NHKにテレビ番組のインターネット常時同時配信を認める改正放送法が今年5月の参院本会議で成立した。今回の法改正によって24時間いつでも放送と同時にインターネットで配信できるようになり、地上波の総合テレビとEテレの全番組がパソコンやスマホで視聴可能になるそうだ。
最近のテレビ番組は概して民放を含めて面白くない。これがインターネットとの融合で面白くなればと思うが、放映内容とは全く別問題であろう。
さて、放送法は時代の流れに合わせるようにたびたび改正されている。2014年の放送法改正では、災害報道や大型スポーツ中継などに限って同時配信が認められていたが、これだけでは不十分として、今回の改正になったのであろう。これによりNHKは、本年度中にネット向けの新サービスを始めることができることになったようだ。
NHKは、既に自前の有料配信サイト、NHKオンデマンドと称するサービスを実行しており、これとの関係はどうなるか整理が出来ているのであろうか。NHKは受信料を取るからにはすべてのサービスは無料であって然るべきだが。
そもそも放送法は1950年に生まれ、放送・日本放送協会・放送事業者の規律に関する内容を規定する、日本の法律である。目的は、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることにあり、国民がどこでも公平に視聴できるように設備を整える必要性等から、受信料を徴取できるようになっているのだ。
この放送法はラジオやテレビが主体の時代に出来たため、現在のインタ-ネットの普及により、インターネットを取り入れないと放送自体の存続が危ぶまれる時代となっているのだ。放送法の目的とする公共の福祉に適合すれば、インターネットを取り込んでも何ら問題無いと思うが。
この点時代に合わせた放送法改正は止むを得ないと思うが、それより受信料について明確に定める放送法の改正こそ必要ではなかろうか。すなわち、現放送法は、受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない、と規定しているが、受信料を払わなくてはならないとの文言はなく、支払いについては義務付けてはいないのだ。これがNHKをぶっ潰すを公約に掲げたN国党が指摘している点だ。
NHKには、経営に関する基本方針、内部統制に関する体制の整備をはじめ、毎年度の予算・事業計画、番組編集の基本計画などを決定し、役員の職務の執行を監督する機関として、経営委員会が設置されている。
受信料の徴取に関しては、最高裁が法律に規定されていないからと言って徴取するのは法律違反ではないとの判決にすっかり安心しきっているのか、経営委員もこの点を全く取り上げようとしない。NHKがインターネットまで乗り出すと、インターネット関連のサービスは広く、受信設備は実に多岐に亘り、現受信料制度に疑問や不満を感じている国民はますます増えるであろう。
経営委員会の構成員は恐らくインターネットに疎い高齢者ばかりであろう。N国党の放送のスクランブル化要請に正当な根拠を持って反論できるであろうか。2019.09.04(犬賀 大好-528)
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