日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自動車製造業における最終検査は意味があるのか

2017年11月15日 09時24分14秒 | 日々雑感
 日本を代表する製造大企業である日産自動車や株式会社スバル、そして神戸製鋼所における会社ぐるみの不正行為が連日マスコミを賑わしている。

 日産の不正は車の完成時の最終検査を無資格の検査員が審査していたとのことである。この完成検査の項目は、・ヘッドライトがつくか、・ハンドルが回るか、・ブレーキの効きに問題がないか、・オイル漏れはないか等であり、また、計測器を使って排ガスの量や音に問題がないか等を調べる検査だそうだ。このような検査は、適当な指導を受ければ誰にでも出来そうな簡単な作業と思われるが、なぜこのような検査が問題になっているのであろうか。

 報道によると、経費削減のためとのことである。簡単な作業でも人員の配置と作業時間を必要とするため、手を抜いたようである。製造現場では、各工程において品質管理が徹底されているので、わざわざ最終検査を必要としないとの言い訳である。確かに、最終検査が無かったために、市場で障害が発生した例は無いようである。

 完成検査は組み上がった完成車に対して、検査員が規定の検査をして完成検査終了証を発行することで、初めて販売会社に卸すことができるそうだ。販売会社は、買手が決まった段階で公的機関である運輸支局や検査登録事務所で新規登録をしてナンバーを付け、お客様に引き渡す。

 この際、公的機関は、完成検査終了証を確認し、新規登録を許可するのであろう。従って、この終了証が公的機関にとって品質証明書となるが、これが無資格の検査員によって片手間に発行されたとなると、公的機関は面子をつぶされた思いであろう。

 スバルにおける無資格検査の発覚は日産自動車に続いて2社目である。この検査態勢はが30年以上続いてきたというからには、自動車会社にとって検査修了証は単なるお飾りの通行証であったのであろう。このお飾りの終了証を天下の印籠として、公的機関は虎の威を借りる狐の役割を果たしてきたと思うと、滑稽でもある。

 日産、スバルにおいて日常茶飯事の不正が、トヨタやマツダにおいて皆無であったとのことであるが、激しい価格競争をしている自動車会社としてはにわかには信じられない。

 しかしこれまで新車が事故を起こした例は無いようである。実被害が発生していないからと言って、不正が許される訳ではないが、これまでのルールが現状に合わなくなっていると言うことも出来よう。自動車の最終検査証は、輸出車に関しては不要とのことであるので、日本の新規登録制度が時代遅れになっているのかも知れない。行政や政治家も不正は不正として、誤りを糾弾するばかりでなく、時代遅れのルールを改めるよう努力すべきである。

 兎も角、なぜ不正行為が行われたか、に関しては、日本の製造現場における閉鎖性を指摘する声がある。すなわち、製造現場は専門性が高いため、他の部署との交流が少なく、他部門には口出ししない傾向にあるのだそうだ。従って、他部門の不正行為が分かっていても知らないふりをする雰囲気にあるのだそうだ。経営者側も薄々気が付いていても、目先の利益を追う余り、現場には目標達成を阻害する口出しは出来なかったのであろう。

 経営者は、この検査法が実情に合わないと言うことであれば、行政あるいは政治家にもっと訴えるべきであった。それが経営者としての役目であろう。

 それにしても、トヨタ、マツダで、このような不正が無かったことは、本当であれば立派なことだと感心するが、逆に言えばまだまだ無駄な作業を続けておりコストダウンの余裕があると感ずる。2017.11.15(犬賀 大好-390)

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