日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

3本の矢はどこに行ったのか

2015年10月17日 09時33分37秒 | 日々雑感
 第3次安倍内閣では、新3本の矢を放つと言う。安倍首相の既に放った3本の矢は、・金融緩和、・財政出動、・成長戦略であったが、その行方をちゃんと確かめた上での話であろうか。
 2年半前ほどに始まった大規模金融緩和では、円安が進み、企業の輸出や海外事業で得る利益は増大し、株価は大幅に上がった。その結果、名目GDPは約500兆円となり、税収も増えた。アベノミクスは企業を強くしたのは間違いないだろう。そして多くの大企業が政権の要請に応じて2年連続でベースアップに踏み切った。その結果、パートを含む労働者がもらう一人当たりの平均現金給与は増えているようではあるが、逆に円安による物価高や消費増税で差し引きを考えると生活が楽になったと手放しには喜べない状況だ。
 更に、アベノミクスで雇用は100万人以上増えたと胸を張る。しかし、その中味は、政権発足前の12年春からの3年間で、正社員は56万人減少、非正規社員178万人増加との話で、この点でも手放しには喜べない。
 異次元緩和で日本銀行が大量に買い込む国債は、いずれ売却しなくてはならないだろう。国債価格を急落させずに売却するためには、国の経済状態がかなりよくなっていることが必要だろう。米国の作戦は10年~20年がかりとも言われている。日銀では更に長く厳しいものとなるだろうが、止めるどころか最近は株価低迷のてこ入れの為か追加緩和まで取りざたされている。止めれば経済が悪化するし、続ければ借金地獄は一層厳しくなるし、行くも帰るも地獄状態だ。行き着く先はハイパーインフレ地獄と思われるが、黒田日銀総裁は相変わらずインフレは制御可能と真底から信じているのであろうか。異次元緩和の矢は、暴走を始め、地獄に一直線の気がする。
 第2の矢である財政出動は、3.11東日本大震災復興のための公共投資が一番であろう。安倍政権に関わらず誰の政権になっても必要なことであり、特にアベノミクス云々の話ではない。アベノミクス特有の2~3兆円規模の地域商品券配布等も財政出動の一環であろう。それなりに地域の経済活性化につながったと思うが、定着するのはこの内どれくらいであろうか。一過性で、1000兆円を超える国の借金を増やしただけに終わらないことを願うばかりだ。
 第3の矢、成長戦略では、外国人観光客の急激な増加があった。この増加が円安のお蔭であるならば、アベノミクスの成果であろう。中国の経済が低迷し始めたとのことであるが、中国人の来日人数と爆買い量に関してはさほど影響していないらしい。これを考えると、中国における富裕層の儲け具合は半端でなく、円安効果はたいしたことでない気がする。
 規制緩和の成長戦略は、それが需要を喚起するものでなければ、儲ける人が代わったというだけの話である。典型は薬品販売の規制緩和である。インターネット販売が緩和され、薬局に代わり、インターネット関連に儲けが移ったというだけである。
イノベーションの促進等の成長戦略は元々即効性のある性質ではなく、長期に亘る地道な努力が必要である。歴代の内閣が実施しているが、安倍政権で急に成果が上がる筈は無い。
 アベノミクスの第1の矢の行方が一番心配である。第3次安倍政権で新3本の矢を放つという。前の3本の矢を早く忘れさせたいための新3本の矢のような気がする。(犬賀 大好-173)

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