日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

激化するカジノ事業の誘致競争

2019年09月18日 09時20分03秒 | 日々雑感
 8月22日、横浜市の林文子市長が、カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の誘致に乗り出すと正式に表明した。林市長は、この誘致の経済波及効果として、年820億~1200億円の財政改善を想定しており、横浜市の年間一般会計予算総額は1.8兆円程度であることからしてこの金の魔力に魅せられたと思われる。

 IRと称しても金を生むのはカジノだけであり、カジノ抜きのIRの設置は問題外である。横浜市民の7割近くがカジノ誘致に反対とのことだが、市長はIRの経済効果を説明するばかりで、負の側面にかかるマイナスのコストについては何ら言及していないと反対する。

 政府は訪日外国人を増やすためのカジノとしているが、カジノ入場者数の7~8割は日本人になるとの調査結果もあるようであり、韓国ではギャンブルによる家庭崩壊や労働意欲低下で経済損失が6兆円に上がるとの試算もあるようだ。

 これまで、横浜市長はカジノ誘致は白紙として、態度を明らかにしてこなかったが、満を持して名乗りを挙げたようである。羽田飛行場や大都市東京を控える横浜市のカジノ誘致は、カジノ経営者からは絶対的な魅力であり、他の候補地の大きな脅威となろう。

 これまでに大阪を始めとする全国数か所が誘致を目指す方針を示しているが、国は当面最大3か所に限定し、来年中の決定を予定しているとのことだ。

 広大な土地を持つ北海道は、当初道内何か所かが候補地として名乗りを上げていたが、最終的には道議会により苫小牧を優先するという方向で固まっているそうだ。北海道は、誘致に必要不可欠な観光資源や土地を有しており、IRへの理解を深める活動も積極的に行っているそうだが、住民の反対意見も大きく、どこまで理解を得られるかがカギになるそうだ。

 長崎県は、佐世保市にあるハウステンボスへの誘致に向けて、積極的な姿勢を示している。長崎新聞が長崎県民に対して誘致に関する世論調査を行ったところ、賛成が46%、反対が38%だそうで、長崎県民も誘致の方針を支持していると思われる。

 専門機関による概算によると、波及効果として約2544億円が見込まれ、更に雇用者の誘発数予測は約1万人と見込まれ、衰退する地方都市の活性化に向けて大きな期待を掛けている。

 北海道や九州への誘致は、急激に衰退する地方都市の活性化には少なくとも一時的には役立つと思うが、カジノを経営する側からすれば、地方都市より大都市付近の方が垂涎の的であろう。

 大阪府・市は、大阪維新の会の吉村大坂府知事、松井大阪市長が誘致に前向きである。既に決定している2015年の大阪・関西万博までの開業を目指し、政府にも積極的に働きかけているようだ。維新の会とのパイプ役である菅官房長官もその事情は理解しているそうで、現時点では最有力とのうわさだ。

 和歌山は県知事、市長、県議会、市議会のすべてがカジノ推進派という全国でも極めて稀な県だそうだ。しかも、カジノの候補地とされているマリーナシティは関空からクルマで30分程度と立地も抜群だそうで、地元出身の二階幹事長も、千葉県にある東京ディズニーランドを見習って、大坂IRにしようと言っているそうだ。

 地方の衰弱化と大都市人口集中の欠点が顕著な現在、地方都市に設置した方がギャンブル依存症の発生には目を瞑るとして多少メリットがあるのではないだろうか。大坂の菅官房長官と和歌山の二階幹事長の政治力がどのように発揮されるか見ものである。2019.09.18(犬賀 大好-532)




コメントを投稿