日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

情報のグローバル化の先に明るい未来はあるか

2017年07月22日 14時19分55秒 | 日々雑感
 情報通信の発展は各国に様々な影響を及ぼしている。1991年のソビエト連邦の崩壊も情報通信の発展が一因であった。共産主義の行き詰まりが国内に広く知りわたるようになり、国の変革が求められたからであった。

 あれから20年以上経ち、インターネットの普及は世界を急激に均一化しつつある。中国では獄中でノーベル平和賞を受賞し、民主化運動の象徴的存在だった人権活動家の劉暁波氏が先日13日、亡くなった。このニュースは瞬時に世界中に広がり、各国の首脳は哀悼の意を示している。

 中国国内でも厳しい情報統制が敷かれているにも関わらず、各地で哀悼の集会が開かれているようだ。習近平氏は、共産党一党独裁を批判していた劉氏の死を隠したかったのであろうが、国内にも広く知れ渡ることになったようであり、情報統制を一層厳しく強めているとのことである。中国の経済は既にグローバル化しているにも拘わらず、情報のグローバル化を制限して、この矛盾を抱えつつ国内政治をどうやってやっていくのか他人事ながら心配する。

 インターネットの普及は、その影響が大きいだけに悪影響も目立ってきた。情報氾濫、フェイクニュース等あるが、セキュリティの問題が一番深刻である。誰でも手軽にインターネットを便利に利用できるが、その内部の仕組みに関してはほとんどの人が分かっていない。大勢の人間がネットに組み込まれて、その中であたかも自由なように振舞っているが、実はネットの網の中に捉えられた虫に過ぎないのかも知れない。

 北朝鮮の主要な工作機関にはサイバー攻撃を専門に行う「180部隊」と呼ばれる特殊部隊が存在し、大胆なサイバー攻撃を実施した可能性があると、先月21日のロイター通信は報道した。

 また、150カ国・地域で30万台以上のコンピューターに感染した身代金要求型ウイルスによる世界的なサイバー攻撃が北朝鮮と関連していることを示す技術的証拠を発見したと、サイバーセキュリティー専門家は明らかにしている。北朝鮮のミサイル等の開発費用の一部はこうやって稼ぎ出していると思うと、中国の経済制裁も限界があると思わずにはいられない。

 更に、米紙ワシントン・ポストは6月23日、ロシア政府による昨年の大統領選への介入に対する報復として、オバマ前大統領が在任時に、時が来れば起動できるサイバー兵器をロシアのインフラへ「植え込む」秘密工作を承認していたと報じた。実際に使うかどうかの決断はトランプ大統領に委ねられるという。

 実際に植込み工作が行われたのであれば、トランプ大統領すごい特権を手にしているのだ。トランプ氏の一存によりロシア経済は大混乱するかも知れない。トランプ氏はロシアゲートで疑いを持たれているが、それを打ち消すためのカードとして使用したいところであろう。しかし、ロシアに否定させれば否定させるほど疑わしいこととなり、ここには使用できそうにもない。

 情報のグローバル化は、個人の域を出て、国家間の争いに広がった。サイバー兵器は核兵器と違って個人でも制作可能であるが、国家が絡むとその規模も飛躍的に大きくなる。

 コンピュータウイルスの世界は ”いたちごっこ” との話だ。すべてのウイルスに効く絶対的なワクチンは出来ないとの話であり、ウイルスの具体的な形がはっきりして初めてワクチンが出来るのだそうだ。人間の病気のウイルスと全く同じだ。絶妙な名前を付けたと感心する。同様にサイバー兵器を防ぐ絶対的な防御法は無いと想像される。

 人間がウイルスの脅威から逃れられないように、ネットの利用者はサイバー攻撃から逃れられない。サイバー攻撃は核兵器による攻撃程一度に多数の人間を死に至らしめないが、じわりと真綿で首を絞めるように痛めつけることも可能であろう。例えば、他人の銀行預金から金を盗み取るにしても僅かな金を定期的に不特定多数の人間から引き出すとか、気が付きにくいように細工することもいくらでも可能であろう。

 先月27日には、ロシアやウクライナなど世界各地で大規模なサイバー攻撃があり、企業や銀行などで被害が出たそうだ。5月に発生したハッキングに類似した身代金要求ウイルスが使用されたという。犯人は特定されていないようであり、何か恐ろしいことを予感させる未来の世界が待ち受ける。2017.07.22(犬賀 大好-357)