習近平氏のゼロコロナ政策は徹底した感染者の封じ込めであり、一人でも患者が発生するとその周辺地区を隔離封鎖し、感染を広げないやり方である。非常に分かりやすい方法であり、患者が少ない場合はこれで対処できるかも知れないが患者が多くなると封鎖地域も広くなり、更に封鎖期間も長くなると人々の不満は高まるだろう。
北京市では10月13日にも、学生街の高架橋にゼロコロナや習氏を批判する巨大な横断幕が掲げられたそうだ。10月以降、チベット自治区ラサ市や広州市でも同様な抗議活動が起こった。中国政府は各地の抗議活動について報道を禁止し、国内のSNSでは投稿や動画を相次ぎ削除すると共に、徹底した取り締まりを行っている。そのためか抗議活動はまだ散発的で局地的な動きにとどまっていた。
しかし国家衛生健康委員会が今月27日、中国本土で26日に確認された新型コロナウイルス新規感染者が3万9506人になったと発表した。2020年4月以降で過去最高を更新したそうで、新型コロナウイルス感染が全国的に急激に拡がっているのだ。
習近平氏の頭には、コロナウイルスの仲間であるサーズやマーズがワクチンや治療薬が無いのに、1から2年で地球上から消えたことが念頭にあり、新型コロナウイルスもしばらく耐え凌げば自然に終焉すると高を括っていたのであろうか。そのため、ワクチン接種の強制や義務化も行っていないため免疫者が少なく、一方感染者を低く抑え込んでいたため自然免疫の広がりも少なく、これらが災いしこれから急拡大すると予想される。
新型コロナの急拡大に際し、中国政府はこれまでと同様に徹底的に封じ込めるつもりであろうが、庶民の不満は爆発し、批判はゼロコロナ政策ばかりでなく、共産党独裁や習近平一強体制にまで拡がってきたとのことだ。
抗議活動は南部の広東省広州や、内陸部の湖北省武漢、それに北京や南京の大学など全国的な規模に拡がっているとのことで、これまで通り政府は抑え込むことが出来るであろうか。
習近平氏のゼロコロナ政策は出口が見えず、経済政策にも足枷になっている。今回の騒動を切欠にゼロコロナ政策の方法転換を期待したいが、習近平一強独裁体制の下、期待できるであろうか。
さて、問題は内政で問題が発生した場合対外政策に強硬姿勢を取ることにある。例えば台湾問題である。台湾は中国の一部だとする姿勢を強く打ち出し庶民の関心をそちらに振り向けることが懸念される。
習氏は先に台湾問題を解決するのは、中国人であり、中国人が決めると強調し、平和的な統一ができなかった場合を念頭に、武力行使を排除しないと力を込め、必ず実現できると強い言葉で語っている。今後台湾に対し、具体的にどのような行動に出るかは、ゼロコロナ政策の行方と大きく関係していそうだ。2022.11.30(犬賀 大好ー867)
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