性犯罪が後を絶たない。性は本能に関わることであり根絶するのは不可能に近いが、これまでが男性中心社会であり、性犯罪が軽く扱われてきたのも理由の一つであろう。
外務省の女性職員が2012年10月の在イラン大使館勤務時代、当時の駐イラン日本大使から性暴力の被害を受けたとして、元大使を強制わいせつ容疑で警視庁に刑事告訴した。当時外務省はセクハラ行為を認めたが、元大使を口頭で注意した程度で安易に済ましていたようだ。
現在、作家として活躍している佐藤優氏は、2002年5月に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕されるまで、在ロシア日本大使館に勤務する等ロシア通の外交官として活躍しており、外務官僚の品行に詳しい。
氏は、著書の中で在外公館に勤務する外務省在外職員は、不逮捕、身体の不可侵等の特権を持っており、この特権を国家を代表するという職務の機能に対して付与されているにもかかわらず、他の日本人とは異なる人種だ、という歪んだエリート意識を持ち易い、と指摘している。
さて、7年前テヘランの大使公邸で当時大使であった駒野氏は部下の女性職員に無理やりキスをして胸や太ももを触ったなどのセクハラをしたとされる。特権意識の強い男性中心社会の外務省において、女性の被害届が受理されず、公表もされず、一方では駒野氏が最近日本イラン協会の会長の要職についたことにショックを受け、急性ストレス反応を発症し、現在は休職しているそうだ。
通常セクハラをする男性はセクハラをそれほど重大なことと考えない上、セクハラを裁く人間もほとんど男性である点で女性にとって二重の苦しみを生む。更に特権意識の強い外務官僚においては、女性に対するセクハラなど日常行為の一つに過ぎないことは容易に察しがつく。
また3月下旬、名古屋地裁岡崎支部は、娘に中学2年の頃から性虐待を続け、19歳になった今でも娘と性交する父親に対する準強制性交等罪の事件で、父親に予想外の無罪判決を言い渡した。無罪の理由として娘に敢えて抵抗する姿勢が見られなかったからだと言う。なぜこのような異常事態を招いているかの経緯に対する考察も多少はあったのであろうが、この無罪判決は一般常識から逸脱している。
この裁判官は恐らく従来の判例に従い判断したのであろうが、この種の事件が公になるのは最近のことであり、これまでほとんどが女性の泣き寝入りで済まされてきたに違いない。もしこの事件を裁く人間が女性であったならば結果は異なるものになっていただろう。
先日行われた地方統一選挙において女性の立候補者が極めて少なかったとのことである。候補者男女均等法が施行されて初めての選挙であり、もっと多くの女性立候補者が出ると思っていたが予想以上に少なかった、がマスコミの論評である。初めての選挙であるから、不慣れで少なかったと思いたい。
最近女性の弁護士がテレビによく登場するが、恐らく女性の裁判官もいるに違いない。最近社会は性差別に厳しくなっている。先の岡崎地裁の事件は上告されたとのことであり、成り行きが注目されるが、本気で社会を変えようと思うのであれば、裁判官を女性にすべきである。2019.05.01(犬賀 大好-542)
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