先月、立憲民主党と国民民主党の統一会派結成があった。枝野代表は安倍政権と違うもう一つの選択肢を国会論戦を通じて訴えて行けば、今の政治状況を大きく変えることが出来ると意気込みを語ったが、今のままでは社民党の二の舞を踏むことになろう。
今夏の参院選挙戦では、社民党の吉川幹事長と福島副党首の二人の、政策内容より社民党消滅の悲壮感を漂わせる訴えが印象的であった。
社民党の前身の日本社会党時代は、労働組合の総元締めだった総評の組織力を背景に支持を集め、特に1994年〜1996年、自由民主党、日本社会党、新党さきがけの3党が連立を組み,社会党委員長村山富市が首班となって組閣したのが、社会党の絶頂期であった。
しかし、村山首相はクリントン米大統領との電話会談で日米安全保障条約の堅持を表明するとともに国会で自衛隊合憲と宣言した。それまでの主張と相反する発言であったが、現実に向き合うしか仕方なかったのであろう。しかし、これにより社会党の政策は現実に合わないことが実証され、社会党の衰退の大きな要因になった。
また1996年には民主党が結党され、鳩山由紀夫氏は菅直人氏とともに代表に就任し、2009年第93代内閣総理大臣に就任し、税金の使い方を巡り事業仕分け等で話題を集めたのが民主党の絶頂期であった。
財源は事業仕分けで確保できるとの前宣伝であったが騒ぎの割には成果は少なかった。党内の不統一もさることながら、現実に合わない政策がその後の衰退の大きな原因であろう。
その後返り咲いた安倍首相は長期に亘り政権を維持しているが、財政問題、年金問題、エネルギー問題、領土問題、対韓国問題、拉致問題等、行き詰まりが目立つ。しかし、残念ながら各野党からもこれらの問題に対する将来ビジョンを聞かされることがない。
特に憲法改正問題は、首相の長年の夢である。しかし、当面は憲法に自衛隊の存在を明記することとしているが、それだけでは他の項目との矛盾も目立ち、更なる改正も必要となる。しかし最終的にどのように改正するかの長期ビジョンは示されていない。
片や社民党、立憲民主党や日本共産党等は、ひたすら現憲法を守る立場である。現日本は、中国との間で尖閣諸島、韓国との間では竹島、ロシアとの間では北方4島と、領土問題を抱えているが、憲法とも密接に関係している。
N国党の丸山穂高議員は竹島や北方4島を取り返すには戦争しかないと主張している。この主張は戦争を放棄した現憲法を否定するもので、与野党から大きな批判を浴びている。
これらの領土問題でも安倍政権は完全に行き詰っているが、野党からも安倍政権と違うもう一つの選択肢は提示されず、安倍政権は現状に埋没し切っている。世界的にグローバル化が進む現在、地域の2国共同管理等の新たな提案など智恵を絞らなくてはならないが。
地球温暖化に伴う重大自然災害の頻発等、生活者の中から湧き出てくるような課題を積極的に取り上げるのが政治家の役目だとの主張もある。
しかし、地域の問題は地方議員等に任せ、国の問題を真剣に考えるのが国会議員の役目でもある。野党の再生は現政権には無い将来ビジョンを提言してこそ、将来が開ける。2019.09.14(犬賀 大好-531)
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