新型コロナウイルスは国民の大多数に抗体が出来るまで広がり続けるらしい。このウイルスは人から人へ感染する力が強いので、今までのような人との接し方等の生活習慣を変えざるを得ないであろう。しかし生活習慣に留まらずこれを契機に社会のあり方まで変化するようである。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言に関し、ウイルス専門家会議は当初 ”行動変容”と言う聞き慣れない言葉を用いて説明を補足していた。行動変容と難解な言葉で説明しておるからには、さぞかし生活様式や生活習慣を大きく変えなければと思ったが、思い過ごしであった。
そのそも行動変容とは専門用語のようである。ネットで調べると、行動変容ステージモデルとは1980年代前半に禁煙の研究から導かれたモデルであり、その後、いろいろな健康に関する行動の改善について幅広く応用されているとのことだが、一般には余り浸透していない。
行動変容ステージモデルでは5つのステージを考え、それぞれのステージにおいてなすべき行動が示されており、コロナ対策においても役立つと考えたのであろう。しかし、中身はごく常識的な生活習慣の推奨で、例えば常日頃の手洗いやマスクの着用等の習慣付けであるが、それでもコロナ対策には重要な生活習慣であると、格調高く行動変容で表現したのであろう。
さて、コロナ騒動を切っ掛けに個人の新しい生活習慣も定着しつつあるがそれ以上に社会のあり方も急激に変化しつつあり、これを行動変容と称した方がふさわしい語感である。
この変化は一時的なものから将来にわたり残りそうなものまである。スーパーマーケットや飲食店等における客と店員と間のビニール等の仕切りは一時的なものであろう。永久的に変わるものとして本格的キャッシュレス社会の到来等が思い浮かぶ。
キャッシュレスの習慣は中国や韓国では既に国民の大半に広がっているとのことであり、日本でも若者の間では浸透しつつあるようだが、今の日本では多くの資産を握る高齢者が長年現金を扱い慣れているため未だ浸透していない。しかし、コロナ騒ぎで清潔さが強調されると紙幣・硬貨といった雑菌に塗れた現金の手での取り扱いは嫌われる雰囲気である。現金を使わずに支払い・受け取りを行うキャシュレスの方法は、その手軽さ故一度使い始めれば急激に浸透していくかも知れない。
中長期的に一番の激変は観光業においてであろう。ここ数年、外国人観光客が増え、2019年の訪日外国人数は、約3200万人で前年比2%以上の増加だったそうだ。今年は東京五輪も予定され爆発的増加となる筈であったが、コロナ騒ぎで1年延期となり、来年実施できればまだ少しは取返しも出来ようが中止ともなれば正に天国から地獄行きだ。
コロナ騒動で外国人観光客はばったり途絶え、回復は世界的にコロナ騒動が収まるまで望めないとなると、ここ数年は無理だろう。政府は観光立国戦略の一環として、2017年に民泊サービスを全国的に解禁する住宅宿泊事業法を制定した。オリンピックを期待して個人経営を始めた人もいたであろうが、世の中の激変に戸惑っているだろう。
しかし個人経営なだけに外国人が期待できないとなると変わり身の早い人も中にはいる。今流行のテレワークやテレビ会議のため空き部屋を時間貸しにする経営者も現れているようであり、臨機応変の身構えが必要とされる時代になったことは間違いない。2020.06.03(犬賀 大好-605)
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