日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

米国トランプ大統領が逆風に少しも怯まないのは

2020年09月02日 09時43分52秒 | 日々雑感
 安倍首相の突然の退陣表明を受けて、次期総裁選出に大混乱が予想されたが、9月1日には早くも日本の新首相は菅官房長官にほぼ決まったとのことだ。自民党国会議員の政治空白を避けるとの口実で、寄らば大樹の陰、長いものに撒かれろ、平和ボケ、自尊心の無さ、をつくづく感ずる。

 一方米国では今年11月の大統領選挙に向けて共和党トランプ大統領と民主党バイデン元副大統領が火花を散らしているようだ。支持率は、8月20日現在、トランプ大統領が42.3%、バイデン元副大統領が49.7%で、数字的にはバイデン氏が有利であるが、米国独特な選挙制度上この数値がそのまま投票結果に反映される訳では無く、どちらになるか未だ判断できないとの論評が強い。

 日本のメディアの報道で知る限り、トランプ大統領の人気は極めて悪い。就任当時から米国第1主義を掲げ、地球温暖化防止を掲げるパリ協定からに離脱、最近ではWHOからの離脱等、世界との協調体制を放棄してきた。

 また、トランプ大統領の側近や親戚筋からの暴露本が相次ぎ、人格的な欠点も明らかにされてきた。例えば、米国家安全保障担当補佐官を務めたボルトン氏やトランプ氏の姪のメアリー氏の暴露本である。

 更に米共和党元議員20人超や歴代の共和党政権の元高官70人余りが、野党民主党候補のバイデン前副大統領を支持する方針を表明し、共和党の重鎮・パウエル元国務長官も民主党大会でバイデン候補への支持を訴えた。

 これだけの話を聞くと次期大統領はバイデン候補に決まったかのように思えるが、トランプ大統領は少しも怯んでいない。商売人としての強がりも多分にあるのだろうが、背景に岩盤支持層があるからだ。8月28日の世論調査の結果、トランプ大統領支持率43.7%で、これは就任当時からほとんど変わっていない。

 岩盤支持層は、技術革新に乗り遅れた白人労働者や信仰心に厚いキリスト教福音派の人々のようだ。トランプ大統領は、前者にはバイデン氏は既得権益層の代表者のマイナスイメージを、後者にはトランプ氏は古き良きアメリカの復元者のプラスイメージを植え付ければ、接戦に持ち込めると信じているようで、この不屈の精神を見習いたくもなる。

 トランプ米大統領は8月23日、大統領選に向けて2期目に実現をめざす公約の骨格を発表した。雇用再生や中国への強硬策に力点を置き、米国第一を一段と先鋭化させる内容だ。経済的に既に中国との結びつきが強くなっているが、中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻すほか、連邦政府は中国に業務を委託する企業とは契約しない、等と、反グローバル経済化を打ち出した。

 新型コロナウイルスは今なお感染拡大が止まらないが、経済の落ち込みに伴い多くの失業者が出る中、環境や健康の保護より景気回復を優先する姿勢が改めて鮮明にすると共に、中国に新型コロナウイルスの感染を拡大させた責任をとらせる、と責任転嫁も忘れていない。

 コロナ対策と経済対策は真逆であり、更にここに来て白人警官による過度な取り締まりによる黒人の差別問題が拡大し、トランプ大統領の暴走が止まらないが、岩盤支持層も一向に崩れない。バイデン氏が次期大統領に選出されたとしても、この岩盤支持層を無視するわけにはいかないだろう。2020.09.02(犬賀 大好ー631)