5月25日新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が解除された。当日の集計では、累積感染者数は約1.6万人、死亡者は1万人弱であり、欧米諸国に比べ極端に低く、これをもって日本の対策は大成功だったと政府の自慢の声も聞かれる。日本は世界に稀なるPCR検査数の低さと言われながらも世界に稀な死亡率の低さでもあり、世界からも不思議がられている。
確かに日本の死亡者の絶対数は欧米に比べて少ない。例えば米国は、5月30日には累積感染者数は約174.5万人、死亡者は約10.3万人で桁違いだ。そこで安倍首相も対策に関する日本モデルが成功したという胸を張る訳だ。
ところが一方アジア諸国は欧米諸国に比べて,感染者数も死亡者数も圧倒的に少ない事実がある。アジア諸国の中で、人口10万人当たりに換算した死亡者数を比較すると日本はフィリピンに次いで2番目に多く、日本の対策が特に優れていたとは言い難い。
ベトナムの人口は約1億人で、近年経済発展が著しいと言われているが、まだ開発途上国であり衛生環境や医療施設は日本に比べ十分では無いだろう。しかし、新型コロナウイルス感染者数は288人にとどまり、死亡者数はゼロであるそうだ。
また、台湾の人口は2370万人であるが、感染者数440人で死亡例はわずかに7人である。台湾はベトナムより医療関係は進んでいると思われるが日本ほどでは無いだろう。日本では700人以上の死亡者が出ているが、この差は何処からであろうか。
コロナウイルス対策の日本モデルの代表として医療崩壊を防ぐためにPCR検査数を絞り、重症患者を手厚く扱ったことが死亡率の低さにつながったとの指摘もあるが本当であろうか。また、日本の生活習慣、すなわち普段からのマスクの着用、挨拶の仕方、家の中では靴を脱ぐ等の生活習慣が、功を奏したとの声もあるが、ベトナムや台湾の場合をどのように説明したら良いだろうか。
IP細胞でノーベル賞を受賞した山中教授もこの事実を十分説明しきれないとのことで未知の原因をファクターXと称している。この中で興味深いのはコロナウイルスの変異と民族性だ。
コロナウイルスはどんどん遺伝子が変異しているとの話だ。武漢型、ヨーロッパ型、アメリカ型等があるようだが、素人には変異と説明されてもよく理解できない。コロナウイルスは元々蝙蝠等の野生動物を宿主にしていたが変異で人間にも感染するようになったとのことだが、猫にも感染するとの話を聞くと犬や鼠にはどうなんだろうかと気になる。同じ哺乳類でも感染するしないの差があるとすれば民族間で差があっても当然な気がする。アジア地区で死亡者が少ないのは、アジア系の人々とコロナウイルスの相性が良いと言うか、相性が悪いと言うことだろうか。
つい最近、20代以下の若年層が感染しても重症化する例が極端に少ないことが分かったそうだ。コロナウイルスは未だその性質が分かっておらず、関係者は必死に追及していると思われる。性質が判明すれば自ずから対策も今までとは違ってくる。
例えば、小学校や中学校の一斉休校のやり方、学校での授業の仕方等、今までのように神経質に行わなくても良いかも知れない。日本モデルの成功はファクターXの要因が大きく、安倍首相が自慢できるのは今の内だけかも知れない。2020.06.06(犬賀 大好-606)