言葉そのものより表情・口調が意味を伝えてしまうのに、島岡美延です。「楽しい日本」と語る首相が最も楽しくなさそう。
もちろん、笑顔の裏側に大きな痛みがあることも。映画『リアル・ペイン~心の旅~(31日公開)』をご紹介します。監督・脚本・製作・主演のジェシー・アイゼンバーグが脚本賞で、キーラン・カルキンが助演男優賞で米アカデミー賞にノミネートされました。自らの家族のルーツを題材にした繊細な物語、演出から一瞬も目が離せません。
かつては兄弟同然、近年は疎遠になっていたNYに暮らすデヴィッド(ジェシー)と従兄弟のベンジー(キーラン)。数年ぶりに再会したのは、亡くなった最愛の祖母を偲び彼女の故郷ポーランドを旅するため。強制収容所などを巡る史跡ツアーに参加したのは6人。正反対の性格ながら求める境地は重なり合い、旅先で揺れ動く様々な感情。この旅の終わりに見えてきたのは――。
全編ほぼショパンの名曲。美しい景観と影の歴史。知るべきものが凝縮された90分。