものです。1975年3月19日、NHKホールでのライブ録音です。
この来日公演は、円熟期のまっただ中にあったベームが、VPOとほんとに熱い名演を聴かせてくれたものです。全体的にゆっくりめのテンポ。スケールは限りなく大きく、曲調とあいまって大きく巨大な構造物とになっています。ベームは、これといって無理に力まず、自然体のまま、それでいて力強い。その力強さはこのライブの熱気をしっかり伝えてくれています。ベームのライブ演奏の凄まじさを十二分に認識させてくれています。「NHKホールが初めて鳴りきった、もの凄いフォルテだった」と言われている演奏であります。当時、岡山の田舎で、NHKFMの生放送でこの演奏を聴いていました。カセットテープに録音したことも憶えています。そのときは、これぞドイツの正統的な演奏とひたすら思ったことでした。VPOも、これまた素晴らしい。この曲には、シューベルトらしい美しいメロディが散りばめられていますが、それを実によく歌ってくれています。この歌も正統な重みを感じさせるものです。みずみずしい弦楽器に、木管のアクセントが加わっています。第3楽章の長大なトリオ。この美しい旋律はこの曲の中でも忘れられないものですね。他にも美しさが散りばめられた曲ですねえ。これをVPOがまたしっかり演奏してくれています。
この公演では、ブラームスの1番やベートーヴェンの7番も忘れられない名演として知られています。この公演のDVD、いつも欲しい欲しいと思っているのですが…。
(DG POCG90342 1999年)
それで、今回取り上げるのは、ベームの来日公演のライブです。ベームは最晩年に三度の来日公演を果たし、その演奏は、いまでも語りぐさになっております。その中で、最初の来日であった1975年の演奏会において、当時熱狂的に盛り上がった様は今でも記憶に新しいところです。そうはいっても、もう35年も前のことなんですね。その演奏は、今でもCDなどで聴くことができます。残念ながら、現在それらのCDは廃盤の状態で、入手することは極めて困難です(DVDでは入手できますが、私はDVDというのはそれほど好きではありません)。なんとか再発売をしてほしいものです。そんなわけで、この来日公演でのシューベルトの交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレート」であります。シューベルト最晩年の名曲。60分近い長大な曲。スケールの大きさにシューベルト独自のロマン性が加わった、数ある交響曲の中でも名作といわれるものです。1975年3月19日、NHKホールでのライブ録音です。
この来日公演は、円熟期のまっただ中にあったベームが、VPOとほんとに熱い名演を聴かせてくれたものです。全体的にゆっくりめのテンポ。スケールは限りなく大きく、曲調とあいまって大きく巨大な構造物とになっています。ベームは、これといって無理に力まず、自然体のまま、それでいて力強い。その力強さはこのライブの熱気をしっかり伝えてくれています。ベームのライブ演奏の凄まじさを十二分に認識させてくれています。「NHKホールが初めて鳴りきった、もの凄いフォルテだった」と言われている演奏であります。当時、岡山の田舎で、NHKFMの生放送でこの演奏を聴いていました。カセットテープに録音したことも憶えています。そのときは、これぞドイツの正統的な演奏とひたすら思ったことでした。VPOも、これまた素晴らしい。この曲には、シューベルトらしい美しいメロディが散りばめられていますが、それを実によく歌ってくれています。この歌も正統な重みを感じさせるものです。みずみずしい弦楽器に、木管のアクセントが加わっています。第3楽章の長大なトリオ。この美しい旋律はこの曲の中でも忘れられないものですね。他にも美しさが散りばめられた曲ですねえ。これをVPOがまたしっかり演奏してくれています。
この公演では、ブラームスの1番やベートーヴェンの7番も忘れられない名演として知られています。この公演のDVD、いつも欲しい欲しいと思っているのですが…。
(DG POCG90342 1999年)
中学生のときに、シューベルトのザ・グレイトを、ベーム&SKDとの組み合わせではじめて聴きました。鷹揚で朗々となる金管と、怒涛のようなトッティ・・・すばらしかったです。
カラヤンかベームか?といわれていた頃のベームの勢いを知らない自分としては、非常に面白い話を聞かせて頂きました。個人的にはVPOとの組み合わせで言えば、カラヤンよりベームの録音の方が好きです。
なんといっても、ベームは好きです。欧米では完全に過去の指揮者となっているやに聴きますが、なんででしょうねえ。今でも、多くの録音は素晴らしいと思っていますが…。1975年前後のベームは、1990年代後半のヴァントの人気の十倍以上の物であったと思います。いい時代でしたよ。ほんと。
若い聴き手にも、ベームの真価を聴きとってほしいし、聴き取れるだけの録音が残されていると思います。75年の収録はすばらしいものばかりで、ご紹介の「グレート」のほかに「未完成」「ブラームスの第一」「レオノーレ序曲三番」「皇帝円舞曲」の四曲が私にはとりわけ印象的でした。当時は物足りないと思えたベートーヴェン第七も、DVDで再聴して認識が変りました。そう、35年たってもまだベームの演奏には、発見があるのです。こういう名演奏に満ちていた70年代は、すごい時代でしたね。NHKは映像の多くを処分しており、今回発売されたものも、かなりの部分をエアチェック映像に依存しています。音はFM音源に差し替え、それなりに見られる映像ですが、走査線による細部のにごりは残念というしかありません。しかも最終日のモーツァルトとシュトラウスの一夜が、未発売。ここではベームの指揮を同じアングルからとらえるなど、凝った収録がなされていただけに、惜しいと思います。どこかに残ってはいないのでしょうか。