読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

12月刊行予定文庫新刊、超個人的注目本8冊(プラス、11月刊行分から2冊)

2013-11-14 22:56:46 | 本のお噂
来月12月に刊行予定の文庫新刊の中から、わたくしの興味に引っかかった書目をピックアップしてみたいと思います。•••それにしても、2013年も残すところあと1ヶ月ちょっとしかないのかあ。ついこないだ年が明けたばかりだと思ってたのに、ほんと月日の経つのは早いもんだなあ。そりゃオレも歳とるわなあ、ったくよう。•••って、そんなことはどうでもいいですね。
とにかく、今回もわたくしの興味関心だけでピックアップしたものですので、皆さまのお役に立てるものかどうかは心もとないのですが、少しでも引っかかりのある書目があれば幸いであります。
刊行データのソースは、出版取次会社が書店向けに発行している情報誌『日販速報』11月11日号付録の12月刊行文庫新刊ラインナップ一覧です。発売日は首都圏基準で、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、発売予定や書名は変更されることもあります。

『アンパンマンの遺書』 (やなせたかし著、岩波現代文庫、17日発売)
せんだって亡くなられたアンパンマンの生みの親、やなせたかしさんが1995年に出した単行本を文庫化。銀座モダンボーイの修業時代から焼け跡からの出発,長かった無名時代•••。画業人生の歩みを振り返るとともに、手塚治虫、永六輔、宮城まり子といった人びととの交流も語ります。

『岩波茂雄と出版文化 近代日本の教養主義』 (村上一郎・竹内洋著、講談社学術文庫、10日発売)
岩波茂雄はいかにして出版社を起こし、出版界に君臨していったのか。その過程で何を利用し、何を切り捨てたのか? 岩波茂雄と岩波書店の歩みを通して、近代日本のアカデミズムと教養主義のあり方を問い直すとともに、文化産業としての出版業を考察した一冊。これはなんだか気になりますね。

『パンの文化史』 (舟田詠子著、講談社学術文庫、10日発売)
講談社学術文庫からもう一冊。世界各地・諸民族・各家庭で多種多様に継承されたパンの姿と歴史と文化を、貴重な写真も交えつつ、膨大な資料と調査に基づいて一望したパンの文化人類学。食文化ものには関心のあるわたくしとしては、これは見逃せない一冊であります。

『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』 (朱川湊人著、光文社文庫、5日発売)
2006年から1年間テレビ放送された『ウルトラマンメビウス』。その脚本を3回分手がけた直木賞作家が、テレビ版を元にしつつ新たなウルトラマン像を小説の形で描き出したという作品。『メビウス』は熱心に観ておりましたが、この小説版はまだ未読でありました。こちらも気になります。

『ケプラー予想 四百年の難問が解けるまで』 (ジョージ・G・スピーロ著、青木薫訳、新潮文庫、25日発売)
「フェルマーの最終定理」に並ぶ超難問といわれていた「ケプラー予想」。それが400年もの歳月をかけて解かれるまでに繰り広げられた、天才数学者たちの栄光と苦闘を描く感動の数学ドラマ。数学はからきしダメダメなわたくしでありますが、数学者たちのドラマにはなんだか興味があります。

『生命40億年全史』上・下 (リチャード・フォーティ著、渡辺政隆訳、草思社文庫、5日発売)
隕石衝突、地殻変動、気候激変、絶滅と進化──。謎とドラマに満ちた壮大な進化劇を巧みな語り口で一気に読ませる生命史。こういうスケール感の大きな内容にはとにかく惹きつけられるものがあります。12月刊行分の中では一番読んでみたい本であります。

『ぼくは本屋のおやじさん』 (早川義夫著、ちくま文庫、10日発売)
つのだ☆ひろ等が所属していたバンド「ジャックス」のリーダーであった著者が、一時引退後に営んでいた本屋での仕事の日々を綴った一冊。多くの書店員にも影響を与えたという名著が、ついに文庫で登場。

『映画を作りながら考えたこと』 (高畑勲著、文春ジブリ文庫、4日発売)
最新作『かぐや姫の物語』の公開を控える高畑勲監督が、1991年に出版した単行本を文庫化。アニメ製作の舞台裏から、アニメ史における貴重な証言などを収めた、高畑作品のサブテキストともなりそうな一冊。

そして、以下の2冊は今月、11月刊行分であります。11月は個人的にはあまりビビっとくる書目がありませんでしたので(あくまでもわたくし個人の興味では、ということであります)、この2冊のみピックアップしておきます。

『雪男は向こうからやって来た』 (角幡唯介著、集英社文庫、11月20日発売)
ヒマラヤ山中に棲むという謎の雪男を探索しようとする捜索隊に誘われた著者。捜索の日々の中で、雪男を探す彼らの奇妙な体験談に引き込まれてゆく。果たして、60日間にわたる捜索行の結末は•••。探検ノンフィクションの旗手が贈る力作。

『馬の世界史』 (本村凌二著、中公文庫、11月22日発売)
古代の戦車から、騎馬遊牧民の世界帝国、アラブ馬の伝説、最強の競走馬まで。人間社会の中でさまざまな役割を負ってきた馬を通して歴史を見つめ直した一冊。これも興味津々であります。