インド政府は5月1日、直近の24時間の新型コロナウイルスの新規感染者の40万人越えを発表した。日本のこれまでの累積感染者数が約60万人であるから、インドではこれに匹敵する感染者が一日で発生したのだ。
インドの人口は13.5億人と日本の約10倍であり、感染者数が多いのは当然としても、多過ぎる。原因はインドでは密状態で沐浴する習慣など文化的な背景の違いが大きいかも知れないが、コロナウイルスの変異株の影響が大きいとのことだ。
さて、インドでは1日当たりの新規感染が昨年9月に10万人近くまで上昇したが、今年2月には1万人以下に抑え込んでいた。漸減状態に入った昨年秋ごろ、実際は億単位の人がすでに感染したとみられるため集団免疫状態となっており、今後再拡大することはないとの専門家らの楽観的な予想が広がってしまった。
また、インド政府は今年1月3日、アストラゼネカ製ワクチンと、インドのバーラト・バイオテックが開発したワクチンの2種類を承認し、ワクチン接種が大々的に始まったのも楽観論に信憑性を与えた。インドは感染症に関しては日本より先進国であり、自国でも国産ワクチンの開発を行っていたのだ。
そこでインド政府は、7月までに2億5000万人にワクチンを提供するという野心的な目標を設定し、輸出にも力を入れようとしていた。このような油断からか、ヒンズー教の大祭にはマスクを着けない人たちが大挙してガンジス川で沐浴することもあり、再拡大が始まり、4月から過去最悪を更新し続け、1日あたりついには40万人を越えるまでになってしまった。
しかし、近隣のタイやカンボジアなど、インドと同じく3月からワクチンを接種し始めた国でも感染が増えており、モンゴルでも3月からインド以上に感染が増えているとのことだ。ワクチン接種を世界に先駆けて開始したイスラエルやイギリスでは、感染が劇的に縮小したが、アジアでは逆に感染が増えていると言うのだから、何かおかしい。
以前からヨーロッパ系の人とアジア系の人々の間で、コロナ感染に関し死亡率等に大きな違いがあることが指摘されており、その原因が分からずファクターXと呼んでいる。これはアジア人とヨーロッパ人の食生活の違いや免疫機能に関係しているとの諸説あるが、今なおその実体は解明されていない。 インドの感染爆発がアジア系に特有現象でない無いことを願うばかりだ。
インドの感染爆発は、1つのウイルスに2つの変異がみられる二重変異株の影響が大きいと言われており、ファクターXとは別物のようであり、また一つ不安要因が増えてしまった。この変異株は感染力が強く、抗体の防御力が効きにくいとする研究結果が出ており、日本でも感染が広がる恐れがある。現在の感染拡大に対する抜本的な対策はコロナワクチン接種だけだと言われているが、その折角のワクチンも効き目が薄いとなると、目の前が真っ暗となる。2021.05.08(犬賀 大好ー701)
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