日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本銀行は本来の目的を全うできるであろうか

2021年12月04日 10時52分30秒 | 日々雑感
 国の借金である国債の発行残高は約1000兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1200兆円に達するそうだ。国民一人あたりに換算すると1千万円になろうと言うのに、余り世間は騒がない。

 個人的な1000万円の借金となると首を括りたい程の切迫感があるが、国の借金となるとどこ吹く風となるのはなぜであろう。個人の借金と国の借金は名前は同じ借金でも、返済方等は全く異なるようだ。個人の借金には普通数%の利子が付き取り立てが厳しいが、国の借金は、日本銀行が大量に国債を買い入れている間は金利は上昇せず、返済が遅れても税負担は要らないようだ。国債の返済に関する詳細は分からないが、兎も角皆で渡れば怖くないと言ったところであろうか。

 さて、岸田新政権はコロナ禍での経済回復のために惜しげもなく財政出動を推し進めている。財源は主として赤字国債の発行であろうが、安倍政権が進めた異次元金融緩和政策でも日本銀行が国債を大量に市場で買い入れている。しかし日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されているのだ。

 これは、中央銀行である日銀がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こす恐れがあるからだ。

 これは戦後のハイパーインフレ等の長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためである。

 日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにある。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っている。

 しかし、日銀の大量国債購入でも現時点でインフレが起こらず、消費物価指数がほぼ一定で日銀の金融政策は成功しているように思われる。

 これに味を占めているのか、自民党内で財政出動を重視する積極財政派が勢いを増しているそうだ。先の総裁選で大規模な財政出動を訴えた高市早苗政調会長は、党の財政再建推進本部から再建の文字を除いて財政政策検討本部と改組し、安倍晋三元首相を最高顧問に迎えて再始動させた。財政再建派は風前のともしびだ。

 あくまでもコロナ禍で傷んだ経済を回復させるための財政出動と説明するが、1千兆円を越える負の遺産の解消方が頭の片隅にでも残っているのだろうか。最近日常品の値上げラッシュが続いている。物価上昇率2%の達成が間近と思われるが、政府や日銀は緩み切った金融緩和を即中止できるであろうか。中止した場合の副作用が懸念される。2021.12.04(犬賀 大好ー769)


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