しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

白石踊り

2023年03月01日 | 民謡

「白石踊り」は笠岡市を代表する文化財であり、最大の観光資源でもあったが、
残念ながら行政が長期間、全くの無力だった。
過疎化や少子化で、踊りが絶えることを危惧してやっと行政も(守ることに)腰をあげた。
高校生や有志の市民が積極的に参加している。

そもそも「白石踊り」は、阿波の徳島の「阿波踊り」に負けない魅せる力があると、いつも思っている。
昨年はユネスコの文化遺産委に登録された。

 

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リーフレット「おいでよ白石島」

 

白石踊

源平水島合戦で戦死した人々の霊を慰めるために始まったと伝えられる白石踊。
8月14日から16日にかけて月明かりの下、深夜まで踊ります。
一つの音頭と大太鼓の音に合わせて、
男踊・女踊・娘踊・奴踊など十数種類の異なる踊りを同時に踊ります。
一つの輪の中で混然一体となって雄壮活発・豪華絢爛に踊られる姿は、
優雅で美しくまさに幻想の世界です。

国指定重要無形民俗文化財

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「岡山の歌謡」 英玲二  岡山文庫  昭和45年発行

白石踊り


旧暦の7月13日から16日までは普通の盆踊り、
17日が観音踊り、
21日が大師踊り、
24日が地蔵踊り、
30日が八朔踊りといって、一夜踊りが明かされるのである。
踊りの種類は
男踊り、
女踊り、
二つ拍子、
笠踊り、
奴踊り、
扇踊り、
坊さん踊り、
など多種多様で、これが10組からに分かれ、
100人、200人の男女からなる踊り子によって宵の口から夜の白むまで、
あるいは昼過ぎまでも引き続いて踊り狂ったものであるという。

くどきには
賽の川原、
石童丸(上下)、
七回忌、
坊主落とし、
和唐内、
奈須の与市、
山田の露、
梅づくし(梶原の箙の梅)、
お半長兵衛、
戎屋の爪六、
揚巻助六、
お梅伝次、
丹波与作、
お夏清十郎、
おさん茂兵衛がある。

この踊りは特色ある郷土芸術として岡山県指定の無形文化財になっている。
岡山県民の大きな誇りであるが、歌詞の中に少しも郷土的においがないのは残念だと思う。

 

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白石踊 
那須与一

 

その名触れたる下野国
那須与一が誉れの次第
形(なり)は小兵に御座候へど
積もるその歳十九歳なり
矢をば一手に名を万天に
のぼせ給いしところは何処
四国讃岐の屋島の磯で
源氏平家の御戦いに
平家方より沖なる船に
的に扇を立てたる時に
九郎判官この由御覧
那須与一を御前に召され
与一御前にに相詰めければ
時に判官宣(のたま)うようは
沖に立てたるあの扇をば
矢頃遠くと射落として
敵や味方に見物させよ

 

・・・

(白石港 2023.2.25  笠岡市白石島)

 

 

 

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糸引き唄

2023年03月01日 | 民謡

綿花を近年よく見る。
趣味で家庭菜園で栽培し、白い綿を観賞したり、それを手芸に使ったり、
そして糸車で糸を紡いだりしている。

明治頃までの農家は、
畑で綿花を栽培する。収穫する。
糸を紡ぐ。
機織りで布にする。
着物に編む。
紺屋に出す以外は、そのすべてを自作していた。

 

・・・・

「岡山県史 民俗1」 岡山県 昭和58年発行

糸引き車で(糸車)で撚りをかけながら糸に引いた。
右手で車を回し、左手でシノから糸を引きだし撚りをかけて糸にした。
夜なべでアンドンの下で毎夜糸引きをしたものという。
手引きは普通は太くて不揃いだった。
織るとゴツゴツした厚地の手織り木綿になった。
糸引きは根気のいる仕事で夜なべは眠いから娘たちは糸車とシノを持ち
娘宿に集まって糸紡ぎ唄を歌って糸引きをした。

 

 

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「岡山県史民俗Ⅱ」 岡山県 昭和58年発行

 

製糸唄

機織りは昭和初期までは、どの家でもやっていた。

糸車を使って綿の繊維から糸を引きだして、よりを掛けて糸を作った。

若い娘たちは一カ所に集まっていっしょに糸取りをした。

その方が楽しいし、能率があがり、技能も上達した。

 

勝央町

七つ八から糸取り習うて

今じゃ糸屋の嫁となる

くるりくるりと回れや座繰り

早くたまれよ枠の糸

 

・・・

「高梁川44」 高梁川流域連盟 昭和61年発行

久米郡南部・御津郡北部の俚謡 石田農夫男

 

俚謡(りよう)は素朴な村人の間に、自然発生した生活の歌であり、

労働の歌でり、愛情の歌として、幕末から大正時代にかけて唄いつがれてきた。

 

糸紡ぎ歌

(春秋の農繁期を除いて、毎夜婦人は糸車をブンブンと廻しつづけて糸を紡ぎ、布を織っていた)

好きな殿御が 門に来て立てりゃ

糸も車も 手につかぬ

わしが鳥なりゃ あの家の屋根に

焦れ鳴き声 聞かせたや

・・・・

「広島県の民謡」 中国放送  第一法規出版 昭和46年発行


糸引き歌

綿から木綿糸をつむぐ時の歌である。

昔は山村・農村・漁村では、布は自分の家で織ったものであるから、
その布の材料である糸も、やはり自宅で綿からつむいだものである。
細長く伸ばした綿を左手に持ち、
右で糸車を廻して、
綿を糸に撚りつつツムに巻きとる。
この糸引きの仕事は、すべて女性が受け持った。
姑も嫁も小姑も、糸車をびゅーんびゅーんと廻しながら糸を作った。

豊田郡・賀茂郡・山県郡・安芸郡

これのお背戸にゃ いつ来てみても
車三挺の 音がする

車三挺の 音がせでなろか
嫁に 姑に 小姑よ

 

・・・

 

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