日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本のデジタル社会化は当面無理か

2021年12月08日 10時35分36秒 | 日々雑感
 マイナンバー制度は、行政の効率化を図るために全国民個人の情報を一元管理しようとする制度であり、国民総背番号制とも揶揄されている。例えば、社会保険料の減免の対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で整合が必要となるが、住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号など、それぞれの分野で独自の番号で情報を管理しているため、個人の特定に多大な時間と労力を費やしている。このため、一元管理できれば便利なことこの上ないことは十分理解できる。

 マイナンバー制度が目指しているのは、”便利な暮らし、より良い社会”であるが、個人情報が一元管理されるため、システムの不完全さや管理の不手際等により個人情報が他者に漏洩し悪用される懸念が生ずる。

 マイナンバーカードの現在の普及率は35%程度と低く、政府は保有率を上げるために、新たにカードを取得した人に5000円分、カードを健康保険証として使うための手続きをした人に7500円分、預貯金口座とのひも付けをした人に7500円分をそれぞれ支給するとしており、この現金支給に申請者が急増しているとのことだ。

 マイナンバーカードは管理する側には便利であっても、管理される側のメリットが余りないことが、保有率の低さの一要因であろう。現在のマイナンバーカードで公共と民間サービスごとに利用したいサービスの有無をアンケート調査したところ、それぞれで特にないを選択した回答者が46.3%、71.5%と最も多かったようだ。国は引っ越しの際の住民票の移動など格段に便利になると説明するが、引っ越しなど一生の内で何回もあるものではない。現金支給の餌につられて保有率が高まったところでメリットが無ければそのまま机の中にでも死蔵されることになるだろう。

 マイナンバーカードに限らず、日本は先進国の内でもデジタル化の意識が格段に低いとの話だ。菅前首相の肝いりで、今年9月に発足したデジタル庁は、デジタル社会形成のための各種施策において、調整や管理を行う役目である。

 日本のデジタル社会の遅れはデジタル社会のメリットが余り見えないことにあるのではないだろうか。最近コンビニ等でスマホを用いたキャッシュレスサービスが若者の間に広がっているようだが、高齢者は現金払いでないと落ち着かない。

 また、政治資金収支報告書を提出する際、国会議員関係の政治団体は総務省のオンラインシステムを使うことが努力義務とされているが、ことしの利用率が2.7%にとどまったようだ。オンライン化は政治資金の透明性を高めるためにも必要だが、この普及率の低さは、入力の面倒くささより、透明化を避けたい気持ちが先にあるだろう。

 日本のデジタル社会化は、これまでのアナログ社会以上のメリットを如何に提示できるかに関わるだろう。デジタル庁の役目はここにもある。2021.12.08(犬賀 大好ー770)


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