日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

来年の東京五輪開催の目的は?

2020年09月16日 09時13分15秒 | 日々雑感
 2021年夏に1年間延期された東京五輪・パラリンピックの開催に関して、国際オリンピック委員会(IOC)は新型コロナウイルスのワクチン開発と量産化の進捗を勘案し、早ければ今年10月中に、遅くとも来年3月までに開催可否の判断を下すそうだ。

 当面、新型コロナウイルスの世界的な流行が収まりそうにないので、個人的には中止すべきと思うが、最近何が何でもやるとの主張が目立つ。国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は9月7日、”新型コロナウイルスの有無に関係なく開催する”、また”新型ウイルスを克服した大会”にするとの見解を表明した。この二つの見解には矛盾があるが、希望を単に述べていると解釈すれば、大した問題では無い。

 一方、バッハIOC会長はこの発言について、”文脈の中の一部”として否定も肯定もせず、コーツ氏も含め、IOCの誰もが目指しているのは参加者全員が安全な大会だ、と話したそうだ。そもそも、絶対安全とは絶対実現不可能であり、実際には安全の状態をどの程度とするかが問題となり、どちらに転んでも良いとする、当り障りのない談話に過ぎない。

 さて、政府の新型コロナウイルス感染症対策調整会議が9月4日発足し、東京五輪について、準備状況を確認する調整委員会が9月24日から行われる予定のようだ。オリンピックは東京開催と言いながらも世界的な行事であるが、ここで扱うのは国内問題だけだろう。

 近年のオリンピックはすっかり事業化し、”参加することに意義がある”の精神は忘れ去られている。選手はここで名を上げることに熱心で、すっかり職業化しており、4年に一度の大会が行われないとなると一生の問題となる。残念ながら本来の世界平和のための理念は忘れ去られている。

 国や都が開催すべきだとする第1の理由は経済問題であろう。エコノミストの間では、中止の場合日本経済が被る損失は数兆円に及ぶ、という見方が主流だ。

 オリンピックは平和の祭典として世界中の国が参加できることが理想である。しかし、これまでに、ロシア大会のように一部の国しか参加しない大会もあった。ソ連のアフガニスタンへの軍事侵攻に抗議して米国がモスクワ大会のボイコットを西側諸国に呼びかけ、日本も1980年5月、五輪不参加を決めたことがあった。

 このことを例に挙げて、参加出来る国と地域が集まって平和のためにスポーツをするのが近代オリンピックであると、東京五輪の開催を主張している人もいる。しかし来年の東京五輪の場合、新型コロナウイルスと戦っている多くの人々がいる中で、一部の人がお祭り騒ぎをするのは問題である。選手も自分だけが環境の良い中で金メダルを取っても後ろめたさが残るに違いない。

 来夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、NHKが今年7月に実施した世論調査では、「さらに延期すべき」(35%)と「中止すべき」(31%)、が「開催すべき」(26%)を大きく上回ったそうで、国民の開催の熱意は冷めてしまった。

 また、東京商工リサーチの都内に本社を置く企業へのアンケートでも、31%が中止、延期が22%となり、開催を望まない会社が半数を超えたとのことだ。経済的に損失を被るのは宿泊業等の一部の企業のみのようで、経済界全体では余り中止の影響は大きくないようだ。2020.09,16(犬賀 大好-635)