二酸化炭素の排出量を実質ゼロの実現に向け、世界各国で脱炭素化の政策が発表され、さまざまな取り組みが進んでいる。国内で出る二酸化炭素の内、乗用車などの運輸部門の排ガスは約2割も占めるそうで、日本政府もガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で、電気自動車(EV)等の導入を計画しているようだ。
また、英政府は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する方針で、しかもガソリンと電気を併用するハイブリッド自動車(HV)の新車販売を2035年に廃止する予定だそうで、世界の流れは電気自動車一本に纏まっている。
炭酸ガスを排出しない電気自動車はガソリン車と比べ、部品点数の少なさもあり、車体価格も当然安くなりそうであるが、ネックは電池性能の悪さと価格高である。連続走行距離の短さであり、自動車価格が安くならない点に直結する。
例えばニッサンの販売する電気自動車リーフは300Km~400kmの航続距離で価格は300万円以上だ。電池は現存の最高性能のリチウムイオン電池でありその価格は車体価格の内100万円から200万円を占めるらしい。鉛蓄電池に比較すれば各段に性能は上がっているが、車搭載用の電池とすればもう一桁性能高が望まれる。
しかし現在高性能電池で有力視されるのは実用化中の個体リチウムイオン電池であるが、2割程度の性能アップとのことだ。量産化によりある程度は下がるであろうが、それだけでは折角の部品点数の少なさのメリットを生かしきれない。
電気自動車と言えばまずリチウムイオン電池搭載の電池自動車であろうが、燃料自動車(FCV)も市販されている。この車は水素と酸素を化学反応させて発生する電気エネルギーを利用する電気自動車であり、自動車には蓄電池を搭載するのではなく水素を搭載する。
トヨタが販売する水素燃料電池自動車ミライの価格は710万円からであり、航続距離850kmを実現している。電気自動車(EV) に比べ、価格が高いことから国内販売台数は、1/10、と極めて低い。
燃料自動車(FCV)は航続距離が長いが、それでも全国に普及させるためには水素を補給する水素ステーションが必要となる。設置費用は4億円/基だそうで政府は2025年までに320か所設置を目標に来年度予算に150億円計上したそうだ。FCVを製造・販売するのはトヨタ自動車と韓国の現代自動車だけで、ホンダは生産を中止したとのことで、世界の流から外れてしまった。
ところで、空を飛べる自動車の開発も試行されているが、欠点は飛行時間の短さで、やはり電池の性能に依存している。この点FCVの潜在力に魅力を感ずる。また、建設機械等の力を必要とする重機にもFCVの出番があるのではなかろうか。
世界は乗用車用としてはEV一辺倒であるが、FCVは同じ土俵で勝負するのではなく、自分に適した土俵を見つけるべきだ。国は水素ステーションの設置に金を使うのではなく、新たな土俵を見つけるために金を使うべきだ。2022.03.09(犬賀 大好ー796)
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