吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

江戸川乱歩の美女シリーズ⑳「天使と悪魔の美女」1983年TBS

2024-12-30 22:33:57 | 映画・ドラマを観て考えよう
 BS松竹東急で毎週日曜日に再放映していた江戸川乱歩の美女シリーズ、ご存知でしょうか。年末(12月29日)に放映されたこの作品でそろそろシリーズも終了かと思われましたので、記念に記事にしておきます。

〈あらすじ〉

大富豪・青木の招きにより、明智小五郎が迷い込んだ妖しい仮装舞踏会。そこから始まる不可思議な現象。貞淑な人妻の淫らな遊び。ドッペンゲルガー。倒錯した性。人体改造、白日夢。謎と秘密の霧が晴れた時、明智がそこに見たものは……歌劇「カルメン」が引き起こした、少女歌劇の二大スターの悲しい運命だった!!(第Ⅰ部「黒髪の麗人」/第Ⅱ部「エロスの白い肌」


※おどろおどろしい題字

配役は、明智小五郎に天地茂、大富豪役は中村嘉葎雄、その夫人に高田美和、主治医が鰐淵晴子、大富豪の姪に美保純という豪華キャスト‼️このメンツで乱歩独自のエログロワールドをマジメに映像化した怪作です。

 中村嘉葎雄演じる大富豪は通常の快楽には飽きたらず、明智小五郎に夫人の素行調査を依頼する。夫人を尾けた明智は何故か大富豪と遭遇、大富豪は何と自ら夫人の不倫現場を覗き見して楽しんでいたのです。

 そして夫人の不倫相手が殺される。



※夜ごと主治医(鰐淵晴子)を往診させて「治療」を受ける大富豪



※夫人は執事も誘惑する

 この後執事が殺されます。


※主治医と姪のレズシーン

 そして姪(美保純)が殺される。



※このシリーズは浴室で死んでた(または殺される)ケースが異常に多いのです(サービスサービスゥ❗)。

 実は主治医は最新の美容整形術を駆使して「夫人のコピーとなる人間」を造って屋敷に送り込んでいたのです。最初の頃は「夫人にはアリバイが」なんて言ってたのを根底から覆すムチャクチャな種明かしです。2人の夫人に挟まれて混乱した大富豪は「偽物はオマエだ❗」と一方をナイフで突き刺して殺してしまいます。直後に残ったもうひとりの夫人にナイフで刺され「これで私の美学が完成した」と満足して息を引き取ります。

 謎を追う明智は主治医の診療所にたどり着きますが、逆に囚われて改造手術(‼️)を受けさせられそうになります。



※明智小五郎危機一髪❕

 実は夫人と主治医は元ミュージカルのスターで、過去に因縁のある間柄だった。



※残った方の夫人と主治医はカルメンの舞台上演に向けて練習を繰り返す

 明智と警察に追い詰められて2人は死を選ぶ。



※舞台と現実で悲劇が繰り返される

 さて、夫人とそのコピーはどちらが残ってたんでしょうか?

 原作をかなり離れて自由なアレンジをした怪作。しかし江戸川乱歩の目指した世界に迫る優れた作品になってました。


※ラストシーンは江戸川乱歩の言葉で終わります。

 現世(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真(まこと)

 機会があればぜひご覧ください。