英物理学者ホーキング博士らは、地球からレーザー光を当てて加速する小型無人探査機を開発し、人類初となる太陽系外惑星到達を目指す構想を4月12日発表した。目的の一つは、知的生命体との遭遇である。
NASAは、5月13日、太陽系外に1284個の新惑星を発見したと発表した。確認された1284惑星のうち、550個は地球のような岩石惑星で、岩石惑星候補の9つは、属する恒星の「居住可能区域」内を周回している。これは、惑星が液体の水 ― われわれの知る生命に必要な成分 ― を保持できる表面温度を持つ可能性のある領域だそうだ。
太陽系外ほど遠くはないが、地球外の生命の痕跡を求めて、我が国の探査機「はやぶさ2」は小惑星”リュウグウ”を目指して現在飛行中である。この小惑星には、生命の原材料物質と密接に関係する有機物や含水鉱物があると思われるので、サンプルを採取し持ち帰る計画である。また、今年9月打ち上げ予定のNASAの無人探査機「オサイリス・レックス」は、同様な小惑星”ベンヌ”からサンプルを持ち帰る計画とのことである。
人類を始めとする生物すべては、原始生命体から進化して現在の形になったと信じられている。しかし、原始生命体がいかなるものかは、全く分かっていない。今日地上に存在しているすべての生命は,植物,動物さらにウイルスも,DNAを情報媒体とする遺伝子を基本構造として持っている。そこで生命とは、遺伝子を有し、遺伝子を介して子孫を次の世代に継続させているものと考えられる。
原始生命体の実態が分からなくても、その誕生を認めてしまえば、後はDNAの突然変異や自然淘汰の考え方より、人類への進化の過程は大筋納得できる。問題は原始生命体の誕生の謎だ。地球に生命が誕生したのは、およそ40億年前であろうと考えられている。無機物の原子がいくつか集まり分子となり、更に分子がいくつか集まり複雑な高分子となるのは、化学反応として大よそ想像がつく。
しかし、その高分子らしきものが、自己複製する生命体らしきものに変化するには、大きな飛躍が必要であり、そこにどんな謎が秘められているのか、専門家ならずとも知的好奇心がくすぐられる。
原始生命の誕生は,まず高分子の有機化合物が自己複製可能なフィードバック的化学反応サイクルを形成したことから始まるとの考えがある。これは、自分と同じものを作り出す能力は、一連の化学反応によって説明でき、これにより自己複製可能な原始生命体が誕生したとの説である。自然現象として生命体が誕生するわけであるが、説明によるとそのプロセスは非常に複雑であり、そんな複雑な現象が自然現象として起こり得るのか、到底神様抜きでは考えられない。
兎も角、頭の中での想像ばかりでは限界があるため、生命の誕生の謎を求めて、深海へあるいは宇宙へと探査範囲が広がって行く。例えば、深海にある熱水噴出口付近は、噴出する液体中に溶解した各種の化学物質を目当てにした複雑な生物社会が成立している。この周辺は地球誕生時の環境と類似していると考える人もおり、原始生命体が今でも存在する可能性もある。
一方、宇宙において、火星や木星、土星の衛星に原始的な生命体、あるいはその痕跡が残っているとの期待があり、探索が続けられている。知的生命に関しては太陽系内は望み薄と判断されるようになり、太陽系外まで探索の範囲が広がっている。
そのひとつが電波の発信や受信による探索であるが、もう一つは冒頭のホーキング博士らの試みである。探査機は1辺が1メートル位の凧のような形状で、中心に観測機器を集めた小型チップが搭載されるそうだ。自らは推進力を持たず、地球からのレーザ光で推進力を得るとのことである。太陽系外惑星は、地球に最も近いとされる、ケンタウルス座アルファ星を公転する惑星でも、地球から光の速さで4年以上かかるそうで、気の遠くなりそうな計画だ。このためには、原子数百個レベルの超薄型、超小型チップの開発、などの技術革新が必要となるそうで、打ち上げは20年後あたりになるだろうとの予測である。
70歳を超える筆者は打ち上げ時まで生きておられるか、まして結果が分かるまでには到底生きておられない。でも知的好奇心は無限に広がる。
2016.05.14(犬賀 大好-233)
NASAは、5月13日、太陽系外に1284個の新惑星を発見したと発表した。確認された1284惑星のうち、550個は地球のような岩石惑星で、岩石惑星候補の9つは、属する恒星の「居住可能区域」内を周回している。これは、惑星が液体の水 ― われわれの知る生命に必要な成分 ― を保持できる表面温度を持つ可能性のある領域だそうだ。
太陽系外ほど遠くはないが、地球外の生命の痕跡を求めて、我が国の探査機「はやぶさ2」は小惑星”リュウグウ”を目指して現在飛行中である。この小惑星には、生命の原材料物質と密接に関係する有機物や含水鉱物があると思われるので、サンプルを採取し持ち帰る計画である。また、今年9月打ち上げ予定のNASAの無人探査機「オサイリス・レックス」は、同様な小惑星”ベンヌ”からサンプルを持ち帰る計画とのことである。
人類を始めとする生物すべては、原始生命体から進化して現在の形になったと信じられている。しかし、原始生命体がいかなるものかは、全く分かっていない。今日地上に存在しているすべての生命は,植物,動物さらにウイルスも,DNAを情報媒体とする遺伝子を基本構造として持っている。そこで生命とは、遺伝子を有し、遺伝子を介して子孫を次の世代に継続させているものと考えられる。
原始生命体の実態が分からなくても、その誕生を認めてしまえば、後はDNAの突然変異や自然淘汰の考え方より、人類への進化の過程は大筋納得できる。問題は原始生命体の誕生の謎だ。地球に生命が誕生したのは、およそ40億年前であろうと考えられている。無機物の原子がいくつか集まり分子となり、更に分子がいくつか集まり複雑な高分子となるのは、化学反応として大よそ想像がつく。
しかし、その高分子らしきものが、自己複製する生命体らしきものに変化するには、大きな飛躍が必要であり、そこにどんな謎が秘められているのか、専門家ならずとも知的好奇心がくすぐられる。
原始生命の誕生は,まず高分子の有機化合物が自己複製可能なフィードバック的化学反応サイクルを形成したことから始まるとの考えがある。これは、自分と同じものを作り出す能力は、一連の化学反応によって説明でき、これにより自己複製可能な原始生命体が誕生したとの説である。自然現象として生命体が誕生するわけであるが、説明によるとそのプロセスは非常に複雑であり、そんな複雑な現象が自然現象として起こり得るのか、到底神様抜きでは考えられない。
兎も角、頭の中での想像ばかりでは限界があるため、生命の誕生の謎を求めて、深海へあるいは宇宙へと探査範囲が広がって行く。例えば、深海にある熱水噴出口付近は、噴出する液体中に溶解した各種の化学物質を目当てにした複雑な生物社会が成立している。この周辺は地球誕生時の環境と類似していると考える人もおり、原始生命体が今でも存在する可能性もある。
一方、宇宙において、火星や木星、土星の衛星に原始的な生命体、あるいはその痕跡が残っているとの期待があり、探索が続けられている。知的生命に関しては太陽系内は望み薄と判断されるようになり、太陽系外まで探索の範囲が広がっている。
そのひとつが電波の発信や受信による探索であるが、もう一つは冒頭のホーキング博士らの試みである。探査機は1辺が1メートル位の凧のような形状で、中心に観測機器を集めた小型チップが搭載されるそうだ。自らは推進力を持たず、地球からのレーザ光で推進力を得るとのことである。太陽系外惑星は、地球に最も近いとされる、ケンタウルス座アルファ星を公転する惑星でも、地球から光の速さで4年以上かかるそうで、気の遠くなりそうな計画だ。このためには、原子数百個レベルの超薄型、超小型チップの開発、などの技術革新が必要となるそうで、打ち上げは20年後あたりになるだろうとの予測である。
70歳を超える筆者は打ち上げ時まで生きておられるか、まして結果が分かるまでには到底生きておられない。でも知的好奇心は無限に広がる。
2016.05.14(犬賀 大好-233)
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