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日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルス専門家会議が後世に教訓を残すためにも

2020年06月10日 08時48分56秒 | 日々雑感
 今年2月16日、安倍総理は第1回目の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議を開催した。この会議は感染症に関する日本のトップクラスの集まりであり、医学的な見地から助言等を受けるため、多忙な中集まって頂いた重要な会議であり、会議内容は当面の感染症対策や将来の対策にも役立つはずであり、詳細な議事録は当然あって然るべきである。

 しかし、驚くべきことに政府はコロナウイルスの専門家会議の議事録を残していないとのことだ。出席者の自由な発言を妨げない配慮からだとの説明もあるが、専門家の先生はそれぞれ長年の経験から信念を持った発言をされる筈であり、公表されて困るような発言はしない筈だ。

 菅官房長官は6月1日の記者会見で、専門家の先生方と今後相談し、速記録を基に詳細な議事録を作成することも検討すると述べたが、確約はしなかった。日本ではPCR検査を厳しく限定したため、医療崩壊を起こさず、重傷者を手厚く看護したため死亡率の低さにつながったと安倍首相は胸を張るが、疑問が残る。

 すなわち、症状がかなり進行した段階でしかPCR検査をしなかったため、逆に重症患者を増やし病院関係者は大変な苦労をしたのではないかと。事実の一端は議事録を見れば明らかになるだろう。

 さて、議事録の作成にあたり官房長官が相談したいのはむしろ政府関係者であろう。PCR検査を厳しく絞ったのは別の理由、例えば財政上の問題だったこと等が明らかになれば、安倍首相が日本モデルを自慢していた根拠がなくなる。これが会議内容を公表できない、あるいは議事録を作成していない理由ではなかろうか。資料の廃棄、改竄などは安倍政権の得意とするところであり、このようなあらぬ勘ぐりをさせるのも身から出た錆である。

 菅官房長官は記者会見で、専門家会議のメンバーからも議事録を公開しない政府の姿勢に疑問の声が出ていることに関し、”発言者を明記しないことは第一回の会議を開始した際、構成員に説明して了解いただいた”と理解を求めたが、この了解自体の発言の主旨が理解に苦しむ。

 政府の専門家会議の尾身副座長も、自身を含めた専門家は会議の内容は記者会見等を通して説明しているとし、議事録の公開を検討するよう政府に求めていると発言している。

 加藤厚労相も3月2日の参院予算委員会で、専門家会議について、1~3回目は発言者を示さず、発言内容を要約した議事概要になるが、4回目以降は速記を入れて公表させて頂く、と答弁していた。加藤厚労相のこれまでの発言は余り当てにできないのが残念であるが、この点はしっかり指導力を発揮して頂きたいと期待していたが、やっぱり期待した方が馬鹿だった。

 すなわち西村経済再生担当相は6月7日の記者会見で、政府の新型コロナウイルスに関する専門家会議の記録について、今後開催する会議では、発言者を明示した議事概要を作成する方針を明らかにした。一方、これまでに開いた15回分に関しては、従来通り発言者明示の記録は作成しないと説明した。

 森友・加計学園、桜を見る会、等の問題において、首相の発言を後付けで正当化するため、官僚等が資料の廃棄、隠蔽、改竄を行う忖度の構図があった。今回の件でも議論の内容を要約した議事概要だけを作成し、不都合な真実は闇に葬るらしい。

 専門家会議の新型コロナウイルスに対する会議内容は、将来発生するであろう未知の感染症に対する教訓としても役立つはずであり、賛否両論含め残さなければ専門家会議の存在意義がなくなる。2020.06.10(犬賀 大好-607)


1 コメント

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1年前を振り返って (犬賀 大好)
2021-06-11 09:46:04
1年前に新型コロナウイルス専門家会議の議事録をしっかり残すべきとの記事を書いた。
日本ではPCR検査を厳しく制限したため、病院崩壊が起こらず、重症患者を手厚く看ることが出来たと、当時の安倍首相が自慢していたが、PCR検査の厳格化の本当の主旨は議事録を見れば分かる筈との意味があるからだ。
さて、1年後の現在、議事録はちゃんと残されているのだろうか?
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