日本の新型コロナウイルスの新規感染者は連日2.5万人を超え未だ留まる所を知らない。一方、24日にはパラリンピックが始まり開会式ではブルーインパルスを飛ばしたりして雰囲気を盛り上げようと一生懸命努力している。菅首相を初め大会関係者は、東京五輪の開催と感染拡大は関係ないと主張しているが、どう考えても首相の主張には無理がある。
さて、英国や米国ではコロナワクチン接種者が国民の半数を超えたとのことで、集団免疫効果を期待して、各種規制は徐々に解除し経済活動を復帰させつつあるようだ。日本でもワクチン接種が急速に進み、政府は8月中に国民の4割接種完了の見通しを示している。
2回のワクチン接種でも感染する可能性や新種ウイルスの出現等の不安材料も聞かされるが、遅くとも今年12月中には接種が大幅に進み、来春にはコロナ感染は収束すると個人的には楽観している。
ほぼ2年に亘るコロナ感染拡大は人々の生活に大きな影響を与えている。感染が収束した場合すぐに元の生活に戻れるか、しばらくは戻れないか様々であろう。経済的にもV字回復説やL字回復説等があるが職種によって随分異なるようだ。
政府も新型コロナウイルス禍からの出口戦略の検討を始めたようだが、経済的に少しでも早く元の状態に戻すための検討のようである。例えば、2回の接種を済ませた人が、飲食店での飲酒やイベントへの参加などができるようにする仕組みや実施時期を示すことだ。東京は緊急事態宣言を繰り返し、その都度飲食店等に時短要請や酒類提供の中止を求めて来たが、政府は少しでも明るい材料を提供したいのであろう。趣旨はよく理解できるが簡単ではない。
エコノミストは、景気の底から急成長する「V字回復」は製造業、一方、落ち込んでからの回復が極めて遅い「L字回復」は非製造業が当てはまると言及している。その両方が混在するのが「K字型」だそうだ。
最近、自動車企業の半導体不足で自動車減産の話を良く聞く。東南アジアのコロナ感染拡大で半導体製造に支障が出ているとの説明だ。しかし、半導体の逼迫そのものは、これまで何度も経験してきた恒例行事のようなものだそうだ。
PCやスマートフォンなどの需要が高まると、そこに利用されている半導体の需要が高まり、半導体製造工程の変更となる。半導体の製造は各種の製造工程からなり、半導体の用途に応じて各製造工程を見直さなくてはならず、そこに多大なマンパワーを要す。しかし、いったん製造工程が確立すると大量生産が可能になる。半導体メーカーが増産を始めると、今度は供給過多になり、供給価格の下落を招き、減産を始める。そうしたスパイラルを繰り返してきたのが過去数十年の半導体産業の歴史だそうで、コロナ感染拡大が現象を複雑化している。
経済の出口戦略は複雑で一筋縄ではいかない。経済のコロナ以前の状態に回復するには数年を要するかもしれないし、全く姿を変えた状態でしか回復できないかもしれない。2021.08.25(犬賀 大好ー740)
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