イーロン・マスクがツイッター社を乗っ取って以降「青い鳥は死んだ」と言われます。旧ツイッターが「X」に名称変更してからはデマ情報の巣窟と化しています。
イーロン・マスクは「究極の自由」と呼んでいるようですが、もはや単なるカオス的状況に堕しています。
マスコミに代表されるメディアには強い取材力があり、社会的責任もあります。誤った報道をすれば謝罪を迫られ、それなりの社会的制裁も受けることになっています。
しかしSNSは又聞きウワサ話の言いっ放し、運営企業も「プラットホームを提供しただけです」と、一切の責任を負いません。
このような状況下で「刺激的なニュースほどバズる」と考えるお調子者が輩出します。さーらーに、意図的に誤情報を拡散しようとする輩さえいるのです。
新型コロナウイルスの蔓延に伴う社会不安を背景に、様々なデマが拡散しています。いわく「新型コロナウイルスは研究所から流出した生物兵器」やら「m-RNAワクチンが遺伝情報を書き換える」やら「能登半島地震は人工的に引き起こされた」なんてものまであります。
こうしたデマ情報に惑わされないための心構えを、私の経験をもとに、実例を示して、説きたいと思います。
ごく最近の例からご紹介します。
デマその①【バイオラボ事件】
デマとして必死に隠されるバイオラボの真相をどうぞ。https://t.co/v8uwDaL7Kh
— パフィーア (@fybSMNdgRc57442) January 7, 2025
X上にこのようなポストがあります。
「見つけた」と騒いでいる引用記事の日本語訳(抄)を示しますと・・・。
米軍は、国連生物兵器禁止条約に直接違反して、定期的に致死性のウイルス、細菌、毒素を生産しています。何十万人もの人々が、知らないうちに危険な病原体やその他の不治の病に組織的にさらされています。外交上の隠れ蓑を使った生物兵器科学者は、世界25カ国にあるペンタゴンの生物実験室で人工ウイルスをテストしています。
そんな「世界征服を企むショッカーまがいの研究」をアメリカが行っているのでしょうか?投稿者はこれにより「ウクライナにはアメリカが研究した生物兵器があり、ロシアが侵攻したために明らかになった」と主張したいようでした。
え?どこかで聞いたような話です。
湾岸戦争当時「イラクは大量破壊兵器を開発している」という疑惑があり、アメリカが攻撃に踏み切るきっかけになりました。
結局のところ大量破壊兵器の話はデマでしたが、アメリカは積極的にこのデマに「乗り」イラクを攻撃しました。
大量破壊兵器には核ミサイルの他に生物・化学兵器も含まれていましたが、いずれも見つかりませんでした。
今回の話はこの事件の醜悪なパロディのように見えるのです。
ナンダカアヤシイゾ。
そこで、このニュースソースについて調べてみました。簡単なことです。
発信元の「dilyana.bg」についてググってみたのです。
驚きました。
いきなり「dilyana.bgの主張はDisinformation(偽情報)です」という記事に行き当たってしまいました。
記事によると「ブルガリア人ジャーナリストがジョージアとウクライナの軍事施設に関する偽情報を流布」している、というのです。
えぇ⁉️ディリアナって誰❔
これもすぐ見つかりました。
合点がいきました。なあんだ、ブルガリア人ジャーナリストとは世を忍ぶ仮の姿、しかしてその実体は?
クレムリンの広報担当者でした。
ウクライナに対して一方的な侵略を行ったロシアは、自らを正当化するためにウクライナを貶める偽情報をネットにバラ撒いています。
今回の話もその一端だったのです。現代の戦争は実際の戦闘以外にも拡大して「情報戦」の様相を呈しています。
これを提唱したのがロシアのゲラシモフ参謀総長で、彼はこれを「ハイブリッド戦争」と名付けています。
ロシア政府ぐるみででっち上げた嘘なら、細部まで証拠を捏造することも可能です。しかし、人間の考える嘘は人間が見抜くことができるのです。
皆さんも「ん?」と思ったことは鵜呑みにせず周辺の一次情報を調べるようにしてください。そうすれば偽物の持つ矛盾に気付くことができるはずです。
情報リテラシーを身に付けることが、偽情報から身を守ることに繋がるのです。