6月1日、大学4年生を対象とする採用面接などが解禁されたとの話であるが、既に大半の学生が内定を取っているとの声も聴かれ、人手不足の現状がよく理解される。
経団連の調査によると、企業が選考で重視する要素のベスト5は、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」だそうだ。
多くの就活サイトでは面接でこれらの特性を如何にアピールするかの手ほどきが丁寧に披露されている。こんな付け刃のアピールで企業の採用担当者が騙されないとは思うが、目下空前の人手不足の状況で内定者を頻発しているのだろう。
さて、本来のチャレンジ精神とは、誰もやったことのないことに立ち向かい、他人が何と言おうとひたすら挑戦する心であろうが、経団連が要求するチャレンジ精神はそんなに徹底した精神ではなく、単なる積極性と解した方がふさわしい。
経団連が欲するチャレンジ精神は、物事に対して何事であっても意欲的に取り組む程度に過ぎない。そこでは、脇目も振らず一途にやるのではなく、仲間とコミュニケーションを図り、協調して誠実にやることなのだ。
ひと昔前には体育会系出身者のように言われたことをがむしゃらにやるタイプは影を潜め、言われなくとも仲間をまとめて主体的に考えて仕事をこなす人材を必要としている訳だ。何と虫の良い要求であろうか。
本来のチャレンジ精神に協調性は必要ない筈だ。チャレンジ精神の持ち主として有名なのは、ソニー創業者の井深大氏であり、ホンダの創業者の本田宗一郎氏であるが、植村直己氏を筆頭と考えたい。氏は、1984年、43歳の誕生日に世界初のマッキンリー冬期単独登頂を果たしたが、翌日に連絡が取れなくなったまま消息不明となった登山家である。植村氏はほとんど単独行であり、協調性を重んずるとの話は聞いたことがない。
他人のやらないこと、他人が出来なかったこと、あるいは他人が考えもしなかったことに情熱を注ぐことが本来のチャレンジ精神である。大勢の人が合意するような物事への取り組みには積極性で十分である。
日本は昔から、”仲良きことは美しき哉” の国である。出る杭を打つ伝統があり、最近 ”出る杭を打たない” をキャチコピーにする企業も現れ始めているが、本当に社内でそのように運営されているかは疑問である。先の経団連の調査でも、チャレンジ精神の他にコミュニケーション力や協調性もしっかり入っており、日本では全体的には今なお出る杭は打たれる伝統を守り続けているのだろう。
日本では、昔から独創性が乏しく、欧米発のアイデアの改良を得意とすると言われてきた。日本民族には、農耕民族の生活が習慣つき、他人と足並みを揃える重要性が刷り込まれているのだ。最近では独創的なアイデアに挑戦する人も現れているようであるが、社会全体としてそのような人を応援する環境が整ったとは思われない。
チャレンジ精神が旺盛な国と言えば米国であり、そこでもシリコンバレーが有名である。世界から、独創的なアイデアを持つ個性的な人が集まり、そこに一儲けを企む投資家も集まり、失敗もまた勲章とする土壌があって、新技術が育つのだ。
日本でもこのような環境を育てたいのであろうが、このような総合システムは一つの文化であり、一朝一夕には出来ない。精々できるのは情報収集であり、IT技術を駆使し、いち早く将来有望な技術を見つけること位であろうが、そこでも将来を見通す力が必要とされる。誰もが有望と気が付いた時には既に手遅れであり、そこにもチャレンジ精神が必要とされるが、日本の企業はどこまで対応できるであろうか。
2018.06.16(犬賀 大好-451)
経団連の調査によると、企業が選考で重視する要素のベスト5は、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」だそうだ。
多くの就活サイトでは面接でこれらの特性を如何にアピールするかの手ほどきが丁寧に披露されている。こんな付け刃のアピールで企業の採用担当者が騙されないとは思うが、目下空前の人手不足の状況で内定者を頻発しているのだろう。
さて、本来のチャレンジ精神とは、誰もやったことのないことに立ち向かい、他人が何と言おうとひたすら挑戦する心であろうが、経団連が要求するチャレンジ精神はそんなに徹底した精神ではなく、単なる積極性と解した方がふさわしい。
経団連が欲するチャレンジ精神は、物事に対して何事であっても意欲的に取り組む程度に過ぎない。そこでは、脇目も振らず一途にやるのではなく、仲間とコミュニケーションを図り、協調して誠実にやることなのだ。
ひと昔前には体育会系出身者のように言われたことをがむしゃらにやるタイプは影を潜め、言われなくとも仲間をまとめて主体的に考えて仕事をこなす人材を必要としている訳だ。何と虫の良い要求であろうか。
本来のチャレンジ精神に協調性は必要ない筈だ。チャレンジ精神の持ち主として有名なのは、ソニー創業者の井深大氏であり、ホンダの創業者の本田宗一郎氏であるが、植村直己氏を筆頭と考えたい。氏は、1984年、43歳の誕生日に世界初のマッキンリー冬期単独登頂を果たしたが、翌日に連絡が取れなくなったまま消息不明となった登山家である。植村氏はほとんど単独行であり、協調性を重んずるとの話は聞いたことがない。
他人のやらないこと、他人が出来なかったこと、あるいは他人が考えもしなかったことに情熱を注ぐことが本来のチャレンジ精神である。大勢の人が合意するような物事への取り組みには積極性で十分である。
日本は昔から、”仲良きことは美しき哉” の国である。出る杭を打つ伝統があり、最近 ”出る杭を打たない” をキャチコピーにする企業も現れ始めているが、本当に社内でそのように運営されているかは疑問である。先の経団連の調査でも、チャレンジ精神の他にコミュニケーション力や協調性もしっかり入っており、日本では全体的には今なお出る杭は打たれる伝統を守り続けているのだろう。
日本では、昔から独創性が乏しく、欧米発のアイデアの改良を得意とすると言われてきた。日本民族には、農耕民族の生活が習慣つき、他人と足並みを揃える重要性が刷り込まれているのだ。最近では独創的なアイデアに挑戦する人も現れているようであるが、社会全体としてそのような人を応援する環境が整ったとは思われない。
チャレンジ精神が旺盛な国と言えば米国であり、そこでもシリコンバレーが有名である。世界から、独創的なアイデアを持つ個性的な人が集まり、そこに一儲けを企む投資家も集まり、失敗もまた勲章とする土壌があって、新技術が育つのだ。
日本でもこのような環境を育てたいのであろうが、このような総合システムは一つの文化であり、一朝一夕には出来ない。精々できるのは情報収集であり、IT技術を駆使し、いち早く将来有望な技術を見つけること位であろうが、そこでも将来を見通す力が必要とされる。誰もが有望と気が付いた時には既に手遅れであり、そこにもチャレンジ精神が必要とされるが、日本の企業はどこまで対応できるであろうか。
2018.06.16(犬賀 大好-451)
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